高校生のための士業入門 高校生でも特許権は取れるの? 知的財産権について知ろう!<弁理士編>
よく目にするブランドのロゴデザインや、みなさんが使用している電化製品は特許権や商標権、意匠権といった“知的財産権”で守られているものがほとんどです。知的財産権とはいったい何なの? 今回は、知的財産の専門家である弁理士が高校生の疑問にお答えします。
Q.部活中にローラースケートで走るロボットを開発したのですが、高校生でも特許を取ることはできますか? 特許を取るためには何をすればいいのでしょうか?
特許権について詳しく教えてください!
A. 特許の取得には年齢制限がないため、高校生でも取得できます! もし特許出願を考えているのなら、特許庁へ出願するための書類作成や手続きを手伝ったり、取得した権利が真似された時の対応などを専門とする弁理士に相談するのがおすすめです。
今回の場合は、“ローラースケートで走る”という点で特許取得を考えているようでしたが、ロボットのデザインが優れていれば「意匠権」、ロボットの名前が特徴的な場合は「商標権」の申請をすることができます。それらをまとめて「知的財産権」といいます。それではこの「知的財産権」について勉強していきましょう。
■知的財産権とはいったい何なの?
人々によって生み出されたアイデアや創作物に付いている財産的な価値のことを、“知的財産”と呼びます。知的財産は、以下のように分けられています。
●特許権…新規性・進歩性・産業において利用できる可能性の高いアイデアを、誰にも真似されない自分だけの権利。
●実用新案権…特許同様アイデアを保護する権利。しかし、モノの形状や構造、組み合わせを保護する点、無審査で登録できる点で特許と大きな違いがある。
●意匠権…「車」や「電子レンジ」、「スマートフォン」などの“道具”として使われるものに施されるデザインを保護する権利。
●商標権…名前やロゴなど、商品やサービスの目印となるものを守る権利。文字、図形、記号だけでなく、動きや音、位置や色彩も登録することができる。
●著作権…自分が創作した著作物を無断でコピーや、インターネットで利用されないように守る権利。著作者が著作物を創作した時に自動的に発生する。
知的財産には、工業的価値を守る「特許権」、「実用新案権」、「意匠権」、「商標権」と、文化的価値を守る「著作権」があるのです。それらを守る権利のことを総じて「知的財産権」といいます。
それでは、今回の質問者の例で考えてみましょう。
■意匠権と著作権は何が違うの?
“同じデザインを守る権利である、意匠権と著作権は何が違うの?”と思った人も多いのではないでしょうか。「著作権」は著作者の考えや感情などから創作された作品を守るという点が「意匠権」と大きく異なるポイントです。例えると、
■自分の考えた小説・自分のオリジナルキャラクター→著作権
■電化製品や車など工業的価値のあるデザイン→意匠権
となります。著作者の思想や創作といった文化的価値を守るのが「著作権」、物のデザインなど工業的価値を守るのが「意匠権」と覚えておくといいかもしれません。
■まとめ
特許権自体は、年齢に問わず誰でも申請し取得することができます。特許を取得することで、自分のアイデアが誰にも真似されなくなり、安心して新しいものを創り出すことができるようになるほか、取得した権利を譲渡することで収入を得られるといった利点があります。
“あっ”と驚くような発明をした時は、ぜひ弁理士に相談してみてくださいね。
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