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教育には「体験」と「気付き」が大切
私は企業のマーケティング活動においてWeb領域におけるマーケティング戦略のサポートをするWebマーケターとしてコンサルティングをすることを生業としております。
今はフリーランスとして個人で活動しておりますが前までWeb制作会社のWebマーケティング部に籍を置き、ヒアリングから分析、課題抽出を行いSEOや広告、サイト内改善といった様々な手法を用いて改善提案を行い、その後のPDCAサイクルを回すコンサルティングとして一気通貫でパートナーとしてお客様のWeb領域のグロースを担っておりました。
有難いことに幅広い施策や手法を一人で用いれることからお客様だけでなく社内でも重宝され、一時期新人の教育係も担当していたことがあります。
私自身、Webマーケティングを未経験のゼロから中途入社した身であることもありつまずく気持ちが理解できるため「スムーズに成長をさせてあげたい」という気持ちがありました。
例えば、Webマーケティングについて研修をする時にWeb領域だけ理解してもお客様にとって真の改善へとつながる提案はできないと思っていたため、最初からマーケティングという広い範囲の学術的な話を含めて研修を行っておりました。
そのため講義のカリキュラムを組み、上流階層から下流階層までを網羅的に教える研修は会社からは「網羅的に知識の土台を作ることができる」評価を得ることができました。
しかし、結果的にこの研修は失敗に終わり今でも反省をしております。
なぜ失敗したのかというと、私は自身が未経験で初めてがむしゃらに案件に取り組むうちに「Webマーケティングはマーケティングという広い領域の中の一つである」ことを認識してお客様と会話することが重要であると気づき、理解して腑に落とすことができましたが、それはあくまで「自分で発見した気付き」だから必要性が理解できただけだったからです。
まだ「経験」したことない状態でいきなり広い視点から教えても腑に落ちずに混乱を招いてしまいます。
私自身の体験と研修での結果を踏まえて「真の教育とは何か?」について考察を始め、私は一つの仮説を立てました。
教育には自身で問題点に「気付く」ことが大切で、教育で重要なのは「気付ける体験」の提供と「気付きに対するフィードバック」である
私たち人間は「自身で体験する」ことで問題点に気付き「改善する」ことで成長をする生き物です。教育は知識を <与えられている> ようで実は自ら知識を得るように <行動を起こして自分で知識を取得する> ことで自分を作り上げていきます。
成長は自身の選択の積み重ねであり、そこには体験と気付きがつきものです。
これは教育においても同じことが言えるのではないか?と思い私は研修のプログラムを改善することにしました。
案件対応するために必要なことを身に着ける研修
・自分で考えて気付きを得るために「対話」を中心とする
・体験できる事例を用意して実際にやってもらう
・「参考書を読んどいて!」だけはやらない
・自ら学習をできる環境を提供する
・将来的に役に立つ考え方は噛み砕いて伝えておく
※将来思い出せるように種まきするイメージ
従来の研修は「座学」⇨「現任訓練(OJT)」を行う流れでしたが、私は座学を講義のような形から対話形式に切り換え、自分たちで考えれるように質問を投げかける形にしました。
また、講義の資料は補足資料として扱い、答えを導き出す「ヒント」として活用を開始しました。
例えば、従来の座学ではWebマーケティングについて、
「Webを中心に行うマーケティング活動のことをWebマーケティングといいます。 Webサイトに人を呼び込み、Web上で販売やビジネス活動、問い合わせを行う活動のことです」
のような形で教えていましたが、対話形式にしてからは、
「WEBマーケティングは私たちの部署がお客様に提供しているサービスですが、そもそもWEBマーケティングって何をする活動のことを指してると思いますか?」
と答えを言わずに「何をする活動?」と投げかけるようにしました。
これをSEOも広告も一つ一つの手法に対して質問を投げかける形で対話形式にすることで従来よりは時間はかかりますが、研修終了後の知識の底上げは格段に違う結果になりました。
また研修において私は「否定をしない」ことを心がけています。
間違っている箇所があれば研修や案件で一緒になる度に対話の中に質問を投げかけ認識のズレを改善することはありますが、頭ごなしに「否定」をすることはしません。
なぜそう考えたのか?なぜその結論に落ち着いたのか?を掘り起こすよにすることでプロセスを自身の言葉で言語化し、何が間違ってたのかを自分で気付けるように工夫をしました。
頭ごなしに「違う!ダメだ!」と否定するのではなく「ここの考え方は完璧だね!でも惜しい部分が1箇所あるんだけどどこだと思う?」と対話することにしたことで新人の案件アサインも早くなり、活躍している姿を見るのはとても嬉しかったです。
「対話形式の座学研修」と「否定をしないOJT」は当たり前のようで実際に文字に起こすと研修として当然のことなのですが実際にできている会社は少ないと思います。
私も実際に担当してみて思いましたが、研修って想像以上に大変!
教育担当者は基本最前線で案件を回している方であることが多く、自身の案件がある中で教育を行うのは非常に大変です。
なので実際に研修を行うとしたら「やってもらう」⇨「修正する」を繰り返して成長してもらう形に落ち着くと思います。
私が実践した研修は案件と並行するとかなり大変です。
自身の案件が後回しになるから結果的に業務時間も増えてしまうからです。
なので私は新人の方が自身で勉強するモチベーションを上げることをミッションに工夫をすることにしました。
それが「自身も勉強を常にする姿勢でいること」です。
これは「私も勉強しているよ!」と言うのではなく、新人から「なぜあの人は詳しいんだろう」と思ってもらえるように行動することを指します。
例えば、私はお客様とのミーティングでは新人を同行させるようにしていましたが、質問に対して完璧な立ち振る舞いをするように心掛けています。
また、オススメのサイトや書籍を聞かれたら直ぐに答えられるようにすることや、質問された内容に対して書籍などを例に教えてあげることも重要です。
自身の努力を案件にアウトプットすることで新人に「自身も努力が必要だ」と気づいてもらうことが大切になります。
古い考えかもしれませんが私は「背中で語る」「見て盗め」精神で接しています。
学習したい感情は自ら「やるしかない」と思ってもらわないと火がつくことはありません。
その時に大切なのは「この人のようになれると良い」と思えることが重要です。
結果的に私の案件に対する負担は減りました。
成長したいという思いは自身の案件を最終的に引き継げるほど変化してくれます。
教育において必要な姿勢
・気付きを得られる体験を与える
・導き出した答えを根っこから否定をしない
・自身のアウトプットの質を上げて影響を与える
<「体験」の重要性は理解していても実践はできない>
私は自身の経験を元に「教育」について考えることがあります。
私は教育に大切なのは「教えること」なのではなく「体験をしてもらう」ことであるのではないか?と、思っております。
もちろん「ただ体験させる」というだけでは教育には繋がりません。
体験させた後にしっかり「気付き」を与えるフォローが最重要です。
私は「体験」の重要性は理解していても実践できないのが「気付きのフォロー」が難しいからです。
研修は「気付き」を得られる「体験」を与えられる場所であるべき!
今後もこの姿勢を崩すことなく、気付きを得られる体験を与えられる人に慣れるように頑張ろうと思います。
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