v.511 2023年 10月11日
例によって宣伝です。
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にてSigma100-400mmF5.6-6.3 DG DN OS | ContemporaryのX-Mount版のインプレ記事が公開されました。
X(旧ツイッタ)でもボヤいていましたが、第一印象が激悪。
事の発端は柴犬をドッグランと言う名の大草原で走り回らせている時のこと。
回転式ズームの本レンズではありますが、レンズの先端を掴んで「エイヤ!」と操作することで直進ズーム的にも使えるので、AF中にズーム操作したくなるタイプのレンズになっています。
ま、操作系の好みの話ね。この操作に慣れると結構快適です。
で、AF中にズームすると至近端で固まったり微妙にピンボケでロストしたり、っていう昔懐かしの挙動が出るワケ。
ちなみに一眼レフ時代にはAF中のズーム操作に正式対応したレンズは少なかったですが、AFセンサーモジュールのデフォーカス検知量っていうピンボケであっても位相の方向が分かる領域が、ミラーレスと比べて桁違いに大きいこともあり、意外と平気っていう感じでした。
それがミラーレス化で顕在化したって感じ。ミラーレスは位相の山を掴む能力が、構造的に限定的なのよ。
話を戻して、今回の柴犬シーンではボディの実力っていう説も出てきます。しかし以前に同様のシーンをXF70-300mm等でも撮っていて、その時には苦もなくスイスイAF-Cしてくれていました。
ってことで、レンズが悪役なのだろうって推論が立ちます。
ズーム操作しない場合には、基本的に悪くない感じでした。
どちらかと言えば、被写体認識の挙動が悪い時がちょくちょくあるってことと、微妙に後ピンになるシーンが多いことが気になりました。どちらもボディ由来だね。
微妙にピンボケってのがクセモノで、EVFとかLCDだと撮ってる時に分からない。再生して「あ・・・」となります。
一応フジさんとシグマさんには「こういう条件でピントが甘いぞ」ってのと「AF中にズーム操作するとAF怪しいぞ」ってのは報告&相談しています。
結果はどちらも実力でした。
ボディ側は文句言った後にアプデがあったので、念のため追加検証ってことで動物園に駆け込んでいます。
レンズ側の文句は、AFの転がりはじめのレスポンスが悪い時があるくらい。これはサードパーティだと仕方ないのよね。
この症状は純正でも出るのだけれど、純正レンズではこの転がりはじめのレスポンスを良くするために進化してきたという歴史が、他社ではありました。キヤノンがここのレスポンスのさせ方が上手い。あとソニーね。
転がりが軽いとAFの印象が良いです。
以前は開発チームにこの事を言ったら直ぐに共感を得られましたが、最近はポカンとされることも増えました。SとCはちゃんと「気を使ってます」って返ってくるので、早まって凸らないようにね。
本レンズについては仕方のないところもあって、フジの言語で指示されたものをレンズ側でシグマの言語に翻訳して動作しているので、そこの翻訳に手間取ることがあるっていうのが、漠然とした説明になります。
あと純正同士の組み合わせだとブーストモードみたいな、倍速駆動で通信したりっていうことが出来るメーカーもあります。例えば通常60fpsで通信演算やってるところを倍の120fps演算になると、AFの精度は格段に良くなります。センサーの読み出し速度にも依存するので、演算回数についてはあくまでも「例え話」ね。X-T5はセンサーの読み出しが24fpsだったかな。以前は公開されてたけど、最近は出てないのよね。言っちゃダメな場合は消しますのでお手数ですが、ご一報下さい。
こういった翻訳の齟齬が出るシーンってのが、条件の悪いシーンになります。AFがミスした時に「被写体は何処に居るんだ?!」ってサーチするのだけれども通信に余裕があれば直ぐに見つけられるって算段。
この威力を見せつけたのがα9だね。
コイツは対応レンズとの組み合わせでは120fpsでAF演算してたと思う(違ってたらスマヌ)のだけれども、120回も測距演算しているから、2-3回ミスったとしても残りの100回以上のシーケンスで正答にたどり着けるワケ。
時代が変わった・・・と思いました。
この時にエンジニアの人は
「言い方は悪いですが、演算の暴力で全て解決させています」
ということを実際に言っていました。
コレ、記事にして良いって言われたので月カメで取り上げた気がします。
同じ事をやってるのがZ9とかの積層センサー機だね。
でも演算の暴力を振るうには対応するレンズが必要です。
純正同士の組み合わせが良いってのはそういうところだね。
最高の組み合わせではないけれども、そうじゃない条件下では好バランスの製品を、ってコンセプトなのが、シグマではContemporaryラインの製品だね。
良くすれば大きく重く高くなる。良いものを小さくするのはもっとコストが掛かります。取捨選択によって日常領域での使い勝手を印象的に。
個人的にはこういったハッキリしたコンセプトは好きです。
↑取り敢えず、ワイド端とテレ端のイメージ。
夏なので、大気の状態の影響をモロに受けてポヤンポヤンだね。
でも「結構写るな、コイツ」って感想です。
というのが、夏って外で長時間撮影していると、レンズが温まって内部のクリアランスが変化して写りが悪くなったりAFが怪しくなりますが、シグマレンズって意外と平気です。T-Lineは経験上良くねぇですが、使い方次第でもあります。
炎天下の野晒しは止めようね。タオル1枚でも掛けとけば全然違いまっせ。
白いレンズは、そういうところにも配慮されてると思って良いです。ニコンの黒いヤツも配慮されてますよ。
これとか空気が揺らいでいてポヤンポヤンだね。撮ってる時も「絶対に写らない」って分かってて撮ってます。
こういう空気の揺らぎが大きい条件の時って、X-T5のAFが怪しいのよね。
位相差AFじゃなくてコントラストAFで駆動すればもう少しキリッと写ると思うから、緊急コントラストAFモードがあると良いなーと。
これはフジに限らず、の話ね。
強制コントラストAFとなるモードがある条件を持つメーカーもあるので、我こそは!って人は検証してみて下さい。
こういったモードがあると、きっとLUMIXが最強でしょうな。
なんてったってDFD(空間認識AFね)は最大480fpsで駆動するんだ。実際に良い時はトンデモナク良い。
空気の揺らぎの影響が少ない距離で撮ってみたけれども、気持ち甘いかなぁ・・・AFの精度の都合かも知れませんが、テレ端はまずまず良いって感じ。絞ればもっと良いけれども、テレ端で何時でも絞れるワケではないので開放近辺での運用が基本になると思います。
基本的に写りはXF100-400mmより本レンズの方が良い気はしますが、純正のが写りが良いシーンもあると思います。
ギリギリ持ち歩けるサイズの超望遠ズームって楽しいよね。
なんてったって、そもそもの超望遠ズームが楽しいからね。「楽しい」が約束されています。
70-300クラスのレンズでは見つけられない瞬間が、100-400とか150-600クラスでは捉えることが出来ると思っています。
出会いは良くなかったけど、良いレンズだと思いまっせ。
こういう、メーカーにないコンセプト(キヤノンにはRF100-400mmっていうバケモノがある)で上手く突いてくる商品企画は大好きです。
フルサイズ用なのにAPS−C用より小さいところも凄いよね。