「魔女見習いをさがして」は完全に""俺たち""の映画である|※ほぼネタバレなし
1999年より朝日放送・テレビ朝日系列で4年間放送された「おジャ魔女どれみシリーズ」の20周年の記念して制作された完全新作アニメーション映画「魔女見習いをさがして」を先日観てきました。
何を隠そう私はおジャ魔女どれみど真ん中世代。
私は男性なので熱心に観ていたわけでは正直ありませんが、第1期はしっかりと観ていました。今でも呪文捉えられるほど記憶に残っていますし、主題歌の「おジャ魔女カーニバル!!」はカラオケで歌うほどです。
世代直撃のおジャ魔女どれみが20周年ということは私も20年歳を重ねたということ。
映画の内容を一切耳に入れずに映画館へ足を運んだためストーリーも理解していない真っ白な状態で挑みました。
その結果、
おジャ魔女どれみ世代の私は、
心に完全にぶっ刺さり…
無事号泣で涙はまるで華厳の滝。
スタッフロールが流れ終わり、映画が完全に終わったと同時に私は「これは""俺たち""の映画だ」と呟くほど、完全にこの映画の主役は「俺たち」なのです。
「魔女見習いをさがして」はどんな物語?
教員志望でありながらも、自信をなくして進路に戸惑う大学生
長瀬ソラ(22歳)―名古屋
望んだ仕事についたものの、職場になじめず葛藤する帰国子女の会社員
吉月ミレ(27歳)―東京
夢に向けて進学費用を貯めるも、ダメ彼氏に振り回されるフリーター
川谷レイカ(20歳)―尾道
年齢も性格も住んでいる場所も…なにもかもが違う三人。
しかも、それぞれ思い描く未来が見えず、人生に絶賛迷い中!
そんな彼女たちを引き合わせたのは“おジャ魔女どれみ”!?
かつて魔女見習いたちが集っていたMAHO堂―鎌倉にある洋館での
運命的な出会いをきっかけに、三人は飛騨高山・京都・奈良と
「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地を巡る旅へ!
笑って泣いて支え合って、かけがえのない時間を過ごした三人は改めて気づく、
いつもどれみたちがそばにいてくれたことに。
そして魔女見習いたちに背中を押され、踏み出した先に、
素敵な世界が広がっていた―
公式サイトより引用:https://www.lookingfor-magical-doremi.com/about/
この物語は「おジャ魔女どれみ」の世界が舞台ではなく、おジャ魔女どれみをアニメ放送されていた世界…つまり現実世界の日本が舞台になっています。
主人公は年齢も性格も住んでいる場所も違う3人の女性で、唯一の共通点は「おジャ魔女どれみ」が好きであること…
という主人公が自分たちと同じおジャ魔女世代であるという展開に初っ端から私は驚きます。
「え!?どれみちゃん達出ないの!?」
この映画の物語はおジャ魔女どれみをきっかけに3人が出会い、おジャ魔女どれみの聖地を旅するという話で「彼女達3人の人生に対する衝突や障害、夢や現実、悩みに苦悩、そして恋」が描かれます。
この物語の構成はおジャ魔女どれみを見ていた人たちを一気に物語の中に没入させる効果があり、私も彼女達を通じて映画の世界に入り込んでいました。
ちなみにこの物語には男性のおジャ魔女ファン「大宮竜一」も登場するのだが、その登場シーンで出てくるセリフは男性ファンの8割ぐらいは「分かる」となること待った無しです。
この構成も上手くて男女問わず愛される「おジャ魔女どれみ」という作品を見事に作り出しています。
一貫して「おジャ魔女どれみ」はアニメーション作品として描かれ「魔法」も「魔女」も存在しない世界でありながらも、この作品は「完全におジャ魔女どれみ」の新作と断言できるほど完膚なきまでに「おジャ魔女どれみ」なんです。
待望の新作に向けて、オリジナルスタッフの佐藤順一監督や脚本の栗山緑、
総作画監督の馬越嘉彦らが再集結。
さらに鎌谷悠監督など新進気鋭のクリエイターが加わった制作陣が描くのは、大人のための新たな“魔法”の物語。
「おジャ魔女どれみ」シリーズは、
心躍らせる“魔法”の世界だけではなく、
子供たちの悩みに寄り添った人間ドラマを丁寧に描いてきました。
本作は“笑える”“泣ける”そして“一歩前に進む力をくれる”シリーズの魅力をそのままに、大人になった今だからこそ気づく、“魔女見習いたちが伝えてきた大切なこと”をまっすぐに語りかけてくれます。
公式サイトより引用:https://www.lookingfor-magical-doremi.com/about/
おジャ魔女どれみは明るくてポジティブな世界観でありながら「痛み」や「苦しみ」の様な重たいテーマも扱う人間ドラマでした。
オリジナルスタッフが集結して描かれる本作は正に"おジャ魔女どれみ"であり、私たちが20年で抱いた新しい「痛み」と向き合う物語になっています。
そして「魔女見習いをさがして」はおジャ魔女どれみ世代の3人の女性がおジャ魔女どれみを通じて出会い、おジャ魔女どれみに勇気を貰いながら「大人になる」物語であり、幼い頃に夢みた「魔法」と「魔女見習い」を探す物語なのです。
なぜ""俺たち""の映画なのか?
「魔女見習いをさがして」の主人公は完全に""俺たち""です。
なぜそう言い切れるのか?
それはこの作品が「かつて何かに夢中になったことがある人」
「大人になった今でもその<好きなこと>を追い続けている人」
「好きなことを<誰かと分かち合える喜び」>を知っている人」
を対象といているドラマであり、何かを「好きになったことがある人」なら共感すること間違いなしの物語だからです。
主人公の3人はそれぞれ生まれも育ちも仕事も年齢も違います。
そんな彼女たちを引き合わせたのは「おジャ魔女どれみ」という共通の<好きなもの>です。
もちろん全ての人に当てはまるものではないかもしれませんが、自分の好きなものがきっかけで「生まれも、育ちも、仕事も、年齢も、性別も、趣味嗜好も、何もかも違う人」と出会ったことがある人は共感をするのではないでしょうか?
特に私たちはインターネットネイティブの世代であり、SNS黎明期から慣れ親しんでいる最初の世代です。
好きなものを通じて多くの人に出会ってきた人もいると思います。
私は自分の好きなものを通じて今も一緒に遊ぶ友達に出会いました。
生まれも育ちも年齢も違います。
共通の<好きなこと>を持ち、主人公たちの様に好きなものを題材に語らったり、お酒を飲んだり、旅行したり…そんな日々を過ごしたことがあります。
映画を観ていると彼女達の姿が自分と重なり、自然と涙がこぼれ落ちていきます。
同じ時間を共有して、同じものを好きで、同じ様に泣いたり笑ったりした日々。尊くて大切でかけがえの無い瞬間。
それらは全て"運命"に導かれたかの様な奇跡の縁で結ばれた<魔法>で、私たちは「自分が熱中した好きなもの」達のおかげで「大人になった」と気づかせてくれます。
私は世代が一緒の吉月ミレさんに自身を投影したり、ミレさんの行動パターンを観ながら「分かる」と思える…自分を投影したかの様な感覚を味わえます。
私たちが過ごしてきた全ての時間は奇跡であり魔法である。
魔女見習いたちが教えてくれた大切なメッセージを受け取った時、涙が止まらなくて止まらなくて…その日の帰りはずっと放心状態でした。
ちなみに速い人は開始数分で心が射抜かれると思います。
これが「大人になった今の俺たちの<おジャ魔女カーニバル!!>だよな…」と刺さりまくること間違いありません。
まとめ:観終わった後に無性に缶ビールが飲みたくなる…超名作映画です。
この映画を観終わると、無性に缶ビールが飲みたくなります。
同じバイブスを共有した友達と会いたくなりますし、もう一度映画を観たいなと自然と思うこと待った無しです。
完全に""自分""の映画を観たことは人生初の体験のため、上手く言えないのですが、私は昔の自分ともう一度会えた様な気がしました。
人生に迷い、悩み、もがき苦しむ…そんな私たちの背中を魔女見習い達は優しく押してくれる。
かつておジャ魔女どれみを観た全ての人に観てほしいと心から思える素敵な作品です。
いつか私たちも偶然どこかで出会うかもしれません。
その時は<好きなもの>を語らいながら乾杯しましょう。