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PMがプロトタイピングの前にすること(NOFLOP!に学ぶプレトタイピング)

本記事は、Product Manager Advent Calendar 2019 の5日目になります。

最近NOFLOP!という本を読みました。そこでプレトタイプという実験的手法が紹介されており、PMには強い武器になりうると感じたため、自身の経験を交えてプレトタイプの必要性について、考えたいと思います。

こんな本です

「新しいアイデアの90パーセントは失敗する。
どれだけ有望に見え、情熱を持ってぬかりなく実行されたとしても」
――Amazon、Google、Uber、IBMなど、名だたる企業の成功と失敗を調べ尽くした、Google初代技術責任者であるアルベルト・サヴォイア氏はこんな法則を導き出した。

では、「そもそもが間違っていないかどうか、どう調べたらよいか」。その疑問に答えたのが本書だ。

あなたのアイデアは、そもそもが間違ってはいないか。それを調査・分析できる、シリコンバレー激賞のツール「プレトタイピング」を、その成り立ち、手法、実例、展開シナリオで、詳細に説明。

新商品、新サービス、新店舗、新規事業……新商品、新サービス、新店舗、新規事業……すべての「新しいこと」に取り組むすべての人必読の書、本邦初公開。

すべての「新しいこと」に取り組むすべての人必読の書、本邦初公開。

Right It とWrong It

新製品開発において、やるべきことはただ一つ。
「正しいものを、正しくつくる。」これにつきます。
ただし、これには見えない前提があり、本来は「(正しい課題に対して、)正しいものを、正しくつくる」必要があります。

サイモン・シネックの提唱したゴールデンサークル理論においても、WHYから始めることの重要性が説かれていますが、プロダクトを作る我々は得てして、WHATやHOWに目がいきがちです。

特にPMというロールにおいては、正しくつくるスキルよりも、正しいものを定義する力よりも、なぜやるのかという出発点において、強度の高い仮説を立てる力が求められます。

本書では、Right ItとWrong Itという2つの概念を以下で定義しています。 

Right It:適切に実現すれば市場で成功するアイデア
Wrong It:たとえきちんとつくって売ったとしても市場で失敗する、そもそもが間違ったアイデア

どれだけ正しく作ったとしても、そもそもの出発点が誤っているとそのプロダクトは失敗します。PMとして求められるのは、正しいものを定義する力であり、正しいといえるだけの強い根拠(なぜやるのか)を生み出す力といえるのでは無いでしょうか。

正しさにはデータが伴う。

何度も新規でサービスをヒットさせてきた人であれば、ひらめきのみを頼りに大胆な投資を行うかもしれないですが、多くの人はなかなかそうはいきません。そんな我々の拠り所になるのはデータです。

データは我々を安心させ、我々は朧げなアイデアをデータによって補強し、強く育てることで、その正当性を立証し、プロダクト開発の不確実な未来を切り拓きます。しかし..

そのデータは誰のデータか。

データを得る手段として、インターネットなどの調査が挙げられます。確からしいデータはwebから簡単にアクセスでき、アイデアを逞しくさせます。しかし、それはあなたの目的に沿って集めたデータなのでしょうか?整合しないデータを自分にとって都合の良い解釈で彩っていませんか?

この本では、そのような他人のデータ(Other People's Data)ではなく、あなた自身のデータ(Your Own Data)を収集し、アイデアの有効性を立証せよ、と説いています。その手段こそが...

プロトタイピングの前にプレトタイピング

自分の課題に即したならではのデータを得る手段として、本書では「プレトタイピング」という造語を手法としてあげています。プロダクトに関わる仕事をすると、プロトタイピングという言葉はよく聞くかと思いますが、プレトタイピングというのは耳慣れない言葉です。この本では以下のように定義されています。

「プレ」という接頭語には、何かよりも先にくる、という意味があるからだ。今回の場合、「プレトタイピング」は「プロトタイピング」より前の工程で、名詞形の「プレトタイプ」は「プロトタイプ」よりも前につくられるものを意味する。つまり、プレトタイピングという言葉は、「先行する」と「ふりをする」という2つの重要な要素を組み合わせているのだ。

このように「プレ(pre)」として行う最初の仮説検証をプレトタイピングと表現しており、これはPMが最初のアクションとして、なぜやるのかに意味を見出す工程として有用だと感じています。ところで..

プロトタイピングとは何が違うのか

私自身も最初は、「いや、それをプロトタイピングと呼ぶのでは??」と混乱しました。広義の意味ではプロトタイプも最初の模型として、同様の意味を含んでいますので、ここは正直言葉遊びのような気もしていますが、本書では以下のように違いについて述べられていました。

プロトタイプを使って検証するのはおもに、ある製品やサービスのアイデアが実現可能化どうか、つくる場合にはどうつくるべきか、どのように(また、本当に)機能するのか、どんな形やサイズにするのが最適化、といったことだ。
一方、プレトタイプをつくるのはおもに、そのアイデアをそもそも手掛け、製品化すべきかどうかをすぐさま低コストで確かめるためだ。

プロトタイプは「WHY-WHAT-HOW」の”WHAT”を具現化するためのものであり、プレトタイピングは”WHY”を強固にするために利用するものだと解釈しています。

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プロトタイプも超重要。prott最高。

プレトタイピングのポイントは二点で、①「そもそもやるべきか」を検証できる、② 低コストですぐ確かめられる、ということになります。

プレトタイピングによって「そもそも作る必要のないものを、作る前に判別でき、自身が提案する製品がなぜ正しいのかを、データをもって立証すること」が可能となります。

「作ることは決まってるけど、使われなかった機能、製品」を作ってしまったことは誰しも一度はあると思います。特にPMは価値を探索し、発見することが最大の役割となります。そんな中でアウトカムに貢献しないアウトプットありきの製品を作ってしまうことは、確実に避けなければなりません。

手段としてのプレトタイピング

プレトタイピングは以下の3つのステップで構成されています。

1. 立証したい仮説を計測可能な指標で設定
2. 1を検証するためのプレトタイプを用意し、データを獲得
3. 2で得られたデータをもとに1について考察

本エントリではその詳細を語ることは行いませんが、プレトタイピングにはいくつかの種類があり、検証したい仮説や目的に応じて使い分ける必要があります。

1. メカニカル・ターク(機械じかけのトルコ人)型
2. ピノキオ型
3. ニセの玄関型
4. ファサード型
5. YouTube型
6. 一夜限り型
7. 潜入社型
8. ラベル張り替え型

SmartHRさんの子会社のSmartmeetingさんは問い合わせページを用意し、そのニーズを検証したり、10xの@yamotty3さんはスクショケシというプロダクトでマイクロイシューでも純粋想起を取れるとプロダクトとして成立することを学びに変えています。

私自身も新規でプロダクトを作る際は、すぐにプロダクトを作る前にまずは実験を通して、仮説についてのデータを踏まえて自身の仮説の強度を高めるためのアクションを取ることが多いです(プレトタイピングを知る前の話ですが)

・AIがおすすめ企業をレコメンド→まずは人がメール/電話/LINEして、ユーザーが意図した行動を取るかテスト(メカニカル・ターク型)
・新しいサイトを作る前に既存のサイトの一部のエリアのみ、情報を変えることで「●●という情報によって、××の□%はweb上で△△という行動を取る」というデータを得る(一夜限り型)

今思うと本書で紹介されるXYZ仮説とxyz仮説などを応用することで、より強い仮説構築ができたのでは無いかと思います。次はプレトタイピングを使ってプロダクトを作りたいです。

まとめ:プレトタイピングはPMが武器を得るための手段

繰り返しになりますが、PMが1番すべきことは「なぜやるのかを定義する。そのために強度の高い仮説を構築する。」これに尽きます。間違ったものを正しくつくることにコストを割き、使われない製品が世の中に生まれることほど不幸なことはありません。

正しいものをより迅速に手に入れるための手段として、プレトタイピングという手法があり、プレトタイピングはPMが仮説検証を通して、データが伴った強い仮説を早く得るための手段として有効です。

NO FLOP!とてもおもしろいので、PM全員におすすめしたいです。

制約は発明の母という言葉があるとおり、制約の中でいかに早く学びを得るかは、PMのひとつの腕の見せどころだとも言えるので、うまく活かして価値あるプロダクトを生み出していきましょう(いきます)。

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