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プロダクトロードマップをビジュアライズした話 #pmconf2021

先日開催されたProduct Manager Conference2021にて、proposalが採択され、弊社の岩澤とともに、プロダクトロードマップをビジュアライズした話をさせていただきました。

当日遊びに来てくれた皆さん、ありがとうございました。discordの実況チャンネルやメッセグループなど盛り上げてもらって嬉しかったです。

資料は以下にて公開させていただいていますが、ロードマップがもたらす価値やPMの役割について考えるいい機会になったので、noteにもまとめたいと思います。

サマリ

今回の発表で話した内容の大枠は以下のとおりです。

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このnoteで触れること
・サイカにおけるロードマップの課題
・ロードマップをどのようにビジュアライズしたか
・ビジュアライズによる効果・効能
・サイカにおけるPMとロードマップの役割
このnoteで触れないこと
・サイカの事業、プロダクトについて
・ロードマップ以外のプロダクト開発の話

最終的な成果物(Product Visionmap/ProductRoadmap)

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ロードマップの光と影

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プロダクト開発におけるロードマップが果たす一般的な役割は、「未来の実現に向けた道筋を示し、共通認識をとるためのコミュニケーション手段」だと思います。

一方で機能にフォーカスされたロードマップや、中長期の方向性が曖昧なロードマップというのも一定数存在し、前述の役割が果たせていないケースもしばしば見られます。

ロードマップの現場感

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ロードマップの現場感について、pmconf2021のdiscordにて簡単なアンケートを実施したところ、ロードマップを活用しているPMが多く、ロードマップはPMの武器として、広く活用されていると言えます。

他方でロードマップについての悩みも多岐に渡り、重要な武器でもありながら、悩みのタネにもなっている二面性を持ち合わせているようです。

(これについては、ロードマップというよりは、不確実性の高い環境下において、未来を指し示す行為そのものの難易度が高いことが影響していると解釈しています)

サイカにおけるプロダクト開発/ロードマップの課題

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サイカの場合、指針となる未来についてはCEOの頭の中に明確にあり、それを伝えるための情報の整理、伝達手段が最適化できていない状態でした。

CEOと話すと、サイカが目指す非連続な未来に刺激を受け、ワクワクを感じることができるのですが、既存のロードマップではそのメッセージを受け取ることができませんでした。

それによって、種々の課題が副次的に発生していたため、解決すべき課題は「未来が属人化していること」と定義しました。

サイカでは、プロダクト開発において、「ワクワクできているか」をとても大事にしており、”ワクワク”は非連続な未来を実現するための、大切な原資だと捉えています。

そこで、「未来の共通言語化」「ワクワク」を実現するロードマップを作成することになりました。

課題解決のためのロードマップ

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とはいいつつも、具体的に何によってこの課題を解決するかのWhatの方向性は見えていませんでした。そんなときに出会ったのが、Designshipです。登壇内容がグラフィックレコーディングで記録され、ビジュアライズによる伝達効率の高さに衝撃を受けました。

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実際、マンガなど、ビジュアライズによって受け手の理解、興味を促進するケースは日常にも多々あります。そこで、私たちはデザインのちからを借りて、ロードマップをアップデートすることにしました。

準備編:実現に向けて

Whatの方向性が決まったので、実現に向けたHowの検討に移ります。結論をお伝えすると、Designshipにて、グラレコチームの統括を担当していた沼野さんと一緒にこの取り組みを行う形になりました。

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サイカにはデザイナーはおらず、このアイデアをどうやって実現するかについては、意思決定当時は何も見えていない状態でした。そこで、原体験でもあるDesignshipのグラレコチームこそが、ビジュアライズの一丁目一番地だと考え、ご紹介を経て沼野さんに相談させていただきました。

沼野さんを紹介してくれた@shosominさん、そしてほそみんさんを紹介してくれた@notch0314に感謝です。ありがとうございました。

沼野さんとの数回の議論を経て、「プロダクトビジョン」「プロダクトロードマップ」「議論のプロセスのグラフィックレコーディング」の3点を成果物とするプロジェクトがスタートしました。

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実践編:発散→整理→収束

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このプロジェクトは3.5ヶ月かけて以下の3stepを行いました。初めての取り組みということもあり、当初想定よりも1.5ヶ月ほど長めに時間を要しましたが、QCDにおけるQualityを最優先したプロジェクトとなっています。

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Step1の発散では、CEOの頭の中にある未来を明らかにすることを中心に、関係者間で共通認識を取ることを優先しました。当初は未来の話にフォーカスする予定でしたが、「なぜその未来に至ったのか」というコンテキストの理解が重要だと途中でわかり、過去~現在~未来を線で回顧することで、一連の情報を俎上にあげました。

この議論においても、グラレコによってリアルタイムで可視化することで、認識の齟齬に気づけたり、行間のコンテキストを理解するための議論を行うことができ、以降のステップにおける手戻りを抑える効果がありました。

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Step2では、出てきた情報をどのように整理するかについて検討しました。結論として、Product Visionmap/Product Roadmap/FY21 Milestone,FY21 Planningの4種類のアウトプットにまとめることになりました。

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そうしてできた成果物が上記となります。それぞれの関係性を踏まえ、各成果物で扱う情報を整理することで、適切な情報をビジュアライズすることができました。

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Product Visionmapにて過去~現在~未来のこれまでとこれからを線で理解し、Product Roadmapにて、未来への道筋と超えるべき山を把握して、FY21 Milestone,FY21 Planningにて直近の具体的な動き方について考える情報を共有するといった構成になっています。

それぞれの要素についての言及はここでは割愛しますが、「ビジョンの実現に向けたProduct Visionmapの道筋に山脈があり、各年における超えるべき山についてはProduct Roadmapに記載」といった形で各要素がつながることで、扱う情報の粒度と関係性を揃え、共通理解がしやすいフォーマットになりました。

展開編:伝えるから伝わるへ

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作って終わりにせず、伝わるためのコミュニケーションも工夫しました。タウンホールミーティングという形式で、双方向のコミュニケーションを行いやすい環境を用意し、共有しました。各自が自律的に動けるための一歩目となるコミュニケーションをこの場を通じて行いました。

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結果として、当初のロードマップで課題にあげていた、「未来の言語化」と「ワクワクの醸成」については一定水準の結果を得た形となりました。一方で、一連の取り組みが初めてのチャレンジだったこともあり、各プロセスにおける成熟度はまだまだ高めることができるといえます。

実践からの学び

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今回の一連の取り組みについての良かった点、改良点については上記のとおりです。前述のコメントにもあったとおり、ビジュアライズを通して、非連続な未来の実現に向けたコンテキストの理解促進、ワクワクの伝播には一定の効果があったと思います。

特に入社者のオンボーディングや採用時のコミュニケーションにおいては、かなり伝達効率が上がった実感があります。

また、テキストからビジュアルへと情報が抽象化されることによって、個々人が考える余白が増え、ジブンゴト化が進んだことも副次的なメリットとしてありました。

反面、作成や変更に対してのアジリティの低さは明確にあり、不確実性が高い事業状態で大胆な朝令暮改が行われる組織においては、この運用は一定のリスクがあるといえます。伝え方においても、より工夫することで効果の増幅が期待できるため、今後も磨いていきたいと思います。

まとめ:サイカのPMとロードマップの役割

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サイカではPMの役割に「サイカをワクワクさせる」という項目があります。冒頭にも紹介したとおり、ワクワクはプロダクト開発における重要な原資であり、そのための手段としてロードマップがあります。

ビジュアライズは未来を言語化し、ワクワクを伝播するための有効な打ち手であり、サイカでは今後もビジュアライズ化されたロードマップを通して、プロダクト開発を推進したいと思います。

もちろんロードマップは銀の弾丸では無く、ロードマップを作って展開しただけでプロダクトへの取り組み方や顧客が得られる価値が劇的に変わるわけではありません。

今回の取り組みを通して、全員が共通の未来を理解し、ワクワクできたことで心のガソリンを積めた状態になったと思います。この原資を推進力に変え、プロダクト価値としてアウトカムに昇華させることがPMの責務だと捉えています。

感想(ふりかえり)

pmconfでお話させていただくにあたり、ロードマップが解決すべき課題やPMの役割について改めてじっくり考える良いきっかけになりました。

「イラストでわかりやすくまとめることが価値ではなく、従来伝わらなかったコンテキストがビジュアライズによって、伝わるようになったことが本質的な価値だと理解しました」というご意見をいただき、まさに今回の一連の取り組みで伝えたかったことが凝縮されていて嬉しかったです。

サイカはB2B(エンタープライズ)のクライアントを対象にマーケティングソリューションとしてADVAという割とかっちりしたプロダクトを開発、提供しています。そんなプロダクトだからこそ、非連続な未来の共有、ワクワクの伝播にデザインのちからを活用することが、より有効に作用したと思います。

PMは理想の未来を掲げ、プロダクトで実現していく役割であり、そのためには多くの人にワクワクしてもらい、推進力を生み出すことが必要となります。そのための手段として、ロードマップがあり、今回の取り組みがみなさんのプロダクト開発において、少しでも参考になれば幸いです。

PMの皆さんとロードマップ談義したいので、Meetyもオープンしています。お気軽にお声がけいただけると嬉しいです!最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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