お肌注射「デュピクセント」 3か月使ってみたレポ
肌のかゆみや肌荒れに20年近く悩まされてきた私。
「デュピクセント」という自分で注射をする治療薬に出会い、現在まで3か月ほど使用しています。
結論だけ先に言うと、かなり劇的な効果がありました!
この記事は、デュピクセントを使ってみた体験レポです。
デュピクセントを始めるまで
肌荒れに悩まされ始めたのは、10代の頃から。
徐々に悪化して皮膚科に通うようになり、いろんな塗り薬や飲み薬をもらうも、薬を使っている間はマシになるけれど薬がなくなれば元に戻るを繰り返し。
色んな皮膚科を転々としましたが、症状を抑えるだけで劇的な改善は見られず、20年弱経ちました。
デュピクセントを知ったのは、今通っている皮膚科で紹介されたからでした。
「自分で注射する薬ありマスヨー。劇的に良くなりマスネ」(台湾出身の先生)
なんか怪しくない?
正直最初は半信半疑でした。
「パンフレットあげマスネ。動画ありマスけど見マスカ?」
…いや、パンフレットだけでいいです。
という感じで、パンフレットだけもらって読むだけ読んでみました。
(本当にそんな良くなるならいいけどなぁ…
いや待て費用高っ!!無理無理やめとこ!)
「どうデスカー。やってミマス?」
いやぁ…ちょっと高いし、やめときます。
「そうデスカァ。また興味あったら言ってくだサイネ」
というわけで、一旦パンフレットはゴミ箱行きになりました。
やってみようと思ったきっかけは、うつ病
話は変わりますが、私は皮膚科と並行して、心療内科にも通っています。
うつ病と診断されて、休職したり復帰したりしながら、今も闘病中です。
そんな中で課題になるのが、睡眠改善。
お薬も使いながら、布団を変えてみたり、お風呂の入り方を変えてみたり、より質の良い睡眠を十分な時間取ることが、うつからの回復には重要です。
そこである日、ふと思ったのです。
肌がかゆくて眠れないとか、夜中に目が覚めること、結構あるな?
何なら日中も絶えず痒みや痛みに耐えているわけで、小さなストレスを感じ続けている状態…
それって、実はメンタルにもかなり悪い影響を及ぼしているのかも。
肌が弱いことって、自分が思ってたより健康に害があるのでは?
そう言えば、前に皮膚科で紹介された薬があったな…
すごく高いけど、劇的な効果がある(らしい)薬。
もしそれが本当に効いたら、うつの改善にも効果があるかも?
もう一度検討してみよう
というわけで、皮膚科の先生に、前に紹介してもらった薬をもう一度検討してみたいと相談してみました。
「そうデスカァ。じゃあ動画ありマスので、見てクダサイ」
前にも動画って言ってたけど、何なんだ?
と思っていると、手渡されたのは小さめのパンフレットみたいなサイズの紙製の薄い箱と、イヤホン。
「開けたら動画始まりマス」
え、この紙のやつ?
と思いましたが、箱の側面にイヤホンを挿す穴があり、イヤホンを取り付けて紙の蓋を開くと、液晶画面があり、動画が始まりました。
へぇーーーーーーーこんなのあるんだ。
初めて見る物体だったので面白かったです。
内容はパンフレットに書いてあることと同じですが、動画で分かりやすく説明されていました。
パンフレットと動画の他に、ネットでも検索して調べてみたりしました。
この時点で分かったこと、思ったこと
・本当に効くのかなぁ…という不安はあるけど、X(旧Twitter)なんかで使っている人の声を聞くと、先生の言うように劇的に効果があった!って言う人が結構いる。
・自分で注射できるのはすごくいい。今通っている皮膚科が、諸事情により家からかなり離れた場所にあるから通いにくいのと、高い注射なのでまとめて購入できる方が高額療養費制度の関係で出費が抑えられる。
・注射一本当たりの値段とか、高額療養費制度の説明とかは分かったけど、結局トータルでお金がいくらかかるのかがよく分からない。
特に最後の部分が一番モヤモヤした部分で、この情報がパンフレット見てもネットを見ても良く分からないんですよ。
パンフレットの例では、注射6本を2週間おきに打つ(最初だけ2本まとめて打つ)という例が載っていましたが、それなら注射単価×6本分だけの支払いで済むのか?それとも、6本目以降も継続しないといけないなら、もっとお金がかかるのか?
分からないので先生に聞いてみました。
「うーん、続ける人もいマスし、6回で一度やめる人もいマスネ」
なんとも曖昧な返事…
まあ、おそらく6本分をまとめて購入して、その時点で効果がなかったり、もっと続けないといけないけどお金があまりにかかるなら一旦やめればいいか。
注射は1本約1.8万円、6本買ったら10.8万円ですが、高額療養費制度を適用すれば約8万円…
8万…お試しでやるには高い…
けど、それでもし劇的に良くなるなら…
四六時中襲ってくる痒みや、傷んだ肌のケアから解放されるなら…
うーん
まあ、やってみっか。
というわけで、やることを決断したことを先生に伝えると、
「電話で予約を取って来院してクダサイ。ネット予約じゃなくて必ず電話で、デュピクセントの予約と伝えてクダサイ。それまでに高額療養費の申請しといてクダサイ」
とのことで、改めて予約を取って来院することになりました。
そんなこんなで、高額療養費の申請をしたり電話で予約をしたりして、再度受診しました。
初回の注射
「処方箋出しマスので、注射をもらったら受付に渡して、待合で待っていてクダサイ」
へぇ、そんなやり方なんだ。
いきなり注射器を家に持って帰って自分で注射するわけではなく、最初は病院で看護師さんに打ってもらう必要があります。
処方箋を見ると、デュピクセント(ペン)×2本
え、あの、家で打つ分は?
受付の人「今回は病院で打つ分の2本だけで、残りはまた次の診察の時に受け取るんです」
え、そうなん?全部いっぺんに渡してくれるんじゃないんだ。
8万円の現金用意してきたんですが…
まあ、そういうことなら仕方ないので、処方箋を持って薬局へ。
1本1.8万円×2本で3.6万円のお支払い。
ん~~~~~~たっけェ!
これはこの記事用に今撮った写真ですが、こんな箱で渡されます。まあまあでかい。
あとなんか渡された時からすでに開封されてる。
多分、中身に問題がないかを薬剤師さんが確認してくれてるみたいです。
中身はこんな感じ。これは「ペン」と言うやつで、パンフレットなどを見る限り、他に「シリンジ」のタイプもあるみたい。
早速これを持って病院に戻ります。
診察室で看護師さんに打ってもらいます。
デュピクセントを打てる箇所は、二の腕、お腹(へそ周りを除く)、太もも。
初回は場所を変えて2本打つということなので、左右の二の腕に打ってもらうことに。
両方の腕に注射されるなんて、タイで食中毒になって死にかけた時以来だ。
蓋を開けるとこんな感じ。
(画像は使い終わった後の写真なので、使う前とはちょっと違います)
肌に押し当てることで、針が飛び出て来ます。
バチンッという音がして、二の腕がじんわり痛くなります。
刺した瞬間の痛みは感じないんですが、内側からジワ〜っと痛くなる感じです。
注射が終わったら、待合室で30分待機するように言われました。
稀に気持ち悪くなったりすることがあるみたいで、何かあった時のために初回は病院で様子を見るようです。
それから、副作用で目が充血することがあると言われました。
その場合は、眼科に行ってデュピクセントを使ってることを伝えて薬を出してもらうように、とのことでした。
無事に何事もなく30分待機が終了し、次回2週間後の予約をしてこの日は終了になりました。
2回目の注射
2週間後に再度来院。
今日は何本処方してもらえるんですか?
「今日は1本デス。今日ここで打って、また2週間後に持ち帰る分を処方シマス」
え、今回で持ち帰る分まとめてもらえるんじゃないんだ???
薬もらうためだけに2週間後にまた来ないといけないとは…
まあ仕方ないので、1本だけ調剤薬局でもらいます。
1本1.8万円。うーん、出費が痛い。
今回は、看護師さんに教えてもらいながら、自分で注射をします。
腕は自分で注射するには適さないので、お腹(へそ周りを除く)か、太ももに注射します。
今回はお腹に注射することにしました。
「お腹の方が腕より柔らかい分、痛みが少ないと思いますよ」
ほーん、そうなんだ。
アルコールで消毒をしてから、注射器(ペン)を押し当てます。
ぐぐぐっと力を込める。ちょっと怖い。
バチンッ
じわ~~~~
痛みは、うーん…確かに腕より痛くないような?気もする?
「次回これを持ってきてください」
と言われて、緑色の大きなバッグを渡されました。
保冷バッグでした。中には、「デュピクセント廃棄袋」と書かれた袋と、保冷剤2つが入っていました。
(写真は廃棄袋にすでに使用済み注射器が入ってる状態)
デュピクセントは低温で保管する必要があるため、持ち帰る際には保冷剤と保冷バッグが必要なのです。
家に持ち帰ったら、冷蔵庫で保管します。
次回これを忘れたらえらいことだ…(やりそう)
と思いつつ、2回目からは30分待機は必要ないので、2週間後の予約をして帰りました。
3回目の注射
来院して、処方箋をもらいます。
「何本欲しいデスカ?」
え…出来るだけまとめてたくさん欲しいですけど
「一回に6本までデス」
じゃあ6本ください。
(そういう情報は前もって教えてほしかったなぁ)
薬局で注射器6本を受け取ります。
山盛りで運ばれてくる注射器の箱×6。
結構なボリューム感です。
お会計は1.8万円×6本で10.8万円…ではなく、6.2万円。
安く済んだのは、高額療養費制度のおかげです。
高額療養費制度を適用すると、月の支払いの上限額が8万円になります(私の年収の場合)
初回は8月の受診でしたが、2回目と3回目は9月でしたので、9月分の支払いの合計が8万に抑えられます。
2回目の支払いが1.8万円でしたので、今回の支払いは8万-1.8万=6.2万円となりました。
というわけで、初回から合計9本の注射を出してもらって、合計金額は3.6万+1.8万+6.2万=11.6万円でした。
もし、初回も同じ月内で受診できていたら、トータル8万円で済んでいたのですが…仕方ないですね。
私の場合は病院の説明不足私の確認不足でこうなってしまいましたが、出費を最小限にしたい人は、極力同月内で処方してもらえるように日程調整した方がいいでしょう。
注射器を受け取ったら、保冷バッグに入れて持ち帰ります。
家に帰って、自分で注射をします。
注射器を自分で押し込むのは少しだけ勇気がいりますが、注射の仕方自体は特に難しい点はないので、教えてもらった通りにやればOKです。
使い終わった注射器は廃棄袋に入れて保管して、次回来院した際に病院に返却します。
4回目以降の注射
冷蔵庫に保管しておいたデュピクセントを、2週間に1回のペースで注射していきます。
6本分の箱は、冷蔵庫内でそれなりに場所を取ります。
冷蔵庫に余裕があるご家庭は問題ないですが、我が家のようにいつもギチギチにしてしまっている方は、頑張って場所を作りましょう。
チルド室や、冷風口近くはダメだそうです。
2週間に1回に注射することも、記憶に頼ったら私の場合は確実に忘れるので、あらかじめカレンダーに注射する日を記入しておきました。
まあ、その日忘れていて数日ずれこんだりする分には問題ないとは思いますが。
そんなこんなで、現在6本もらったうちの5本目(初回から合わせて8本目)まで注射をしたところで、現在も継続中です。
で、気になる効果は?
その前に…
私の症状
【手】
乾燥していて、常に数カ所があかぎれ。
痒くて掻いたところはボロボロになって、血が出ている。
爪の付け根の肉がなくなっていて、爪がガタガタ。
冬場はあかぎれがひどくなり、夏場は手のひらに痒いブツブツができる。
【足】
すねのあたりがよく痒くなり、搔きむしって常に血が出たりかさぶたになっている。
すねから太ももにかけて斑点状に痒いイボのようなものが現れ、掻いて出血し、かさぶたになって治った後も黒く跡が残っている。
【胴】
腹や背中に足と同様の斑点状の出血やかさぶたができている。
【顔】
乾燥して赤くなり、粉を吹いたり痒くなったりする。
【頭】
頭皮がかゆく、掻いたことで出血していたり、フケが出たりする。
【痒み】
肌が荒れていることでの痒みがもちろんあるが、全く荒れていない場所が急に猛烈に痒くなり、掻くことで肌を傷めたりする。
肌の表面だけでなく内側から湧くような痒みを感じることがある。
こんな感じです。
特に手が一番痒みも状態もひどかったです。
デュピクセントを始めてからの変化
初回の2本を打った後の2週間では、肌の見た目の変化は感じられませんでしたが、猛烈な痒みが襲ってくる頻度が減りました。
それによって掻きむしる頻度が減りました。
2回目の注射の後から、肌の質が変わってきたのが分かりました。
表現が難しいですが…もともと乾燥してガサガサのスポンジのようだった肌の表面が、油分を含んだつやっと弾力のある質感に変わりました。
掻きむしる頻度が減ったこともあり、肌の状態も良くなり、あかぎれや出血が目に見えて減ってきました。
3回目の注射の頃には、肌の状態がかなり良くなり、急な痒みの発生もかなり少なくなりました。
それ以降は、その状態を維持しながら、既にできてしまっていたかさぶたや黒ずみが徐々に消えていくという感じです。
と、概ね「劇的な改善」と言っていい効果がありましたが、
それでも残った症状もありました。
①頭と顔
頭と顔は、肌荒れと痒みが残りました。
全く改善していないというわけではないのですが、他の場所と比べるとかなり効果が薄い感じ…
と思ってネットで調べてみると、デュピクセントは顔や頭には効果が薄いというような情報が出てきました。
(ネット情報なのでどこまで本当か定かではないですが)
病院ではそんなこと言ってなかったんだけどなぁ
でも自分の実感としても、確かに顔や頭にはあまり効いていない感じがしました。
そのため、顔と頭はデュピクセントとは別の対策をしてケアしています。
②急な謎の痒み
デュピクセントのおかげでツヤツヤできれいな状態になった部分にも、時々、突然痒みが生じることがあります。
特に手のひらで起きることが多いです。
猛烈に痒く、肌の表面と言うよりは内側から湧き出てくるような痒みです。
これに関しては、肌荒れとは別のメカニズムで生じているのかもしれませんが、以前同様に氷で冷やすことで緩和しています。
ただ、以前と違うのは、肌質が改善して強くなったことで、多少掻いた程度ではボロボロになって出血することがなくなったことです。
以前は、突然の痒み→耐えられずに掻く→肌がボロボロになる→荒れたことで痒みが発生 という悪循環でしたが、多少掻いてしまっても、肌が持ちこたえてくれるようになりました。
そのため、冷やして痒みが収まれば、それ以上悪化しないで済むようになりました。
一番嬉しいのは手の症状の改善
今まで一番症状がひどかったのが手で、ケアにも時間をかけていました。
水仕事をするのもつらいし、余計に荒れるしで最悪。
一番使う部分だけに、手が荒れているとストレスが避けられませんでした。
肌質が改善された今は、あまり気を遣わずに洗い物ができますし、出先で痒くなって発狂しそうになることもなくなり、裏起毛の手袋を使っても傷口に毛が入り込むこともなくなりました。
あと個人的にすごく嬉しいのが、爪が綺麗になったことです。
爪の付け根の部分が炎症を起こしたせいか、本来爪と指の肉が滑らかにつながっている部分が消失してしまい、なんとも不格好な爪になっていたのです。
爪自体もきれいに生えてこないでガタガタになっていて、人に指を見せるのが嫌になっていました。
症状がひどいときには、爪が生えてくる部分が正常に機能せず、爪自体がなくなってしまうこともありました。
それが、デュピクセントを始めてから爪の付け根が復活し、つるつるで滑らかな爪が生えてくるようになったんです!
あかぎれもないし、爪もきれいになって、これなら人に指を見せても恥ずかしくありません。
やる前はあまり意識していなかったけど、見た目の変化も結構嬉しい効果でしたね。
それでもケアはした方がいい
デュピクセントで劇的に良くなったとは言え、健康な状態のお肌でもケアはするに越したことはありません。
着る服の肌触りや、夏場の汗、冬の乾燥に気を付けています。
あと、頭の痒みに関しては、シャンプーを変えることでだいぶ改善しました。
美容室で頭皮の痒みを相談したら、ピロクトンオラミン入りのシャンプーをオススメされました。
普通のシャンプーと比べると結構高かったのですが、使ってみたら頭皮の痒みが激減、フケが出ることもなくなりました。
それから、何種類かピロクトンオラミン入りのシャンプーを試してみて、今は「コラージュフルフル」という商品に落ち着いています。
残る課題は顔です。
シャンプーと同じコラージュの洗顔と、保湿のためのオールインワンジェル(ずぼらなので)を使っていますが、まだだいぶ痒みがあります。
以前から皮膚科で処方されている保湿クリームや顔用ステロイドなどを使って、なんとかいい状態を保とうとしています。
洗顔や化粧水、乳液を変えたら良くなったりしないかなぁと思っているので、色々試してみようと思います。
まとめ
というわけで、デュピクセントを始めて3か月経って、私は劇的な肌荒れの改善を実感できています。
今までの肌表面をなんとか修復しようという対処療法と違い、荒れにくい肌質に近づけることができ、根治に近い効果を得ることができました。
一方、費用としては約12万弱と、かなり高額になりました。
さらに、このまま継続していくとすると、3ヵ月ごとに8万円がかかっていくことになります。
正直かなりしんどいです。
効果があるからって気軽に使い続けるぞとは行かないのが辛いところですね。
次で6本持ち帰った注射が打ち終わりますが、すぐに次の6本をもらいにいかずに、一旦様子を見ようかなと思っています。
注射をやめても良くなった肌質が継続するなら万々歳ですし、もしまた悪化しだすようなら注射器をもらいに行って再開しようかなと思っています。
その結果も、分かり次第この記事に追記したいと思います。
最後に、大変長文になりましたが読んでいただきありがとうございました。
もし、あなたがデュピクセントを使うか迷っている方なら、一つの参考になる体験談になれば幸いです。
それでは。