地熱発電のコト〜アイスランドから学ぶ自然&再生可能エネルギー活用法〜
はじめに
皆さんどうもこんにちは!最近部屋のカーテンを変えた林雄です!色は教えません!
前回書いた地球3周目の記事から久しぶりの投稿になりますね。
まだ読んでいない方は是非過去の記事を読んで頂ければ嬉しいです!😂
さてさて、前回の記事を書いて2ヶ月半ほど経つので、色々と話したい事はありますが早速本題に入って行きたいと思います。
タイトルを見れば分かると思いますが、今回はアイスランドに特化した記事になります!
去年アイスランドに仕事で訪れ、アイスランドのクリーンエネルギーについて学ぶツアーに添乗させていただいた時の話です。
アイスランドに訪れたのはこの時が3回目で、過去2回はまだ環境問題に興味を持つ前でした。
環境大国と言われるアイスランドに、環境問題に対しての取り組みや発信を活性化させたいと言う気持ちを持った状態で訪れる事に凄くワクワクしていました。
これはもはや言うまでもないんですが、学びと感動の連続に圧倒された1日になり、これから先、生きてく中でこの一日とは一生付き合っていくんだろうなと感じています。
この貴重な体験は必ず自分の中でしっかりと整理し、文字に起こして記事にしたいと思っていました。
そして少し時間はかかりましたが、過去のツアー資料や写真を見たり、記憶を遡って今回記事にする事が出来ました!
※今回の記事は、自分の体験に交えて当時使っていた参考資料なども使用しています。
まずはアイスランドという国について簡単な紹介、次に今回の主なテーマになるアイスランドの国内再生可能エネルギーについての概要、そして僕が帯同したツアーの詳細や感じたことを書いていきたいと思います!
アイスランドってどんな国?
アイスランドという国名自体は聞いたことがある方が多いと思いますが、実際どんな国か知っている人は少ないと思います。
僕の大好きな国なので、たくさん魅力を伝えたいんですが、今回は再生可能エネルギーについての記事なので、アイスランド自体の概要については超ざっくりになります。
というか、概要は調べればいくらでも分かるので!笑
首都:レイキャヴィーク
総人口:約35万人
面積:103,000 km²
通貨:ISK(アイスランドクローナ)
アイスランドは、北ヨーロッパの北大西洋上に位置する島国です。
面積は北海道より少し大きいくらいです。
アイスランドと大まかに同数である人口約30万人の街といえば、
東京都新宿区や沖縄県那覇市なので国土全体の総面積と絡めながら比較してみても、人口密度は少ないことがすぐにわかります。
そして「アイスランド」と聞けば氷や、寒いイメージがあるかと思いますが、アイスランドは「火と氷の国」と呼ばれていて、30過ぎの活火山があるなど世界有数の火山国でもあります。
寒いといわれる2月でさえも、平均気温は0.1度(最高2.6度 最低-2.4)で、
9月の最高気温は10.3度で、平均気温は7.5度。決して年中アイスな国ではないんです!笑
見所はやっぱりオーロラ(これは4年前にアイスランド沖で見たオーロラ)
世界一大きい露天風呂のブルーラグーン
これは2年前に訪れた時の写真です。
他にも見所はたくさんあるんですが、本題に移っていきたいので割愛します!
それでは、「火と氷の国」と言われる環境大国アイスランドで僕のこの身体が感じた体験記を是非ご覧ください!
アイスランドのエネルギー政策
まず、本題に入る前にアイスランドのエネルギー政策について皆さんには知っておいてもらいたい基礎情報があります。
まずは、この後沢山でてくる言葉、そしてこの記事のテーマにもある再生可能エネルギーについて。
再生可能エネルギーとは?
**
再生可能エネルギーとは法律で「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」と定義されています。石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料のように資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時に地球温暖化の原因となるCO2をほとんど排出しない優れたエネルギーのことです。**
アイスランドで供給されているエネルギーの85%が再生可能エネルギーで、電力だけに限ると100%が再生可能エネルギーで賄われています。
そのうち65%が地熱によるエネルギー、また20%が水力といわれてます。(2016年レイキャビク電力発表)
ちなみに日本におけるエネルギーの供給のうち、その8割以上を化石燃料が占めていて、
しかもそのほとんどを海外に依存しています。2010年の原子力を除くエネルギー自給率は4.4%だそうです。(資源エネルギー庁参照)
そしてその再生可能エネルギーが国内消費エネルギーの供給元として全体に占める割合はアイスランドが世界一です。
そして2位はノルウェーで38%、3位はニュージーランド(30%)その後はスウェーデン、フィンランド、オーストラリア、カナダと続いてます。
2位のノルウェーと比べても歴然の差があることが分かります。
それだけ国を挙げてエネルギー政策をとっていると言う事なんです。
再生可能エネルギーと産業
1944年にデンマークから独立し、漁業一本で頑張ってきたアイスランド、しかしその限りある海洋資源に頼り切っていたこの国には第2次産業が必要でした。
それがこのエネルギー政策でした。
氷河が溶けて作り出される激しい水力を使った水力発電からはじまり、地熱発電もはじまり、アイスランドはクリーンエネルギー大国として成長を遂げました。
アイスランドという国は他国に比べたらまだ歴史も浅い若い国です。主産業は漁業がずっと続き、観光業もつい数十年間にできたものだそうです。
限りある海の資源を考えると、アイスランドは漁業に続く、またはそれに勝る産業が必要だったわけです。
アイスランドに比べ、エネルギー政策の過渡期にある日本。
今後の未来を考えるにあたって、アイスランドの再生可能エネルギー政策から、日本、そして皆さん自身のエネルギー消費を考え直すきっかけになればと思います。
アイスランドから学ぶ自然&再生可能エネルギー活用法ツアー
やっとこさ本題といった感じですね!笑
出来ることなら初っ端から本題に入りたいんですが、ほんの少しでもアイスランドという国のことや再生可能エネルギーのことを知っておいてもらった方が本当に伝えたいことの本質がより見えやすくなると思ったので。
まず、このアイスランドで催行されたツアーは11コースありました。
どのツアーに帯同するかは日程が近づかないとわからないのですが、希望を出すことができます。
僕はこのツアーを希望していましたが、他にも希望するスタッフがいれば、ツアー責任者が適任者を決めます。
今回このツアーを希望していたスタッフが他に居たかはわかりませんが、ありがたいことに希望通りこのツアーに帯同させてもらうことになりました。
悪天候の海を越え、アイスランドの首都レイキャヴィクの港に着き、港でツアーガイドさんと通訳とミーティングを行います。
とっても紳士でプロフェッショナル感がひしひし伝わってくるガイドさんでした。
そしてミーティングを終えてお客さんバスに乗ったのを確認していざ出発!
ツアー工程を簡単に書いておきます。
港発(7:30)
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世界自然遺産遺産シングヴェトリル国立公園
↓
フォンタナ・スパ(地熱発電によるスパ)
↓
フォンタナ・スパの施設内で昼食
↓
ヘットリシェイディ地熱発電所
↓
港着(17:30)
ざっくりこんな感じの1日です。では、訪問地を一つづつ紹介し、体験したことを書いていきますので、
是非みなさんも僕がサポートスタッフとして帯同しているツアーバスに乗り込んだと思ってツアー気分を味わってください!笑
まずは港を出発するといきなり大自然が現れ、地球の地肌が僕たちをもてなしてくれます。
アイスランドに来るのは3回目と最初の方にも話しましたが、僕はこのバスから見える風景が本当に本当に大好きなんです。
自分にとっても、地球にとっても大切な場所に戻ってきたような気がするんです。
そしてアイスランド3回目にして初めて晴れました!もうそれだけで感無量です笑
最初の目的地までひたすら自然の中を走ります。ジャングルとかそんな感じの自然ではなく、大地、岩、草!って感じです!笑(うまく感じ取ってください。)
そんな自然に見とれてると、一つ目の訪問地に到着。
〈シングヴェトリル国立公園〉
まず、シンクヴェトリル国立公園は2004年に世界遺産に登録されています。
その登録理由は二つ。
①大西洋中央海嶺の地上露出部があるため、ユーラシアプレートと北米プレートの
境となる割れ目(ギャウ)が見られること。
②930年に世界最古の近代的民主議会アルシングがここで開催されたこと。
上部の写真、ぱっくり割れているのは地球の割れ目なんです。
ギャウというのはアイスランド語で割れ目という意味で、このシングヴェトリル国立公園以外でもギャウを見ることはできますが、これほど大きなギャウはここでしか見れません。
アイスランドの国土は今も年に数cm、緩やかに東西に広がっているそうです。
ガイドさんの案内を受けながら地球の割れ目を進んでいきます。
iPhoneでもこの美しさと勇ましさ。
神秘を感じるほど透き通った空気が体を通り抜けます。寒さなんてどうでもよくなるくらいに気持ちのいい凍てつき。
1時間ほど歩いて公園を通り抜けました。
太古からの地球の営みと人類の歴史が交差するこの場所。
環境問題に興味を持ってる状態で来るのと、そうでない状態で来るのでは、どちらにしても景色に感動はしてたと思うがきっと感じるコトは違っていると思う。
その違いは明確にハッキリとは言えないけど、来るべくしてこのタイミングで来れたんだと思っています。
またこの場所に来れたらいいな。次来た時は何センチ広がっているんでしょうか。
そんなことを考えながら、参加者がバスに乗り込んだことを確認し、次の訪問地へ出発しました。
〈フォンタナスパ〉
まずこのスパに到着すると、地熱を利用したパン作りの見学をした後、施設内でビュッフェランチと出発前のミーティングで聞いていました。
無事到着し、現地のスタッフに迎えられ、予定通り地熱パン作りの見学に向かいました。
パンよりご飯派の僕なんですが、正直この地熱を利用したパン作りにはめちゃくちゃ興味があって、楽しみにしてました。
昔からアイスランドの人々は、
湖岸に湧いている熱いお湯を利用して伝統的なライ麦パンを焼いていたそう。
煮えたぎるお湯の熱で、砂の中でパンが焼けるとのこと。
このスパ周辺では地元の人から代々受け継がれたレシピで作られたパン生地を毎日焼いているそうです。
説明を受け、早速ロイガルヴァトン湖という湖のほとりを歩き進みます。
湖のほとりはすんっごい風が吹いていて極寒だった事をいまでもはっきり覚えています。
少し歩くと、皆揃って湖を見ました。
湯気が出ているんです。
参加者がその水を触ろうとすると、現地スタッフが
「超熱いから触ったら火傷するよ!」と言ったと同時に持っていたスコップで足場を掘り始めました。
なんと、したから沸騰したお湯が出てくるのです!!!
写真ではあまり伝わりませんが、そりゃ触っちゃいかんわ!と言わんばかりの沸騰具合と熱気が上がってきます。
そしてもう少し進むと現地スタッフは立ち止まり、
「ここにパンがある。今から掘り起こすZE☆」
と、言うや否や
えっさ、ほいさとスコップを使い、地面を掘っていきます。
すると!!!
どーん!
とてつもなく良い香りを放つライ麦パンがついに姿を現しました。
「このパンをこの後切って皆に食べてもらうZE☆」
と言うと参加者は大喜び。なにしろこんな特殊な作り方をした出来立てパンを食べれるのですから。
僕はと言うと、参加者が大喜びなのに対し、超絶大喜びでした。
そして現地スタッフが
「明日の分のパンを埋めるZE☆」
と、掘り起こした穴にまた新しいパン生地を埋め砂をかぶせ、最後に埋めた穴の上に石を置きました。
このスパ周辺は一応村だそうなんですが、この石で誰が誰のパンかを見分けるとのこと。
面白い事だらけで、僕は終始ワクワクしていました。
そしてまた来た道を戻って施設にはいり、皆さんお待ちかねの出来立てライ麦パンの試食会の始まりです。
このように切り分けられ、
バターをたーーーーっぷり塗って食べるのが現地の食べ方だそうで、郷に入れば郷に従えという言葉の通り
バターをたーーーーっぷり塗って口の中に放り込みます。
「ん!!!!!??????」
五感に響き渡り、あの時走った衝撃を今でも覚えています。
去年訪れた時はまだ産まれて21年。
この後の昼食やスパの大事なオペレーションもあるのに、そっちに頭が回らないくらい今まで食べたパンの中で断トツに美味しかった。笑っちまいましたね。美味しすぎて。
参加者の皆さんはこの後ビュッフェランチがあるのを忘れたかのようにおかわりを貰いに行きます。
「皆さ〜ん!この後ビュッフェランチですよ〜!」
とアナウンスすると笑いが起き、ツアーの雰囲気もどんどん良くなっていったのをハッキリ覚えてます。
これまでの地球一周でのツアー業務はしっかり行程通りにツアーをこなし、無事に船に帰る事で一杯一杯になって、こう言った雰囲気まで気が回り切っていませんでした。
なので今回は、行程通りにこなす事は勿論、状況に合わせたオペレーションや柔軟さを意識して余裕を持ちたいと思っていました。
まあ、そんな事は置いときまして笑
これがビュッフェランチ場。
ビュッフェランチが終わった人から隣接してあるスパに入るという流れでツアーは進んでいきました。
早く入りたいから食事を早く済ませる人。
ゆっくり食事をする人。
天気も良く、それぞれの時間がゆっくりと流れた素敵な空間でした。
このフォンタナスパは、地熱活動が活発なロイガルヴァトン湖のほとりに2011年にオープンしたスパです。
この地域の地熱がもたらす蒸気や熱、ミネラルを沢山含む温水を人々は1920年代から活用してたそうです。
このスパには、地熱スチームを利用したサウナや温水のプールやジャグジーがあり、ロイガルヴァトン湖を一望しながら入浴できると聞いていたので、しかも天気も良かったのでとても楽しみでした。
でもスタッフで帯同してたので、入っちゃダメだろうな〜と思っていたんですが
しっかり見張らないといけないとのことで入浴許可がおりました。笑
しっかり満喫、いや見張りをし、皆がスパから上がった事を確認し最後の訪問地へバスを走らせます。
極寒の中、掘ると湧き出る熱湯や地熱を利用したパン作り。
そして地熱を利用したスチームサウナやバスジェットなど。
とにかくこのスパでは貴重な経験ができ、自然エネルギーの可能性を感じられました。
スパから皆が上がった事を確認し、いよいよ最後の訪問地へバスを走らせます。
〈ヘットリシェディ地熱発電所〉
発電所は、1700年前に噴火した火山の麓にあり、周りには熱水がたくさんあります。
3kmほど地下を掘り地熱水をくみ上げて熱水と蒸気を分離し、抽出された蒸気をエンジンルームに運びタービンを利用して蒸気を電力にしてエネルギーを作っています。
毎秒670リットルほどの熱水と300メガボット程の電力を作って、パイプラインを通して家庭などに送っています。
ですが、この発電所は必要以上の電力を過剰生産している事で有名で、生産電力の使用方法についても疑問の声が上がっているそうです。
地熱活動が活発なこの地域には近い未来に更にいくつもの発電所の建設が予定されていて、周辺の自然破壊が懸念されています。
1階はお土産屋さん、2階は図面や模型があり、3階には実際に稼働している三菱重工製のタービンを見学する事ができます。
現地スタッフに1時間ほど案内してもらい、この日の行程を全て終え、船に向かいます。
スパとランチに満たされ、参加者はバスでウトウト。アイスランドの大自然に挟まれながら無事船に到着し、最後は1日を共に過ごし、素敵な時間をつくってくれたガイドさんとお別れし、ツアーが終了しました。
ありがとう、ネイルさん!とってもとっても優しく、終始プロフェッショナルな案内で最高な1日になりました。
ネイルさんで良かったって心底思うくらいに隅々まで伝えてくれました。
そして、たくさんの情報を参加者に伝えてくれた通訳のアイリーン!ありがとう(^^)
おわりに
さて、いかがでしたでしょうか。
僕はこの日アイスランドに「地球との共存」を魅せつけられました。
それはどういう事なのか。
この記事のテーマであり、沢山でてきた「エネルギー」。
「エネルギー」とはそもそも何なのか。
「エネルギー」=「仕事をする能力」
の事です。
様々なエネルギーがある中で今回フォーカスしたのは地熱。いわゆる自然エネルギーにあたります。
地球からエネルギーをもらい、パンを作ったり、お湯を沸かしたり、発電したり。
アイスランド人は地球との共存で生活を送る事を成功させていました。
僕が尊敬し、お世話になった版画家・木彫作家でありアイヌ民族運動家の結城幸司さんが言っていた、
「地球に優しく」というけれど、「地球が優しいんだ」
という言葉の意味が少しこの身体全体で感じ取り、理解できた気がしました。
地球からエネルギーを受け取り、それを誰がどのようにして地球に還元していくか。
小さな島国の地熱発電から多くのことを学び、気付かされた1日でした。
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます!
なかなか上手くまとまらず、伝わったかは分かりませんが、何かを感じてくれていたら嬉しいです。
次の記事は、去年の夏に行ったベネズエラの植林国家プロジェクトについてです!
少し時間がかかるかもしれませんが、またnoteでお会いできればと思います。
大変な世の中ですが、体調に気をつけてお過ごしください。それでは!
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