日記2024年10月③

10月11日
幼稚園が秋休み。私は仕事。カンファのために一週間のリエゾンの症例を見て色々考えたのだが、別の会議が入っていて出られなかったので何も言えず終わった。会議ではなんだか他職種の人に心無いことを言われて悲しかった。帰って中島由宇『知的障碍をもつ人への心理療法』を読んだ。知的障碍をもつ人の「わたし」を捉えようとし、治療者も「わたし」として情緒的に即応的に応答することの重要性が書かれている。私なりに言い換えると、予断や偏見を除き相手を一人の人として見て、立場や役割の上の保身から離れて一人の人として応答することが書かれているのだと思うが、これがけっこう難しい。心理療法という特殊な構造だからこそいいうることでもあり、実際の支援の場では相手を支援の必要な属性のもとに見て、支援者の役割と立場と制約、責任(それは倫理でもある)のもとに振る舞わなければならない。しかし、そんなことは当たり前なのだ。支援は常にそういうジレンマのもとに行われる。人間がそういうジレンマの中で生きるからである。社会的属性がその人そのままでいることを許さないこともあるし、その人のもつ個性がある属性を持つことを許さないこともあるだろう。そのような膠着した状況に一人の人として現れて関係を結びながら現実的な行動を導くのであり、時には何かを諦めることもある。それでも一人の人としての関係は続く。現実の支援とはそういうものである。
カンファで言いたかったことは前医からパニック障害の診断をもらっている人の評価と、情緒不安定性パーソナリティ障害の診断をもらっている人の評価について。そういう例がたまたまあったので。あとはすごく複雑そうな例があったのでそれをどうしているか聞きたかった。

夜は妻が鳥もも肉を焼いてくれた。子供は素材そのまま焼いたりしたほうが食べる。今日も鶏肉をよく食べた。

10月12日
無花果を食べた。クリームチーズと一緒に食べるとおいしい。妻は昨夜眠れなかったみたいで眠そうだった。
子供と2人でピアノ教室に行った。上手になっていた。ピアノの先生のところのおじさんがいて子供の頭を撫でてくれた。おじさんは酒が飲めない人なので親近感が湧く。
駅の階段の手すりで子供が手を真っ黒に汚すときと汚さないときの違いは何なのだろう。
今日はなんだか調子が悪い。

10月13日
日曜だけど妻の妊婦健診。産科の先生は日曜にも外来があって大変だ。子供は一緒に行くのを嫌がったがしぶしぶついてきた。一緒に車で待った。私は昨日からの調子の悪さを引きずってまだイライラしやすかった。妻のお腹はなんの異常もないのでこのまま陣痛が来るのを待つしかないということだった。
ショッピングモールに行った。ついてきてくれたお礼に子供の好きなものを買った。マリオのパックンフラワーのフィギュア。よくできていてかわいい。

冷酷なパックンフラワー

パンどろぼうとにせパンどろぼうと一緒に写真を撮れるイベントをやっていた。子供と3人で写真を撮った。「パンどろぼうはパンだからフワフワだったね」と言っていた。
家に帰って駐車場でチャイルドシートを取り付けた。上の子が使っていたもので、下の子が生まれる前に設置しておきたかった。チャイルドシートはそれなりに重いもので、それを狭い車内で位置を合わせて嵌め込むだけでも大変だし、最後に思い切り押し込んで固定するのもそれだけなのに異様に疲れる。しかしなんとか設置完了した。
子供は帰ってから何時間もゲームをやっていた。ゲーム実況動画の影響でずっと大声でしゃべりながらやるのでさすがにうるさくて注意した。
夜は長谷川あかりさんの肉野菜炒めを作った。おいしかった。最近は買い出しと生協の配達を併用していて冷蔵庫に材料が揃っているのでやりやすい。子供も肉とキャベツを食べた。
夜に陣痛が来て車を出すことになってもいいように寝る前に私の着替えとかをセットしておいたほうがいいように思った。子供はパジャマのまま連れて行くしかあるまい。

10月14日
昨夜遅くまで小説の直しをしていたので眠い。暑い日。子供は朝からマリオカートをやり、私は小説の続きを書いていた。なんとか文フリ東京に間に合わせたい。書けば書くほど自分は下手だし全く小説というものがわからないと思うけれど書くしかないから書く。
昨日食べたプラムがおいしかったのを思い出した。まだ一個残っている。
マリオのチョコエッグを求めてイオンモールに行ったが売ってなかった。マレーシアフェアをやっていて、塗り絵みたいなのをやらせてもらったときに関係者のお子さんらしきお兄ちゃんに親切にしてもらった。ステージアイドルのフェスみたいなのをやっていてしばらく子供を抱っこして見せた。「昼夜逆転」というアイドルがいることを知った。地雷系の見た目をしていた。アイドルオタクというのも中身は結構多様なんだなと思った。ステージ前でオイオイ言うだけでなく後方で振り付けをコピーして踊っている人たちもいた。笑顔がぎこちない人もいればすごく自然な笑顔のおじさんもいた。ベビーカーを押すお母さんがいて、振りをコピーしていた。和食ビュッフェのピザとカレーがおいしかった。ペットショップで子供がトイプードルの子供を見ていたら店員さんが外に連れてきてくれてしばらく抱っこした。爪は犬が苦手で、子供もまだ不慣れだったので私がずっと抱っこしていた。お利口さんな子で、私の指を舐めていたけど噛まなかった。子供に近づけたら頬や耳を舐めていた。ペットの生体販売はあまり賛成ではないので後ろめたい気持ちなのだが、とてもかわいかった。だがどうしてもここ数年で実家の猫を何匹も何匹も見送ったことを思い出し悲しくなる。「人生」とは違う世界に生きつつ私たちの人生にこれほど深く交わる生命の言いようのないかわいさと悲しさはなんなのだろう。今も一匹一匹の感触や声やにおいを思い出す。
チョコエッグを買いに行っただけのはずだったのだがずいぶん歩いてへとへとになった。

10月15日
晴れ。初期研修医の先生に色々説明して疲れた。強迫性障害の話と認知症の話をした。上司といると大学の悪口になってしまってよくない。リエゾンの対応が今日はうまくできず反省点の残る仕事であった。
幼稚園の友達のお母さんが臨月の妻を気遣ってくれてうちの子を少し預かって遊ばせてくれた。妻は休んでいてもらって、仕事が終わってから私が迎えに行った。ずいぶん遊ばせてもらったみたいで汗をかいていた。「つぎはうちにきてもらう」と言っていた。
妻に「昨日今日と調子悪そうだったけど」と言われたからたぶんそうだったのだが、私はそういうのをすぐ忘れてしまって元気なときのことしか覚えていない。
あまりおもしろいことが書けない数日であった。

いいなと思ったら応援しよう!