2021年12月に読んだ本まとめ
遅くなりました…。
パレオな男や最高の体調で良質な情報を発信してくださる鈴木祐さんの新刊とあれば、読まざるを得ません。
本書は、人間が持つ内面の普遍的な苦しみを、仏教からの引用を用いつつ科学的に対処する方法を教えてくれます。役立つのはもちろん、瞑想や禅問答といった宗教的な概念をサイエンスとして解き明かして説明してくれるので、読み物としても面白かったです。
「お金は使い切って死ぬべき!」だと熱弁する本。けっこう共感出来るところが多くて面白かったです。
経験は思い出となり思い出は配当金のように思い出すたび自分を幸せにしてくれる…という「記憶の配当」ロジックは非常に説得力があり、老人になって経験を買うより若い内に経験を買った方が絶対的に良いなと思いました。
著者は「お金のために働き過ぎるな!」とも言っていて、お金は貯まれば貯まるほど良いものだというマインドだと、お金を有効に使えない老後のためにお金を有効に使える若いときの時間を犠牲にしてお金を稼いでしまい、人生の満足度が下がってしまうと指摘しています。この辺りはFIREを目指している自分としてはよく理解しているつもりでしたが、改めてお金を必要以上に稼ぎ過ぎないよう注意が必要だなと思いました。
現代を牽引する起業家であり投資家であり、そして思想家でもあるピーターティールのマニフェストが書かれた本。
冒頭。「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」という刺激的な問いに始まり、「何よりの逆張り※は、大衆の意見に反対することではなく、自分の頭で考えることだ。」と読者の覚悟を試すかのように着地します。気楽に読むにはちょっとしんどいですが、この挑戦的な語り口にワクワクしながら読み進めることができます。
※ティールは投資や政治活動で「逆張り」をし、勝利してきた実績がある。
興味がある人は、本書の発売記念に開催された糸井重里とティールの対談を読んでみることをオススメします。本書より取っつきやすいです。
本書を読んでいて意外に思ったのが、ティールがアインランドの思想を批判している点。
ピーターティールといえば民主主義に懐疑的な筋金入りのリバタリアンで、国家の介入を避けるために海上都市をつくろうとしていたはずで、それはまさしくアインランドが「肩をすくめるアトラス」で描いた「別天地(ゴールト峡谷)」と重なる思想だと思っていました。
私のような一般人からすると、ティールもランドも「優秀な人を集めて優秀な人だけで世界をつくろう!」系の考えを持っているように感じますが、本書のランド批判を読む限り、どうやら違うみたいです。
だとすると、ティールの海上都市とランドのゴールト峡谷はいったい何が違うのでしょう?
この謎を解くカギは先ほど紹介した糸井氏との対談にあると思っていて、ポイントとなる箇所をいくつか引用してみようと思います。
この辺りの発言を踏まえると、ティール自身に多少のエリート主義があったとしても、それよりも世界の人々の生活を良い方向に前進させたいという動機の方が遥かに強いのではないかと思います。本書と対談を丁寧に読めば読むほど、彼は素直にテクノロジーの力を信じてみんなを救おうとしているだけなのではないか、という風に確信するのです。
だとすると、ティールにとっての海上都市は「優秀な人を集めて外界と遮断するための場所」というよりも、「”自由に”テクノロジーの進歩やルールメイキングを行える場所」という意味合いが強いのではないでしょうか。それなら、社会と断絶するための「別天地」ではなく、社会に一石を投じるための「海上都市」であるというように、ランドとティールの違いを端的に説明出来るような気がするのです。