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常識という言葉の難しさ
自分にとって当たり前な出来事も誰かにとっては珍しいことかもしれない。
「常識」も初体験であれば「非常識」になり得る。
また、「非常識」も常習的に行われていれば「常識」になる。
最近「常識」という言葉が使い難くなった。
そもそも何が常識なのか分からなくなってしまったからだ。
「知っているのか否か」という目に見えない判断基準に翻弄されて、会話がスムーズに行かないのも「自分の常識」と「相手の常識」のズレが怖いからであることに気がついた。
何を持って「正しくて」何を持って「間違い」とするのか。
人と人が匿名の世界で会話するようになった現代において「常識」を俯瞰して見渡す必要があると思う。
「普通」とは何か
常識的かどうかの判断基準に「普通」という広く通用する状態であるか否かという概念が使われている。
「〇〇の時は△△をする」
これはある一定の範囲において広く通用する事柄を「常識」として当てはめた文法で、「△△」することが普通だよね?と投げかける言葉である。
この「〇〇の時は△△する」に対して「いや、うちの地域だと××だぞ!」と意見があった場合、「××」は「△△」の範囲外にある別の領域における普通のこと…つまり常識として主張される。
さて、この場合2つの普通が存在することになる。一体どちらが真の意味で「常識」の座に着くのだろうか?
常識という言葉の意味を調べてみると「社会を構成する上で当たり前のものとなっている、社会的な価値観、知識、判断力のこと。また、客観的に見て当たり前と思われる行為、その他物事のこと。」と定義されている。
常識とは客観的にみて「当たり前」のこと。
「〇〇の時は△△する」または「〇〇の時は××する」ことによって起こる「出来事」が「客観的にみて当たり前のこと」つまり「事実」として起こることが「常識」となります。
常識とは価値観や知識、判断力という主観的な物差しと、当たり前のように起こる事実という客観的な物差しによって構成されているからややこしくなってしまう。
だから「自分の価値観」と異なる事柄が「常識」と言われると「何言ってんだよ!違うだろ!」と別の「価値観」を提示し、論争が生まれる。
大切なのはそこで得られる「結果」が同じ事実であるかどうかということ。
例えば「雨が降ったら傘を差すのが常識」という意見に「雨が降ったらカッパを使うのが常識だろ?」と言われたら「どちらも雨を防いでいるから良いじゃないか」と思えるのは「どちらも同じ雨を防ぐ手段」であることを知っているから。
雨が降ってる時に外出する時は「雨に濡れないようにする」ことが常識として認識しているからです。
結果が変わらないことを知っているから「どっちも常識的だ」と言えるのであって、仮に「カッパ」の存在を知らない人がこれを聞いたらどう思うでしょうか。
おそらく「雨が降って変な服を着るのが常識っておかしいだろ。普通は着ないよ」と反論することでしょう。だって「カッパが濡れてるじゃん」と。
「普通」とは「広く通用する状態であること」
その人にとっての「普通の範囲」によって受け取り方が大きく変化するのです。
普通はその人の範囲によって変わってしまう。
この認識を持つかどうかで人との会話が円滑に動き、思いやりが生まれる。
くだらない論争は大体普通のすれ違いなのだから自身の普通が常識的か否かという視点は常に持っていることが重要になる。
常識は難しい
常識は難しい。
なぜなら常識は時と場合によって変わり続け、人の価値観や知識、判断基準によって変わってしまうものだから。
でも、人はそんな不確定で不透明な「常識」というものに重きを置いてルールとして定め、行動を評価する。
でも常識は人によって異なってしまう。なぜなら「客観的事実+主観的判断基準」が合わさって「常識」になる時点で、常識とは特定の判断基準を共有する集合体の共通認識でしかないのです。
だからこそ難しい。
常識を語るのは自分が「正しい」前提での会話になるが、その前提が覆ると自身の中にある揺るぎない土台が崩れ去り、常識の上に成り立つ様々な事柄が崩壊することになってしまう。
その崩壊を恐れて自身の中にある「正しさ」からズレた常識が語られると「危機感」を感じ、意見を述べてしまう。
常識を語る時は自身の正しさに囚われないことが重要である。
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