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100年後の教科書で2020年はどのように紹介されるのだろう【コラム】
2020年は人類史を振り返る時にほぼ確実に教科書に載る年であり、数年後の現代社会や歴史の授業では「2020年」「新型コロナウイルスの世界的流行」はテストに出るような出来事になるのではないか?と思います。
ただ、実際に教科書に載るとなると2020年はどのような形で紹介されるのでしょうか?
教科書では各時代の出来事を網羅的に要点のみを掲載するため1つの年を重点に紹介するとは思えません。
おそらく下記の内容を端的に要点のみを紹介するのではないかと思います。
・2020年に新型コロナウイルスが世界的な大流行をする。
・感染者は〇〇万人、日本国内だけでも〇〇万人の感染が確認
・死者は〇〇万人にも及び、対策として世界中でロックダウンが発生した
・マスクやアルコール消毒液が高騰しパニック状態になった
・2020年開催予定の東京オリンピックは開催延期となる
また、今後起こるであろう以下の出来事も教科書に載ると思います。
・新型コロナウイルスのワクチンの開発に成功
・コロナウイルスの撲滅or共存
・新たな感染症対策の整備や規程、法律が生まれる?
・医療業界に関する社会的貢献における変化がある?
・コロナ禍で起きた人々の心理状況を元に心理学や哲学の領域で何か起こる
教科書に載る事実が僅かなもので、文献や史料として記録される情報も100年前よりは多く残るとしても、そのほとんどは消えてしまうでしょう。
歴史とは記録されたものだけが残り、記録されたものも重要度の高いものが選択され、その多くは消えてしまいます。
記録に残らないものは記憶から消えることで「歴史」姿を消してしまうことになり、私たちが苦しみもがいているこの時代も100年後には1ページに満たない文章で処理されるようになるのでしょう。
私たちが生きる現代は1ページにも満たない「新型コロナウイルスの流行」で完結する可能性があるのが100年後です。
未来の人には2020年代に起きた出来事として認識される
例えば、1970年代に2度発生した「オイルショック」を今の私たちはどの様に認識していますか?
当時発生したトイレットペーパーや洗剤など、原油価格と直接関係のない物資の買占め騒動に対してどの様な印象を持ちますか?
歴史を振り返ると私たちは似た様な歴史を幾度なく繰り返して現代社会を築いてきました。
100年後の2120年には「コロナウイルス」は過去のものとなり、「そんなこともあったんだ」という扱いになることでしょう。
しかし、今を生きる私たちには「生死に関わる重大な出来事」であり、現在最も解決すべき課題です。
そしておそらく2120年には今の私たちとは違う「生死に関わる重大な出来事」が発生しており、似た様なパニックが何かしら発生していることでしょう。
その時に「コロナウイルスによるパニック状態を乗り越えた知恵」が継承されていれば良いのですが、きっと「出来事」だけを記載した教科書ではそこまで掘り下げることはできず、似た様な課題に対して似た様な騒動を起こし、きっと未来の人々も様々な思想飛び交う中、ある人は息苦しく、ある人は生き生きと生活していることでしょう。
世界を巻き込んだパンデミックは過去に何度も起きています。
天然痘、ペスト、新型インフルエンザ、エイズ、マラリア、結核、鳥インフルエンザ、SARA…
多くの感染症が世界で猛威を振るい、私たち人類は感染症と戦ってきました。
しかし、多くの人はそんな感染症があったことを忘れています。
教科書には載っていたのにも関わらず忘れてしまうのです。
オイルショックやスペイン風邪は比較的最近起きた「新型コロナウイルス発生時のパニック状況」と似た出来事ですが、その時の知恵は生かされていません。
私たちは歴史を「出来事」として捉え、そこから当時の生活を読み解く気はほとんどないことが今回のコロナウイルスの流行で如実に浮かび上がりました。
私たちは未来に向かって進む今を過ごしていますが、それも過去の出来事になり、やがて消えてしまいます。
「教科書に載る」というのは「出来事として処理される」という歴史のアーカイブ化なのです。
私たちはもっと積極的に未来を変える行動をするべき
やがて「出来事」として処理されてしまうのであれば、今起きている様々な社会問題に対して指を咥えて眺めていることは出来事にすら残れないことになります。
ただでさえ、私たち人間は過去の出来事を忘れてしまいます。
教科書に載っている類似した歴史も参考にできず、扱えないまま、無碍に時間だけが過ぎていきます。
「出来事」として処理されるからと腐るのではなく、どの様な形で「出来事」として記録されるべきなのか?どうしたら「未来に繋がる出来事」として記載されるのか?を考えて思考する方が良いと思います。
そのためには「正しい知識の取得」や「複数の視点で物事を捉える」「表面上だけでなく本質を汲み取る」ことが重要になります。
適当に表面だけ汲み取って感情に支配された評論家になるのではなく、本質をしっかりと理解するために「掘り起こす」行動が必要になります。
情報に溢れる現代社会において、多くの情報は処理されることなく流されていき、教科書に残るのは僅か数ページに満たないことでしょう。
だからこそ、教科書に残る様な出来事を少しでもポジティブで明るいものに、そして乗り越えた人々の努力も見逃せないほどの行動を起こすべきです。
新型コロナウイルスの件が教科書に載るのは1行程度かもしれない。
それでも、価値のある1行にするためには2020年の出来事から目を背けず、2021年以降に繋げていくべきだと思います。
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