【活気がある「アクティブラーニング」を行う方法】 〜チームの相乗効果に必要なこと〜
新しい教育の波はすでに全国各地に及んでいる。全国の各学校では、アクティブラーニング がすでに「活気的に」行われているはず・・・。
教育関係の仕事に携わっていない方々にはいまいちピンとこない「アクティブラーニング」を筆者(田中GT善将)が独自の視点で考える。
子どもたちが、ファシリテーターのアクティブラーニングで相乗効果を生むためには、一体どのような仕掛けが必要か?
本日は、第一話で扱った、主体的に学べる工夫がある前提で、生徒が如何にして相乗効果を生むかを考えたい。
さて、相乗効果とはそもそも何か?
相乗効果(そうじょうこうか、シナジー、英: synergy)とは、ある要素が他の要素と合わさる事によって単体で得られる以上の結果を上げること。~wikipedia~
学びの現場では、単体で得られる以上の学びを、チームが教授するということになる。上記を定義とし、話を進めたい。
アクティブラーニングでありがちな3つの間違い
筆者は、恥ずかしいながら、まだまだ発展途上なエデュケーターであるために、以下のような経験がある。
①グループワークとチームワークの誤解
皆様は、この問いにどうお答えになるだろうか。
『アクティブラーニングすなわちグループワーク』と短絡的に捉えてしまうことを筆者はかつて経験した。
問題をグループで考えさせ、しかも各グループに問題が解けそうな生徒を配置したのである。
結局、解ける子が、解けない子に教えて、グループワークが終わってしまう結果になってしまった。
筆者の「【Newspicksブックnote1】 THE TEAM ~5つの法則~ から考える教育へ」でも述べたが、この例ではあくまで、教員の役割を、問題が解ける生徒に押し付けた形に過ぎなかった。
私が生徒に求めるのは、「アクティブラーニング」であるので、主体的に取り組める問いも準備したからには、チームとして取り組んでほしい。
授業後、グループワークのままだと教科に苦手意識を持っている生徒が、教えてもらうクセから抜け出せないことを悟った。問題を解ける生徒が一方的に教えていたからである。
それはそれで意味があるといえばあるが、グループではなく、共に補完し合い、影響しあい、共通目的のために意思統一をし、チームとして取り組むファシリテーションを心がける必要があると感じている。
②否定をしない。否定をさせない。
アクティブラーニングで生徒につけさせたい能力は正解を導き出す能力だけではない。論理的に説明する能力や表現能力も高めることが求められる。
例えば、答えが決まっている問いだったとしても、
『あなたが先生なら、この問題をどのような方法で生徒に解説しますか?』
としておく。
すると、論理的に正解を出したとして、それをどう説明すれば、わかりやすい解説になるのか、感受性豊かな生徒にスポットライトが向くのである。
図を描くとすればどうなのか、どんな体験をセットで組み込むかなど、チーム内のアレンジは多岐にわたる。
正解が決まっていない問いかけを工夫することで、「間違っている案を出してしまった」と二極論に陥る機会を減らすことは有効だと考える。
きっと読者の皆様は優秀な方々でいらしゃるので、釈迦に説法であるかとは思うのだが、生徒に発問して、手が上がらなかったことはないだろうか?
生徒は間違うことが怖くなった時、意見を言うことをしなくなる。
お恥ずかしい限りであるが、筆者は、先述の通りであるので、この酸っぱい経験をしている。
これは教師が生んでしまう、もっとも悲しい現実の一つだと私は考える。生徒は模造品ではないのにも関わらず、正解が言える人だけが求められているような潜在意識を植え付けることにもなりかねない。
同様の配慮を生徒にもさせる必要がある。
「必ずこの子の意見にはヒントが隠れているし、意見を言うことは、このチームへのコミットの証であるからリスペクトをしよう!」ということを、納得するように伝えることは、エデュケーターの重要な役割ではなかろうか。
「でも先生、明らかに方向性が真逆な場合はどうしたら・・・」と生徒が問いかけてくる。
その時、私はこう答えることにしている。
「『その意見について、こう言う観点はどうなってるんだろう?』と質問すしてみなさい。そうすると、「間違っている」と言うワードを使わずに、みんなで気づき、前に進める。すごくあたたかい空気が流れるよ。」
はっきり言ってこれも、気を抜けば大人でもやってしまう部分である。よく社会人セミナーなどで、意見にふたをしてくる人はいないだろうか。
一気にそのセミナーでの学習意欲を削がれた経験が筆者にはある。
これは、チームでの安心安全な場作りには欠かせない工夫である。そう言うことを体験させられるのも、アクティブラーニング の一つ魅力ではなかろうか。
③短時間でのシェアの徹底
例えば、「課題に対して10分でグループの解を出してください」と言うファシリテーションをよく聞く。
これは「えっ、幾ら何でも短すぎる!」と言う会場の温度感を感じる時がある。
だが、アクティブラーニング では、極端にいえば、時間は短ければ短いだけ良いことを最近学んだ。
何故ならば、その10分で、各チームの「切り口」が共有されるからである。
つまり、10分間で満足のいく答えまでたどり着かなくても良い、と言うことである。
一旦シェアをし、「切り口」を共有した後の方が、アイディアが湧きやすい場になる。これは、分断したチーム単体で取り組むと言うことではなく、チームが集まった教室の場、そのものが一つのチームになっていると考える、と言うことである。
①と②に配慮を配り、チームで否定しない空気ができていれば、アクティブラーニング を行なっている場自体が、有機的な一体感をもち、アイディアを出しやすい状態になる。
時間をかけすぎず、いかに早く、切り口をシェアしていくのかが重要になる。具体的には、ワールドカフェと言う手法もある。
これらが相乗効果を生む土壌だと、筆者は考える。
さて、本投稿では、チームの相乗効果を生むアクティブラーニング について論じてきた。
まだまだ発展途上のアクティブラーニング であるが、良い実践例を今後も打ち出していけるよう、精進してゆく次第である。
筆者:田中 GT 善将
School Agent 株式会社 COO / Google 認定イノベーター / 郁文館グローバル高校 / 自分を磨く学び場「臥龍庵」庵主
https://twitter.com/MathYT0511