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私とCCIEその1(プロローグ~Routing and Switching編)
私とCiscoの技術者認定資格のCCIEとの関わりみたいなものを書いてみようかなと思います。
CCIEってなに?という方は、最初に
せめて妻と子供にはわかってほしい。。俺が苦労して取得したCCIEってなに?
を読んでいただけると、より内容がわかってもらえると思います。
カバーの写真は、本当に若かりし頃の写真です。。いやーー、、、若いなぁ(笑)
1.CCIEとの出会い
私がCCIEという資格の存在を知ったのは、かれこれ20年程前になるでしょうか。
その頃はCisco機器に関わる仕事は全くやっておらず、LAN配線システムの設計や工事などといった、完全レイヤ1の世界の仕事をしていました。
自分の会社にはそういった配線工事部隊と、ネットワーク機器の設計・設定・構築をなりわいとしていたSE部隊があり、その部署の友人Mがシーシーアイイーなるものをめざしているという会話を聞いたのでした。
そのときは、「なんじゃそれ?」くらいにしか思っていませんでした。
その頃、ちょうど私はアラサー。自分がこの先どんな方向に進むべきかいろいろ悩んでいました。そして、Mがやっているようなネットワーク機器を設計・設定するような仕事をしたいと思うようになりました。
2.最高峰CCIE登頂への第一歩を踏み出す
そのとっかかりとしてCiscoの資格をとるために、Mのアドバイスもあって、当時は一番下の資格、CCNAを取得することを目標にしました。
このとき、初めてCCIEという資格が(当時)Ciscoの技術者資格の最高峰だということを知りました。
私は、その資格をもった人達は、それはもうとてつもない知識と経験をもった人達なんだろうなーという風にイメージしておりました。
そしてなんとか独学でCCNAに合格。その後、ネットワークデザインに関する資格、CCDAも合格しました。
3.自分でもびっくり。。Ciscoへの転職
人生とは実におもしろいもので、経験もない、基礎知識しかない状態の私が、どういった訳かCiscoに転職できてしまいました。
私が配属された部署は、お客様と高額な契約を締結し、その対価としてエキスパートエンジニアがネットワーク技術や知見を武器にアドバイスをするという、コンサルティング部門でした。
なので、「CCIEを持っていないとお客様先に出すことも許されないという、なんともハイスペックエンジニア集団の部隊でした。
なぜ自分がそんな部署に配属されたのか。。。。つくづく転職は運と縁なのだと当時感じました。
当然ながら、先輩の方々とは知識も経験も圧倒的な差があります。
前職の会社は、松下電工いわずとしれた大企業です。両親も安定した企業に就職できたと喜んでくれていたし、妻の両親もその企業名を聞いて結婚を許してくれたという側面も少なからずありました。
そんな超安定企業を辞めて転職した手前、簡単に音を上げる訳にもクビにされるわけにもいきません。
4.本丸CCIEへの挑戦開始
そこからは、本当に鬼気迫る思いでの勉強が連日続きました。
家族にも相当迷惑をかけました。休日や深夜も勉強に明け暮れたわけですから。
CCIEは、試験が2段階あります。
最初はオンライン試験。100問の問題を決められた時間に解く必要があります。その試験に合格したら、次は実機を使ったラボ試験。こちらは、1日かけて問題に合った設定をしていきます。
当時はまだ本当に自分の持っている知識の引き出しが少なかったので、ひたすら詰め込んでいく日々。それも、前職ではほぼ必要なかった英語との闘いもありました。
私は正直、頭はよくありません。ただ努力を継続することはできます。コツコツと勉強をし、CCIEのオンライン試験は6回目でようやく合格しました。入社して3ヶ月目のことです。
5.衝撃のラボ試験1回目
いよいよラボ試験にむけての勉強開始。会社にはラボ試験用のポッドというものが用意されていて、それを使わさせてもらえることができました。これは本当にありがたいことです。自分で機材を調達する必要がないというのは経済的にどれだけ大きいか。
最初はどんな問題が出るのかなどまったくわからなかったので、先輩のアドバイスで教えてもらった問題練習本を中心に勉強しました。
初めて受けたのはオンライン試験を受けてから3ヶ月後でした。
臨んだ1回目。
もう衝撃でした。
問題の意味がわかりません。英語は読めるのですが、多くの問題がなにを求ているのかがわからないのです。
実は、試験中Webを使って、Ciscoの技術資料を見ることもできます。
しかし、検索ができたとしても、どこを調べていいのかすらわかりません。
完全に打ちのめされました。
これまで自分が勉強してきたと思っていたボリュームと深さが全く足りていないことを痛感させられました。
6.地獄のラボ試験勉強、そして落胆
そこからは完全に意識を変えました。
甘さを捨て、鬼となりました。
明けても暮れても機器設定の練習。
この頃からです。
夢の中でも設定を始めたのは。
夢の中で、コマンドを入力しているのです。
合格された方はおそらくみんな経験されたのではないかと思いますが、ここでようやく合格するための精神領域にはいってきたのだと思います。
そして臨んだラボ試験2回目。
問題を見て顔がほころぶ。
わかる。わかるぞ。
1回目に比べると格段に理解できている。
自分の成長が実感できた瞬間でした。
そしてかなりの手応えを持って試験終了。結果を待ちます。
しかし、それでもFail。
これがCCIEです。
このときはかなりショックでした。
あれだけ勉強してもまだ届かないのか。
7.CCIEモードの領域到達、そして歓喜
しかし落ち込んでいる暇はありません。
高みに向けての闘いは続きます。
これまでの試験のやり直し、細かい部分までのチェック、そしてCiscoのWebページで確認できる技術資料のどこに何が書いてあるのかの検索練習にいたるまで、潰せるものはすべて潰していきました。
仕事、食事、睡眠以外の時間はすべてラボ試験のためにあてた、という感じです。いや、睡眠時間すら削って時間を確保していったというのが正確かな。
そしてラボ試験3回目の挑戦。
ここで神が降りてきました。
合格した人からよく聞いていたのですが、合格した時には自分がトラブルにあわない、これはいけると確信できる感覚を感じることができたのだそうです。
まさにその状態。
かなり時間に余裕を持たせて終了できました。
そんな確信に近い出来で終了できても合格できているかどうかわからないのがCCIE。
確信と不安が入り混じった状態で結果を待ちます。
次の日の早朝、結果が出たというメールが届き、Webから結果を確認。
結果は、PASS。
「うぉぉぉーーーー!!!!」
夜中でしたが、叫びました。
これまでの人生で最もうれしかった瞬間の一つになったことはいうまでもありません。
こちらがCCIE合格したら受け取れる盾です。盾が届いたときはうれしかったなぁー。
8.死闘を終えて感じたこと、からの「え?」
転職してから11ヶ月弱。もちろん、環境に恵まれていたという部分もありましたが、本当に「ゼロ」からのスタートで、1年前には雲の上の存在だったCCIEを手にする事ができたのです。
CCIEの取得に関しては、とにかく短期間ということを重視しました。
同時期入社したメンバーの中では絶対に1番早く合格してやろうと。
他の人はネットワークエンジニアとしてのキャリアがある人達ばかりでしたから、自分をアピールしようと思ったらそれしかなかったのです。
そしてそれは実現できました。
こういう覚悟と思いって、大事なんですよね。
ただ、CCIEに合格したからと言って何もかもがわかるようになったというわけでは全くありません。
むしろ、自分に足りないものがはっきり見えてきます。
ここからが本当のスタートです。
ようやく、当時の部署でお客様の前に出させてもらうための最低条件がそろっただけのことです。
さあ、これからネットワークのエンジニアとしてがんばるぞ、と思った矢先のことです。
当時のマネージャから会議室に呼ばれ、衝撃の一言をもらいました。
「タカハマちゃんさあ、君にはこれから一生Voice野郎になってもらうから。」
え。。。。。。
一瞬、我が耳を疑いました。。。。
この瞬間から私のVoiceエンジニアとしてのキャリアがスタートしました。
その後、エンジニアとしてはずっとVoice畑を進みました。
本当に、人生ってわからないものです。
ただ、ネットの世界で通信する音声の技術は、Routing & Switchingの技術の上に作られています。
なので、最初にがっつりRouting & Switching勉強したことは本当に大きかったと思います。
その後、CCIE Voiceに挑戦することになるのですが、それはもう少し後の話になります。
CCIE Voice のお話はまた別の機会に書こうと思います。
ということで今日はこのへんで。
日々感謝 m(_ _)m