マーケティング=プロモーションという誤解
「マーケティングとはプロモーションである」という誤解
「マーケティング」とはなんですか?
と、質問された時になんて答えますか?
・集客施策全般のこと
・広告を出稿して宣伝活動をすること
・商品に対する販売意欲と購買意欲を高めること
・適切なターゲットにプロモーションを仕掛けること
上記は確かに「マーケティング活動」ではありますが、マーケティングを説明する言葉としては不十分です。
広告、宣伝、集客、販促活動、市場調査のみに対して<マーケティング>と捉えることが多いが、これらは全て誤解であり、マーケティングの本質的な部分から考えれば狭すぎる範囲を指した認識となります。
これらの誤解は企業の広告・宣伝部門が『マーケティング部門』と名乗ることが多く、一部広告代理店やマスメディアの台頭からプロモーションの側面が目立ったことも「マーケティング=プロモーション」の認識を生み出したとも言えます。
プロモーションはマーケティングの一部
”マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである”
アメリカ・マーケティング協会 2007年頃の定義
「マーケティング」はアメリカで生まれた言葉で、日本語に正確に翻訳をすることができません。
マーケティングの本質を理解するのであれば、本場アメリカにある「アメリカ・マーケティング協会」が提言する定義を見るのが一番でしょう。
そこには『マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである』とあります。
つまるところマーケティングとは「市場」の中で「価値のある提供物」を<<作る→知ってもらう→届ける→等価交換を行う>全ての流れを生み出す作業を意味し、『選ばれる(売れる)ための流れ・仕組みを作る』活動を指します。
プロモーション活動はその中の一部を担っていますが、マーケティング活動の全てではないことが定義から分かります。
『〇〇マーケティング』という言葉が巷には溢れていますが、それらは膨大な範囲をカバーする「マーケティング」に対して、細分化された一部領域や手法(ツール)の中で行われるマーケティング活動に対して付けられる総称のことで、本質は変わりません。
どのようなマーケティング活動でも「市場を定義」「市場に新たな価値を創出」「価値を知らせる」「価値を交換する」というプロセスからは外れることはなく、一部、または全てをその領域内でカバーします。
どれだけ細分化されたマーケティング活動の中でも「プロモーション」はその「一部」でしかなく、プロモーションそのものをマーケティングと定義することはありません。
Webマーケティング:Web(Webサイト・Webサービス)を中心に行われるマーケティング活動のこと。「集客」「育成」「再訪問」「購買」「アフターケア」等の施策をWebサイト上で行う。
SNSマーケティング:SNS(Twitter、Instagram、Facebook、LINEなど)を中心に行われるマーケティング活動のこと。フォロワーに対して自社サービスの周知や、新製品のプロモーション、ユーザーのニーズ調査等をコミュニケーションを通して行う。
ダイレクトマーケティング:企業が外部の仲介無しで直接顧客とコミュニケーションを取るマーケティング活動のこと。仲介を挟まないことで、直接顧客と関係性を構築することができ、顧客の抱えているニーズに対して細かいサポートが可能となる。そのため顧客満足度の向上や購買意欲向上を実現しやすい。
インバウンドマーケティング:自社の商品やサービスに対する情報を能動的に発信し、顧客側から問い合わせやアクションを取ってもらうためのマーケティング活動のこと。WebマーケティングやSNSマーケティング等で活用される手法も含まれる。
インフルエンサーマーケティング:インフルエンサーと呼ばれる影響力のある個人に自社商品やサービスを利用してもらい、購買意欲への訴求や、ブランディング、プロモーション等の活動を行うこと。主にInstagramやTikTok、YouTubeのようなSNSで行われる。
デジタルマーケティング:デジタル領域全般で行われるマーケティング活動を指す。WebマーケティングやSNSマーケティングはデジタルマーケティングに含まれる。DX(デジタルトランスフォーメーション)の普及もあり、デジタルテクノロジーの活用が重要視される背景から、取得できる行動データの範囲がWebからさらに拡大したことで「デジタル領域でできること」が広がったため、より重要視されるようになった。
いい商品を作っても見つからなければ売れない
マーケティング活動が重要視される最大の理由は「いい商品を作れば、自ずと売れる」ということが残念ながら幻想であり、現実は「いい商品を作っても、作っただけでは誰も買わない」という事実が真実であるからです。
良いものを作って、「何もせずに勝手に売れた」という事自体が珍しいことで、必ずしも何かしらの「売れるための工夫」をしています。
「自然と売れたように見えた」ものでも裏では念入りなマーケティング活動が行われているのです。
その中にはもちろん「プロモーション」も含まれますが、他にも多くの施策が含まれます。
市場を調査し、ニーズを満たす価値を創出することも、商品を購入できる場所の設定や流通経路を定めることも、商品の情報を多くのチャネルから発信することも、価値を知ってもらうためにプロモーション活動を行うことも、購入してもらえるようにセールス活動を行うことも、その後のアフターケアやカスタマーサポートを行うことも…全てマーケティング活動です。
マーケティング活動には「セールス」や「ブランディング」も含まれ、対立及び独立するものではありません。
マーケティングとは「売れるための仕組み」を作る全てのプロセスを含みます。価値のあるいい商品を作っても売れなければ意味がありません。
売れるためには様々なプロモーションを仕掛け、ブランドイメージを確立し、セールス活動を行い、カスタマーサポートを徹底し、直接コミュニケーションを取り新たな価値を創出する…そういった優れた顧客体験を提供することが必要です。
そのためにマーケティングがあり、そのためにプロモーションが存在します。
プロモーションは価値を届けるために必要
マーケティング活動において「価値を届ける」「価値を知ってもらう」フェーズは大変重要なもので、「知ってもらう」という最初の壁をクリアしなければ購買行動は生まれません。
それはありとあらゆる商品、サービス、提供物に言えることで「届ける」という活動を怠った場合、成果を得ること自体が難しいと言えます。
そのためプロモーション活動をすることは大変重要であり、マーケティングを促進するのであれば「宣伝」は外せません。
しかし、「マーケティング=プロモーション」と定義してしまうと、プロモーション活動そのものが<目的>となってしまい、本来であれば同じマーケティング活動であるはずのセールスやブランディング、広報や管理部門、開発部門と連携が取れず、成果が得られない事態に陥ってしまうでしょう。
プロモーションは疑う余地がないほど最重要な要素の一つです。しかし、それ自体は<ゴール>ではなく、ある一つのプロセスに含まれる戦術なのであるという認識が無ければ素晴らしい結果を得る事はできません。
【パーソナル】
名前:Uto
職業:Webマーケティングコンサルタント
Webライター、Webマーケスクール講師
趣味:サウナ、アート鑑賞、一人旅、音楽
ラジオ、伝統・民俗芸能について調べること
特技:和太鼓、フットワークが軽い
【連絡先】
メールアドレス:yy.edih.xx@gmail.com
Twitter:@hd2OimM
Web制作会社のマーケティング支援部門でWebマーケティングコンサルタントとしてSEO、広告、コンテンツ制作、LPO、EFOなどの手法を元にお客様のWeb戦略のサポートを担当。提案・分析・企画・施策の実施・効果測定まで全て一気通貫で対応できることが強み。その後、Web接客ツールのベンダー企業にカスタマーサクセスを提供するコンサルタントを経て、現在フリーランスとして活動中。
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