検索すれば学びの機会に溢れる時代の中であえて企業研修をする意義とこれからのあり方とは
インターネットで検索すれば情報はすぐに出てくる
自分が身につけたいスキルや知識はそこにある
どれを選ぶかは個人の自由
その中で企業おける全員参加型の研修はそれらの意向を無視しているのかもしれない。
けれど、社会人の学習についての情報を調べてみると平均して1日6分というから驚きだ。
もしも学習意欲の高い人たちの集まりならば企業研修などはもしかすると不要なのかもしれないが、そうではない一面もあるとぼくは考えている。
これからの企業研修は単純な知識のインストールという枠組みを超えていく必要があると捉えています。
情報が溢れるこれからの時代に考えていきたい企業研修のあり方や考え方を書いてみたいと思います。
1.企業カスタマイズして講座を組み立てる
これは何も情報が溢れる時代だからというわけではないが
企業の状態や課題感に合わせて講座を組み立てていく必要がある。
そこには
・経営者や研修担当の方の意向
・受講する人たちの状態や課題感覚
二つの視点があり、経営者や研修担当者の意向だけと取り入れた研修をしても受講者が嫌々参加するようでは効果が薄くなってしまう。
受講者にも受講したくなる仕掛けや納得感が必要になってくる。
企業の目指す方向性に合わせてカスタマイズしていくことや、年代別の課題などにフォーカスした取り組みが必要になるように思う。
例えば、経営者や研修担当者が、店舗を受け持つ店長たちに自分たちで考えて行動できるようになってほしいと思っているとしたときに
一方的に、店長としての心構えやあり方などを考えさせるリーダーシップの研修を行うのではなく、
店長たちの実態として教える時間がないとか上手く後輩育成できていないという課題感の方が強ければ、ティーチングやコーチングを身につけてもらうことの方が先に行うべきことなのかもしれない。
そんなふうに企業の望むことと、実態を踏まえた上で研修プログラムを構築していくことが重要なのは、変わらず必要なことと思う。
そして何が最適な学びなのかはもちろん一人ひとりにとっては違うのだろうけれども、最適であろうことを研修担当者と研修講師で対話して作り上げていくということもあわせて重要なこととだと思う。
2.学習に割り当てる時間を確保する。
冒頭で社会人の学習に充てる時間の少なさについて書いたけれども
・学習する気がない人
・学習する気があるけれど時間が確保できない人
・学習する気があるけれど、何が自分にとって必要なのかわからない人
これらのいずれかに該当しているとおもうし、最初から「学習する気がない」という人はほとんどいない。
社会人にとって、社歴が重なれば重なるほど責任が増えやるべきことが増えていき、学習する時間がとれないというのがおおよその社会人の実態。
とすれば企業として従業員に対して、強制的に「学習する時間を提供し確保する」ことも重要で、学びたい従業員にとっても会社で働く時間を使って学ぶことができるからお互いメリットがあるように思う
もちろん中には「なんでこんな研修を受けさせられるの?」という考え方を持つ人もいるかもしれないが、
それは事前の研修への案内が不十分だったり、組織文化として学ぶことが定着していないことに起因しているのかもしれない。
3.同じ学びをするという共通体験が必要
従業員がその気になればインターネットを活用し自分の好きな学びを得ることができる。最近では動画で学べるコンテンツも充実してきている。
通勤時間や移動のちょっとした隙間時間を利用して学ぶ人も多い。
ただ、良くも悪くも個人的な学びになり、その学びを他の人たちと一緒にすることはできない。
例えばキャリア形成について考えを深めることを個人なりにしたとしても、
同僚、上司、部下が同じ学びをしていなかったとしたら、相手に理解を求めることが難しくなる。
例えば、上司が部下自身にもっとやりたいことを考えキャリア形成してほしいと願っているとしても、部下自身にキャリアを形成するための考え方が備わっていないと難しかったりする。
逆の例としてあげてみると、部下の立場でキャリアについて学んだとしても、その重要性を上司が理解していないとすると
それをいくら伝えたとしても、日常的な仕事の中での変化は起きにくくなってしまう。
あらゆる世代が同じ学びをしていることに安心感があり
組織文化をつくっていくという機能が企業研修には備わっている。
だからこそ、「どんな学びの機会があったらいいか」は常に考え続けていく必要がある。
また、まったく同じ研修プログラムを提供し続けていても時代に合わない(受講生にとってマッチしない)プログラムにしても効果が薄くなっていくので、常にバージョンアップさせ、洗練させていくということは
企業研修を行うぼくらに大切な姿勢なのだろうとも思う。
4.企業内で学習から実践への導線を描く
企業内で行う研修は「学ぶ」だけではやはり終われない。
育成がゴールなのではなく、成果を上げていく必要がある。
研修を受けたからといって即座に成果として現れることはなかなかないのかもしれないが、研修を開催することがゴールとなってはいけない
たまにですが、企業研修の担当の方と話をすると「年間◯本の研修を行うことになっています。何をしたらいいか」ということをおっしゃる方がいます。
予算の都合上そういう発言をされるのでしょうし、立場上まずその研修の回数目標をクリアしないといけないというのはあるのだと思います。
しかしながら、研修を年間10回やったとして
それを受講した人が何年待ってみても、何も変化を起こさなければ、回数を重ねることの意味は無くなってしまいます。
だからこそ企業研修担当者は「学んだことをどう生かす?」ということを受講者に問い続けることが必要になってきます。
5.学び合いと実践の場をデザインする
そうはいっても、「研修で学んだでしょ、あとは個人で頑張って」といってもなかなか成果に結びつきにくいかもしれません。
受講者どうしの「学び合いの場」と「実践の場」をデザインし、日常業務に散りばめる必要があります。
例えばリーダークラスにコーチングやティーチングの研修を実施したとしたら、単発ではなく連続講座にし「職場で実践してきたことを振り返り、伝え合う場」というのを作る。
そうすることで「他の人も頑張っているし、自分も頑張ろう」と思えたりします。
また別の例でいうと、部署を超えた取り組みを考えてほしいという狙いの研修だとすると、それも研修が終わったあともしっかりと「部署を超えて学んだことをどう生かすかアイデアを出し合い、実行していく場」を作ってあげる必要があります。
どこまで自主性を尊重するかという力の入れ具合は都度様子を見ながら調整する必要がありますが、
「目の前の仕事に追われて部署を超えて話し合う場を自ら作れない」という人は多い。
だからこそ学びの場をつくることと、実践の場を作ることは、今後さらに重要なことだし、個人の学びではできないことだとも思います。
お知らせ
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1月29日(土)10:00−17:30
上限:6名
締め切り:1月15日まで
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