次世代デザインツールのデザイン ~感動を生む循環をつくる~
先日開催された、DIST.26 「Webサービスの個性を支えるデザイン」にて登壇させていただいたのをきっかけに、
・どんなことを大切にして、サービスを作っているのか?
・どんな思想でプロダクト、コミュニティ、ブランドをデザインしているか?
など自分の考えをまとめる機会があったので、せっかくなのでnoteにもまとめてみる後半。
前半はこちら ↓
STUDIOを構成する3つのデザイン要素
こちらのセクションから、もう少し具体的にどんな要素を意識しながらSTUDIOを作っているか?を説明してみる。
STUDIOを構成する要素は、主に3つのデザイン要素に分けられる。
1. Visual Design
2. Product Design
3. Communication Design
まず1つ目が、「Visual Design」
その名の通り、ビジュアルをデザインする部分である。
これは主に「発見」の際に、力を発揮するデザイン要素。
アウトプットでいうと、Landing Pageやバナー、動画など。
ここでは、初めてSTUDIOを知った人に対して、
「いかに良い印象を与えられるか?」
「ワクワクを見せてあげられるか?」
が大事なポイントになってくる。
次に、「Product Design」
サービス本体のデザインである。発見からの「体験」の際に、主に力を発揮するデザイン要素。
アウトプットは、提供するサービスそのもの。
いかに気持ちよく、快適にサービスを利用してもらえるか?価値を届けられるか?
が重要なポイントなってくる。
ここでは、いわゆるデザインとプログラミング、両方の視点が大事になり、その2つの組み合わせでいかに「良い体験」を作れるかが最重要事項。
そして最後に「Communication Design」
使ってくれたユーザーとのコミュニケーションをデザインする部分。
これは発見、体験からの「感動」を作る際に、主に力を発揮するデザイン要素。
ここでのアウトプットは、なかなか目に見えづらい関係値だったり、熱狂度などになる。
なので、サービスを使ってくれたユーザーに
「いかに感動を与えられたか?」
「お客さんをファンに出来たか?」
などが大事なポイントになってくる。
Communication Designにおいて、僕たちは実際にこんなことをやってる。
1. オンラインでユーザーに話しかけまくる
サイトを訪れてくれた方や、登録してくれたユーザーに対してにフレンドリーにガンガン話しかけまくる。ここでは固くならずに、フランクな感じで話すのが大事。こちらが固い感じだと、あちらもかしこまってしまってなかなか仲良くなれないので。
また最初の印象が肝なので、初期ユーザーには必要以上にサポートしたり優しくするようにすることを心がけている。
2. オフラインでユーザーに会いまくる
最近は規模が大きくなってきており数が絞られるが、初期のころはよく使ってくれてるユーザー全員に連絡しまくって、どんどん実際に会いに行ったりもしていた。
そこでユーザーインタビューはもちろん、どんなデザインが好きだ、とかSTUDIOの理想みたいなのをゆるい感じで話したり、STUDIOの使い方でわからないことがあるユーザーには、マンツーマンで教えたりしてた。
例えば、Designshipの人とかは、夜の10時くらいからオフィスに来て使い方を教えながら、もはや一緒にSTUDIOでサイトを作ったりもしてた。
一見そういった行為は全然スケールしないし、課金されても$9だけなので、全然割に合わないのでは?って思われがちだが、初期のサービスで大事なのは割に合うとかではなく、「いかに熱狂的なファンを作れるか?」だと思っている。
なので、要素的には3つだが、これをいかにうまく循環させるか?こそが一番大事。その循環を作るのが、サービスデザインになる。
図にすると上記のイメージ。
まず、1. Visual Designで良い「発見」を提供する。
そこでwow!となった人が、実際にサービスを使って良い「体験」をするように 2. Product Designをする。
そして、予想以上の優しさやサポートで「感動」を覚えて、ファンになってもらうように、3. Communication Designをする。
この一連の流れを作るのがすごく大事。
どこか1箇所が突出して良いとかではダメで、ちゃんと3つが繋がっていることが重要である。
なので、まずは小さくてもいいからこの流れを作る。
そこに強い感動を覚えたユーザーをどんどん取り込んでいく。
そうするとそんなファンが、自然にその輪を拡大してくれるはず。
そんな流れが作れたらもう勝ちで、あとはしっかりと循環が出来ているかを確認しながら、スケールしていけばいい。
ブランドの醸成
そんな循環を作り、ファンが増えてくると徐々に「ブランド」も醸成されてくる。
ブランドとは一朝一夕に出来るものではなく、
「目に見えないアセットをどれだけ積み上げられるか?」
がすごく大事。
また、機能だけで勝負をしていると、Webサービス等はすぐに同質化してしまう。そしてより良い機能をもった競合がでてくると、すぐに負けてしまう。
なので、機能だけで勝負をするのでなく、自分たちが大切にしている「独自の価値観を言語化すること」が重要になってくる。
そして、そんな価値観を言語化することが出来たら、あとは前述のサービスの循環の流れにそっと流す。すると自然にその価値が循環・増幅していき、「ブランド」が出来上がってくるはず。
質を極めることが、デザイナーの役割
加えてもう一つ、ブランドづくりで大切にしていることは
「いかに質の高さをキープできるか?」
ブランドやイメージは、「接触頻度」と「質の高さ」によって構築されていくと考えており、この質の高さをキープするのが大事かつ、とても難易度が高い。
一般的にサービスが拡大し、会社が大きくなると、施策の数が増えることにより、質の担保が疎かになりがちである。※数人で回していたころと比べ、デザインの統一性も担保しづらくなる
しかし、もし質が低いクリエイティブでの接触頻度が増えれば増えるほど、それはブランドにとってマイナスになる。
そしてブランドは非常に繊細かつ脆い。少しでもマイナス要素があるとすぐに崩壊する恐れがあるので注意が必要である。
そのため、まさに現在僕たちも意識しているところなのだが、
「質の高さをいかに担保できるか?」
には、とても繊細に気を配る必要がある。
もし質の低いもので接触頻度をあげようとしている場合は、数をすごく制限してでも、より良いものを見せれるようにしたほうが良いと考えている。
そして、デザイナーの役割とはまさにそんな「モノごとの質を上げること」である。
情報やモノは現在世に溢れているので、数にこだわるよりも「質」で勝負したほうがいい。
昨今、デザインの重要性が叫ばれているのはこういった理由だと思っている。
なので僕は、多くのデザイナーがこだわりをもって「作品」を作ってくれることこそが、より良い世界を創るのに重要だと信じている。
まとめ
・単なる機能を持ったWebサービスを作るのではなく、感動をあたえられるような「作品」を作る。
・3つのデザイン要素を大切にして、感動を生むための循環を作る。
・その循環が出来たら、最初は小さくてもいいから熱狂的なファンを作る。
・「質」の高さを担保しながらスケールする。
・上記の流れで、ブランドを醸成していく