議員の「首都感染」の購入費用に関する問題について
通常国会が開かれ今後の日本の未来を左右する議論が始まろうとしている中、とある議員に対してある疑惑がネット上で持ち上がった。
曰く、通常であれば1000円程度で買う事ができる値段の本をその50倍の値段で、またそれを政治活動費で購入していると言及されており、マネーロンダリングもしくは寄付にあたるものではないかと指摘されている。
この問題について、当人の議員による発言を含めてネット上では議論が盛んに行われており、現在に至るまで有志による追求と調査が続けられている。
今回はその問題に関する事の本質がどのようなものかまとめていきたいと思う。
(個人の名前に関して、立場や人柄によるバイアスを避けるためにあえて記載しません。ご了承ください。)
追求されている問題について
1.収支報告書に対する指摘
twitter:言及内容
Amazon:「首都感染」のページ
収支報告書:問題があるとされている資料
一つ目に追求されている事として、収支報告書の25ページに記載されている政治活動費の内訳に関する問題である。
その内容は、令和2年(2020年)3月28日にAmazonで講談社文庫の「首都感染」の一冊を56,456円で購入した、というものである。
電子書籍版及び文庫版の定価は1045円であるため中古本を買ったものだと思われるが、その購入した値段が定価の50倍以上である56,456円だった事から多くの指摘をされている。
また、なぜ中古本ではなく電子書籍版を買わなかったのか、等といったことも追求されている。
2.購入先に対する指摘
twitter:言及内容
twitter:議員による言及及び画像
大阪どっとjp:代表取締役の住居が書かれているページ
二つ目に追求されている事として、本の購入先が自身の選挙区内に住む男性が代表取締役を務める書店だった、というものである。
本の購入先が判明した経緯としては、議員が疑惑に対して反論を行った際にアップされた画像の中に本を購入したとされる領収書が含まれており、その中に販売元が記載されていた、というものである。
書店の所在地は吹田となっており選挙区が大阪府9区である議員には関係が無いように思えるが、代表取締役の住所が箕面市だった事により先述した過剰な代金と合わせて公職選挙法違反ではないかと追求される事となった。
疑惑への検証
1.収支報告書に対する指摘に対して
結論から言うと、この疑念に対して何も法的には問題は無い。
その理由として、政治資金規正法の性質があげられる。
政治活動家に対する政治資金の寄付に関しては一定の規制が存在するが、支出に関する規制はほぼ存在しない。人件費や事務所費などの経常経費以外の支出の全てで使う事ができ、政治と全く関係が無い使い方(私的利用、蓄財など)をしても法的には問題が無い。
つまり、「通常よりも高く本を買った」としても「通常よりも高く本を買った」というだけで何も法律上では問題が無いのである。
2.購入先に対する指摘に対して
結論から言うと、この疑念に対して何も法的には問題は無い。
その理由として、政治資金規正法の性質があげられる。
選挙区内の人に寄付活動を行った場合は公職選挙法違反となるが、その対象は主に祝辞などにおける贈答品などであり、本を購入しただけで公職選挙法違反に当たるかどうかは疑わしい。
つまり、たとえ本の購入先が選挙区内の人間であっても寄付にあたらない以上何も法律上では問題が無いのである。
結論
結論として、それぞれの疑惑は現行法において問題が無いと言える。
例えるならば、殺人を犯したとしてもそれを裁く人間と法が無ければ罪に問われないのと同じで、たとえそれが道義的に間違っていようと法律で規制されていない以上問題では無いのである。
ネット上でこれらの問題に取り組んでいる人には酷な話ではあるが、これが現代の日本の姿である。