故郷は水の町
気がつくと蛍の見られる時期が終わっています。といっても福岡市内で蛍を見たことはないんですけどね。地元の山口県下松市にいたころは、歩いて数分でめっちゃ蛍がいる場所にたどり着いていました。
村谷由香里です。
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恋人をはじめて地元に連れて行ったときに「ここは水の町だね」と言われたことを覚えています。わたし自身はあの町で過ごしていた間に「水の町」と思ったことはないんですが、思い返せばいつも水音が聞こえていたような気がします。
近くに川があって、田んぼがあって、田んぼに続く水路があって、山へ入れば大体の道が浄水場に続いている。川を遡っていけば蛍が光り、夜眠るときには、ずっと水が流れる音がしていた。市の外れにはダムもあった。
今住んでいる場所も水路の近くだし、大学時代住んでいた場所も水の流れる溝がすぐそばにあったけど、あんなに絶えず水の音は聞こえてきません。福岡の夜はずっと無音です。
近所の川に沿って歩いていけば、海にたどり着きました。子どものころ、海はずっと遠い場所にあると感じていたのに、案外すぐそばにあって空間が歪むような感じがした。
いつも海は世界を分断するように唐突に現れると思っていたけれど、何ということはなく、ただ見慣れた川の終わりが広がっているだけでした。
水の町、というイメージはいまだにピンと来ないのですが、あの町を書くときはいつも水を使うようになりました。「さよなら、シオンの家」が水の底の話になったのも、わたしの故郷によく似合っていたからかもしれません。
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