日記2024年12月③

12月12日
上の子を幼稚園に送り、下の子を連れてドトールでうつ病本の原稿を進めた。家ではずっと泣いているが外に出るとずっと寝ている。最近はずっと書きたかった内容を書くことができている。
妻と合流して下の子のクリスマスプレゼント(サンタの代行)を買いに行った。上の子が幼稚園に行っているあいだにすませなくてはならない。そのあとクリスマスケーキと上の子の誕生日のケーキの予約に行った。誕生日が正月休み期間なのでその時期でも開いているデパートで予約する。いかにもショートケーキという見た目のショートケーキにした。
下の子のクリスマスプレゼント(サンタの代行)ははらぺこあおむしのベビージムにした。一度帰ってベビージムを隠した。
帰ったら赤子がまたずっと泣くので、再び出かけてドトールに行った。家に着いた瞬間に泣き始め、家を出た瞬間に寝始めた。
妻と上の子のサッカー教室の迎えに行った。うちの子はできないことがあると少しズルしてできたことにしてしまうことがあり、ドリブルをするように言われるとスタート時に手でボールを前に放ってから始めてドリブルしなくてもボールが進むようにしたりする。まだ真っ直ぐ蹴るのも難しい年齢なので真っ直ぐドリブルするのを失敗することを避けてそういうことをしている(のだと思う)。前からそういうところは気になっていたのだが、親が言うと嫌になってしまうだろうし、そもそもサッカーを上手くなることが目的というよりは色々な世界を経験して楽しいものを見つけてほしくてやっているからいいのかなと思って言わないでいる。でもやはりズルして失敗の経験を避けてばかりいると失敗を恐れる気持ちがどんどん膨らんでいくのではないかなとか、結局は先生から怒られるというフィードバックしか働かなくて楽しめないのではないかななどと考えてこちらも不安になるというか、居心地が悪い。普段はモヤモヤしたまま黙ってやり過ごすのだが、今日は妻がいたのでこのことを話してみた。妻は「私はサッカーがわからないから一つ一つの練習が何をやっているのかよくわからないし何が正しいやり方なのかわからない」と言い、「歌とか踊りとかは先生に言われた注意点を家でも親に話して反復練習しているくらいだから、やりたいことはずるしないでやるから、まあサッカーはそこまでサッカーそのものにのめり込めないんじゃない?」と言った。「たしかに」としか言いようがないくらい正しいと思った。話せてよかった。
赤子を幼稚園に連れて行くといろんな先生が声をかけてくれるのだが、なぜか当たり前のように名前を知っていて、仲のいいクラスの友達も当たり前のように赤子の名前を呼んでくれる。たぶん上の子がいろんな人に赤子の話をしているのだと思う。たぶん赤子の話以外にも家のことをペラペラしゃべっているだろうからおそろしい。
赤子を連れて行くと保護者とも子供達とも話が弾むからありがたい。
スーパーで鱈と白子と牡蠣を買って鍋にした。とてもおいしかった。

12月13日
職場に高校生が見学に来て、精神科にはそのうち2人が来てくれた。実験室の見学などを簡単にして、そのあとひたすら色々と話した。遺伝と環境、個人差と疾患概念、人の行動に説明をつけることなどについて素朴な疑問を出してくれて、どれも非常にクリティカルなポイントなので興奮した。精神科オタクとしては何時間でも語れるけれど1時間しかなかったので残念だった。少し前にも別の高校の学生が来てくれていい質問をたくさんしてくれた。高校生だと精神医学とも精神科医療とも利害関係がないのでこちらの態度次第で一番ラディカルな水準で考えてくれるようである。大人は同じくらい深いレベルに降りて応えないといけない。守りに入るのはダサいし、子供にダサいところは見せたくない。世界はこんなにおもしろいんだよと精神科の窓を通して見せることができていたら嬉しい。
私が高校生のときにはこういう経験はなかったけれど、大学に入ってまだ臨床のことを何も知らない時期に講義の一環で精神科の外来の見学をしたことは今でも覚えている。その頃はまだ古い建物で診療していて、廊下の天井に書類を運搬するモノレールのような機械が運行していた。外来を見せてくれた先生のことも今でもよく覚えていて、そのときの患者さんも2組ほどはまだ鮮明に思い出せる。今自分がみたらどのように考えるだろうかと想像することもあるけれど、そのような素材というよりはもっと具体的で直接的な原体験としての性質が強く、仕事をするにあたって必ず回帰してしまう場所として記憶の中に固有の領域を持ち続けている。若者のまっさらな本に何かを書き込むのは実はとても責任重大なことで、だから守りに入ってつまらないことで埋めるのではなく、勇気を持って私の大事なものを差し出したいと思う。
夕方のカンファで若手が一生懸命患者さんに向き合っていたからけっこう盛り上がり、しかしそのぶん修正点もたくさん挙げることになり、その先生にとっては大変な時間になったかもしれない。帰りが遅くなって上の子のお迎えに行ったら最後の1人になっていた。苦労をかけているなと思う。
妻がカレーを作ってくれていた。おいしかった。
上の子は少し夜更かしをした。

12月14日
幼稚園のクリスマス音楽会だった。朝は冷えたがよく晴れてお昼は比較的暖かかった。
うちの子は前々から歌の練習で先生に教えられたことや注意されたことを全部覚えて帰ってきて親に教えてくれた。歌や踊りが好きなようで、かなり真剣に取り組んでいる。2番のここで声が小さくなるからしっかり声を出さないといけないとか、そういうことを最近はずっと言っていた。サッカー教室でごまかしながらやっているのとは全然違う。うちの子にとって真剣になるのは歌や踊りなんだなと思う。
歌の前にマイクで歌を紹介する役回りの子が毎回選出されるのだが、今回選ばれた子は朝からずっと泣いていて、本番でも泣いていた。いつもはずっとニコニコニコニコしている子なのだが、発表とか大勢大人がいる状況が苦手そうだった。そこで大泣きできるのがその子のいいところだなあといつも思っている。
歌は3曲で、「ジングルベル」「ちいさな世界」と英語の授業で歌っている歌だった。振りつきでみんな一生懸命歌っていた。ニコニコ笑顔で楽しそうに歌う子もいれば、うちの子のように真剣勝負みたいな顔で懸命に歌う子もいる。
そういえば朝から変なテンションで、変にふざけたり笑ったりしていて、やはり緊張していたのだと思う。
年少のときの初めての発表会はとにかく子供たちが一生懸命になっていることそのものに圧倒されてそれそのものに感動したけれど、年中になるとそれぞれの子のがんばり方が見えてきてまた別の感触で涙を誘う。
会が終わって親が迎えに行くときに、例のずっと泣いていた子のお母さんが「まあちゃんと立ててたからええやろ!えらい!」と声をかけていた。
私は抱っこひもでお腹に赤子を抱えていたのだが、リュックを背負っている上から抱っこひもを装着してしまったのでリュックが下ろせなくなって重かった。赤子はずっと寝ていたが、子供たちの大きな声が出るところでモロー反射を起こして腕をぴくつかせていた。今日もいろんな人から赤ちゃんのことで話しかけられて嬉しかった。やはりなぜか赤子の名前が知られていて、普通に名前を呼んでくれる親御さんもいた。
以前贈り物をくれた子にお礼を返した。
数日前にお菓子をくれた子にチョコをお返しした。うちの子が羨ましがらないようにうちの子の分も用意したのだが、渡す子には妹がいたために2個渡したのがうちの子は気に入らなかったらしく、なんで2個あげるのずるい、と言ってあとで泣いたり怒ったりして大変になった。たぶん発表会の緊張がまだ残っていて、気持ちが落ち着かなかったのもあったのだと思う。
ご褒美ということで西松屋に行った。上履きを新しくするついでにおもちゃも買った。マリオカートのラジコンみたいなのと、最近では珍しくプラレールを買った。なつかしい感覚だった。
夜はカレーの残りにした。上の子は今日はいつもより甘えたいようで、「たべさせて」と言うので手伝って食べさせてあげた。

いいなと思ったら応援しよう!