サイカに入社して1年経ったので、経験の棚おろし
去年の8月に株式会社サイカに入社し1年が経ちました。この1年を振り返り、何を行い、何を学んだかを整理したいと思います。個人のふりかえりとしての側面が強いですが、カジュアル面談等の自己紹介にもつながると思い、noteで公開したいと思います。
なぜ入社したのか
一言で言うと、野心的でワクワクしたので、入社を決めました。
・サイカは才能開花という言葉が由来となっており、個人、組織、社会の才能開花を実現していくことをビジョンとして掲げている企業であること。
・プロダクトの壮大なビジョンがあり、到達点がとてつもなく遠く、純粋にワクワクした。
・統計をベースとしたプロダクトでおもしろそう。
・DevHRという開発組織付人事のポジションがあり、組織、プロダクト両面で関わることが可能。
・経営計画の中に明確に海外(アメリカ)へのチャレンジがある。
・代表が元バンドマンで考え方がロック。
などが、主な要因です。企業の思想やビジョンに共鳴しつつ、私個人としては、これまでの経験も踏まえて、「最高のチームから、最高のプロダクトをつくる」ことを実現したいと思い、サイカへの入社を決めました。
最初の1年で何をしてきたか
やってきたことは大きく4つ。総論として、サイカというプロダクトを強くするために、様々な視点から多角的にアプローチし、50人→100人へと拡大する企業を立体的に捉える機会をいただきました。
1. DevHRの立ち上げ
2. プロダクト開発に伴うあれやこれや
3. XICA EX(Employee Experience)の推進
4. 育休の取得
1. DevHRの立ち上げ
まずはじめにDevHR(Developers HR)という開発組織付の人事チームの立ち上げを行いました。採用活動を筆頭に、よりモノづくり組織に適した組織施策の立案、実行を行う組織です。
DevHRでは3領域にアプローチを行い、開発組織の成果最大化を図ります。
1.Talent Acquisition
2.HRBP
3.Developer Relations
初年度は1のTalent Acquisitionをメインテーマとし、エンジニアやPMなどの採用活動と入社後のオンボーディングプログラムの作成に注力しました。
サイカでは大戦略として、タレントプールをベースとした長期的な採用活動を行っています。激化する採用マーケットにおいて、一緒に働きたいと思える方に対して長期的な関係構築を前提とした、コミュニケーションを取らせていただいています。
長期を見据えた関係構築を前提としつつ、転職タイミングが重なった方や業務委託の方などの採用を通して、プロダクト開発を前に進めることができたと感じています。
Talent Acquisitionにおいては、定量テーマとして「データによる再現性の確立」、定性テーマとして「最上の候補者体験を届けること」を掲げて、各種プロセスを設計してきました。
自身のPM経験も活かし、候補者のUserExperienceをすごく意識しながら採用プロセスを設計、結果をデータで確認、改善するという作り方をしています。PMが採用の体験設計や定量化を推進するのは、すごく良いのでは無いかと思っています。
2. プロダクト開発に伴うあれやこれや
DevHRとしてだけではなく、PMとしてより良いプロダクトを作るための取り組みにもチャレンジさせてもらいました。残念ながらプロダクト開発にがっつり関わることはできていないですが、より良いプロダクト開発を行うための基盤構築みたいなことを行っていました。
具体的には「プロダクトロードマップのビジュアライズ」と「PM-エンジニアの期待役割議論」を主導しました。
①プロダクトロードマップのビジュアライズ
1点目はプロダクトロードマップのビジュアライズです。入社理由でも述べたとおり、サイカはビジョンの実現に向けた、壮大なプロダクトロードマップがあります。ですが、それは主に代表の平尾さんの頭の中にあり、全従業員が同じ目線で理解、共感、高揚できていない課題がありました。
それに付随する形で採用などのシーンにおいても、採用候補者にサイカが目指している「真の理想状態」を100%届けることができていませんでした。
そこで、デザインのちからを借りて、社内外のステークホルダーに対して、サイカが目指す今後の理想状態をグラフィックで表現することにしたのがこのプロジェクトになります。
もちろんロードマップをビジュアライズしたからといって、日常が大胆に変わるわけではなく、試行錯誤の日々ではありますが、プロダクトがもたらす世界にステークホルダーがワクワクし続け、強烈な推進力につなげられるよう今後も工夫したいと思います。
これについては、ありがたいことにProduct Manager Conferenceでもお話させていただく機会も得られました!Proposalが通って素直に嬉しいです。サムネの顔切れとる。
②PM-エンジニアの期待役割議論
サイカではこの1~2年で開発組織のアップデートを行っており、プロダクト開発プロセスの抜本的な見直しを行っています。その中で、モノづくりを進めるPM、エンジニア間での期待役割が暗黙的に認識されており、曖昧になっていました。
そこで、お互いの役割について腹を割って会話し言語化することで、背中を預けられるチームにするための定期的な会話の場を設けました。書籍などのインプットを下地にしつつ、意図的に非構造な会話を行うことで、さまざまな観点からお互いの考えや、サイカのモノづくりとして大事にしたいことなどが浮かびあがってきたと思います。
結論として、サイカではモノづくりにワクワクできるかが超重要であり、ワクワク駆動開発をどうやって推進するかは、PMの腕の見せどころだというとこになっています。わかる。
最終的にこの議論を踏まえてラダーをアップデートするというのが目標でしたが、育休も重なり、やや中途半端な形に終わってしまいました。チャレンジ及びプロセスに得るものがあったため、ログとして記しておきます。
3. XICA EX(Employee Experience)の推進
3点目は全社の従業員体験を高める「XICA EX」プロジェクトの推進です。サイカでは人事部とDevHRにそれぞれマネージャーがおり、この2名のHRマネージャーと代表の平尾の3人を中心に推進しているプロジェクトとなります。
理想的な従業員体験をユーザーストーリーとして言語化し、そのユーザーストーリーを実現するための課題整理、打ち手の立案、実行を行います。初年度である昨年は、行動指針として掲げているXICA WAYの浸透に向けたアクションを行いました。
やったこと一例
- 現行状態の計測、可視化(engagement survey)
- XICA WAYを日常に落とすためのアクション”Do”の定義
- マネージャーを対象としたワークショップによる”Do”のアップデート
- 全従業員を対象としたワークショップ設計
- タウンホールMTGによるOpenness&Fairnessな場の提供
- XICA WAYベースのfeedback設計
XICA WAYを絶対的なものとして扱わず、従業員との会話の中を踏まえて、自律的にアップデートしていくような運用を行っています。Culture fitからCulture Addへみたいな話も耳にしたりしますが、全従業員が組織の概念をジブンゴト化して捉え、Elasticな組織になれると良いなと思っています。
この手の取り組みは即時性は無いものの、時間をかけて積層していくことで、企業の”らしさ”が熟成され、味わい深くなってくるものだと信じ、引き続き、丁寧に取り組みたいと思います。
4. 育休の取得
前述のXICA EXにおいて、「生き方・働き方を、自らの意志で選択することができる」というのが従業員体験の一要素として定められており、その一環で2ヶ月の育児休業を取得しました。
これまで社内に男性の育休取得事例がなかったのですが、タイミングが重なったこともあり、自分が第一号として取得させていただきました。労務の方と協力し、ドッグフーディング的に育休フローの整備をしました。
実態については過去のnoteでこってり記載しています。自身の実体験を通じて、男性社員で希望する方の育休取得100%を目指したいと思います。
ふりかえり
## その挑戦は非連続な成長につながっているのか?
サイカに来て最も自問した問いはこれだと思います。これまでの経験上、オペレーションエクセレンスを追求した連続的な成長は、比較的できると自負しているのですが、反面、不可逆的な変化をもたらすような非連続な成長を描いてチャレンジを規定するというのは、まだまだできていませんでした。
サイカでは非連続な成長を実現するための問いをもらう事が多く、そういった打席に多く立ち、フルスイングする機会がたくさんあったことが一番の学びになっています。
その度、自分の描く未来のスコープの狭さ、時間軸の短さ、射出角度の低さを感じることが多いですが、少しずつ磨いていきたいと思います。
仕事において、大なり小なり、「描く→決める→実行する→学ぶ」を繰り返していると思うのですが、「自分はどの規模でPDCAを回せているのか?」は自分の中で大事な問いにしています。
## どこを見据えて取り組むのか
比較的近い話ではあるのですが、「現在地点から紡いだ未来」ではなく、「非連続な未来を据え、どうやって実現するか」を考える機会がすごく多い1年でした。
この際、ぼんやりとした耳障りの良いあいまいな未来を置いてしまいやすいのですが、当然ながら目指す未来は解像度が高いほうが、実現に向けた打ち手の筋がよくなります。
そんなときに参考になったのが、アドバイザリーボードの皆さんとの時間でした。名村さんや池田さんとの議論を通して、Googleやメルカリの取り組みを踏まえて、サイカは何を目指すのかを考えることが多かったです。
据えるべき未来をあいまいにせず、世界で戦う企業の生の情報を参考に、「世界から称賛、参照されるモノづくり組織とは?」という問いを考えれたのは自分の中で財産になっています(できるとはいっていない)
## 拡大する組織に揺るがぬ軸を宿す
サイカは2020年9月の資金調達以降、大きく組織が拡大し、いわゆる「100人の壁」の前後にいます。50人から100人に拡大するフェーズで組織面での取り組みに投資し、拡大、膨張する組織の軸となるEXという幹を育てる取り組みができたことは、企業視点で非常に価値があったのでは無いかとふりかえっています。
Value浸透というと、月並みな話かもしれませんが、本当の意味で日常に溶け込ませ、組織の血液として栄養を隅々まで行き交わす、というのはものすごく難しいです。いまは大動脈レベルの主となる部分から流れを促進しつつ、毛細血管レベルの手先足先まで血を通わすことで、組織と個人がより活性化すると確信しています。
取り組まなくてもにじみ出る”らしさ”が文化だと思いますが、その”らしさ”に光を当て、コントラストを明確にし、体感しやすくするのがValue浸透の本質なのかもしれないです。
また、この辺りの取り組みを経て、前職のSpeeeの文化の強さ、ならびにそれがもたらす効果効能を一周回って感じることができました。これは転職したことで得られた学びのひとつです。
ちなみにSpeeeの文化はこんな感じ↓です。わかるひとにはわかると思いますが、”らしさ”がしっかりにじみ出てるのが強い組織だと思います。
## 弛まぬ仕組みを構築し、挑戦を上乗せする
DevHRの立ち上げは委譲を前提とした、再現性のある仕組みづくりがテーマでした。
「再現性ある仕組みをベースに、個人の挑戦で彩りを加える」
仕組みが無いと、チャレンジの貴重な原資が車輪の再発明に費やされてしまい、仕組みだけに依存すると、個人の挑戦が生まれない無機質な仕事になってしまいます。
育休を通じて2ヶ月仕事を離れることで、委譲や再現性について検証できたのは、個人的にとても大きな学びでした。委譲については、表面的な仕組みだけではなく、なぜその数値がKPIなのか、なぜその仕組みを採用しているのか、という根っこのコンテキストが揃ってはじめて機能するものだと解釈しています。
以上を踏まえて「再現性のある仕組み」について整理すると、以下のようなプロセスが必要なのかなと感じています。
①仕組み:効果的に成果を出すためのシステム
②コンテキスト:なぜその意思決定なのか、根底にある思想の共通理解
③実践:①②を通して成果まで一緒に走る
④学習:③で得た学びを①へ還元するとともに、②の解像度を高める
重要なのは②で、コンテキストは性質上、わかったつもりになりやすいですが、本質的に理解するためには実践による伴走が必要です。特定のissueに対する意思決定において、なぜその意思決定がなされたか?を会話しながら、補填していくことで、徐々に目線が揃っていきます。
この仕組みを下地に個々のチャレンジが乗っかってくることで、組織と個人の才能開花が実現すると思いつつ、現実的には順序などは無くバランスを取りながらアンドで取り組んでいき、フラフラしながら徐々に安定飛行していく感覚です。
マネジメントや委譲を通じて、山本五十六さんの言葉の重さを、少しだけ等身大で感じれるようになった気がします。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
やりたかったけどできなかったこと
プロダクト開発にもう少しどっぷり浸かりたかったのですが、どちらかというと組織に比重を置いた1年になりました。その分、個人、組織ともに無理のある変化を強いず、じっくり腰を据えて取り組み、少しずつ変化を染み込ませていくことの価値が理解できたとも思います。
サイカはデータサイエンスとプロダクトの会社であり、プロダクトによる事業成長が求められています。プロダクトによる価値創造のためには統計など数理まわりの理解が必要不可欠です。
このコアな部分を理解できておらず、プロダクトの真髄、真価を本当の意味でわかっていないのは、もったいなかったなーと思っています。あわせて数理だけではなく、プロダクトづくりに必要なテクノロジーやデザインなどは、全然インプット/アウトプットできませんでした。焦。
腰を据えてふりかえると、できていないことが目についてしまい、自身の介在価値を疑いますが、目を逸らすことなく向き合いたいと思います。
次の1年の目標
次の1年は今年の取り組みも踏まえて、企業としてのアウトカムをより意識した1年にしていけると良いなと思っています。おそらくまたいろんな挑戦とたくさんの失敗とほんの少しの手応えを感じて、3年目あたりが定量的にも成果を感じられるタイミングかなとぼんやり考えています。
常に「still day1」の気持ちで、社会や企業に爪痕残せたといえるようなチャレンジをガシガシやっていきたいと思います。来年も同様のふりかえりを行う前提で、目標を記して終わりにしたいと思います。
問:この1年どれだけ企業を前に進めることができたか?
解を出すために
①DevHRを委譲し、より大胆なチャレンジができる体制をつくる
②PMへ染み出し、プロダクトによる価値提供、事業成長を実現する
③XICA WAYの浸透による効果効能を経営の視点で体感する
④統計チョットワカルマンになる
いろんなテーマに触れましたが、サイカは社会と個人の才能開花を実現する会社です。魅力的なチャレンジがそこら中に転がっていますので、いずれかに興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、TwitterやMeetyでお話させてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!