43歳公務員、転職してみた。転職活動編①
43歳の公務員の私ですが、民間企業に転職をすることになりました。
さすがに転職が決まる前にnoteにあれこれ書き残そうという気にはなれなかったのですが、せっかくの記録ですので転職が決まってから、新しい勤務先に向かうまでに時間があるので、少し書き残しておこうと思います。
40代公務員の市場価値
転職業界では市場価値という言葉が良く使われています。
現在、属している会社ではなく、違う企業などで採用してもらおうとした場合に、どのくらいの給与で採用をしてもらえるのか、おおむねの金額というくらいの意味だと思います。
もちろん、市場価値というのは個々人で異なりますが、ざっくりとした価値というのは属している組織、そこでの立場、経験年数などで決まってくるだろうと思います。
大企業の総合職で採用されて、複数の部署を経ながらトップクラスの成績を残して、早期に管理職に出世した人と、地方のそれほど人気がない企業に採用されて、それほどの実績もなく年功序列で何とか主任になっているという人。
当然ながら、期待される仕事は異なってくるでしょうし、それに応じて報酬も異なってきます。
では、公務員の場合はどうかということですが、転職活動を開始した時点では、はっきり言ってよく分かっていませんでした。
公務員以外の仕事はアルバイトを除けば未経験で、なかなか評価をするのが難しい存在であるから厳しいかもしれないが、頑張れば何とかなるかなぁ、と思っていました。
一応、名の通った国立大学に在籍していましたし、現在の職業でも出世レースの上位には位置しています。
TOEIC850点、日商簿記2級などの資格もありますから、ある程度は能力を重視して管理業務を任せたいという会社であれば、それなりの評価をしてもらえるのではないかと思いました。
が、結論としては甘い考えでした。
転職活動を終えてみてから分かるのですが、企業としては採用したらその分野の仕事を任せたいという風に思っているわけですから、実際に仕事ができる実績や経験がない人間を取るというのはリスクがあります。
それでも20代であれば、他の若手と同様に育成していこうという観点を持って採用することもあるのでしょうが40代ともなると、そうはいきません。
仕事の能力、実績のある人に来て欲しいとなるのですが、公務員の仕事を通じて得た能力というのはコミュニケーションやマネジメント、部下の育成、危機管理など汎用的なスキルが多い状況です。
そのため中途採用で具体的な職務が定まっていると、そこに自分のスキルがなかなか合わないという事態に陥りました。
もちろん、公務員の中でも会社の総務のような人事管理、物品管理を行っている部署はありますし、外部との契約などを行っている部署、建築や土木の分野に携わっている部署、あるいは第三セクターなどに出向すればビジネスそのものに携わることもあるだろうと思います。
しかし、自分の場合はそういう事業会社で直接、役に立つようなスキルや経験というものがなかったためなんとなく優秀そうにも見えるけど、具体的に何ができるか分からない、ということでなかなか評価は難しかったと思います。
専門スキルがない人間の戦い方
ということで転職活動の序盤は、あまり自分のことをしっかりと見つめることもできず、適当な書類作成をしてなんとなく応募して、書類選考に落ちるということの繰り返しでした。
転職エージェントを利用したのですが、担当となったエージェントも「とにかく数を応募しましょう」というタイプだったので、その言葉に乗せられてしまったというのもあると思います。
おそらくは担当エージェントとしては私に対して、転職は難しいが多く打てばどこかにヒットするのでは、ということを思っていたのかなと思います。
真相は確認していないので分かりませんが、サポートなども、それほど親身になってという感じもしなかったので、大きくは間違っていないのではないかと思います。
そういうわけで30社ほど書類選考で落ちたくらいで、このままではいけないと考えなおしをすることにしました。
具体的には、自分のスキルが汎用スキルに偏っている中でも、どういう風にすればアピールができて、どういう会社であれば採用されやすいのかを考えました。
まず、アピールに関していえば、それまでもある程度は意識をしていたのですが、より具体的にSTARのフレームワークを考えることにしました。
STARとは「Situation(状況)」「Task(仕事)」「Action(行動)」「Result(結果)」の頭文字、過去の仕事を行う上でどのような状況において、どのような課題や仕事があり、それを解決するためにどのような行動を行い、どういう結果になったのかということです。
これを説明することで事業会社に馴染みのない仕事であっても、自分の行動を客観的に説明することにつながり、事業会社などでも与えられた業務や課題に対して的確に対処できることを示せるのではないかと考えました。
そして、応募する企業も専門的なスキルよりも、なるべく汎用スキルを求めている会社、職種に絞っていくことにしました。
例えば、総務系の仕事というのは大企業の本社となると、細分化されてしまい経理、人事、広報、施設管理など総務からは外れてそれぞれに分かれています。
しかし、中小企業や大企業であっても支社や支店となってくると、それを分割するだけの規模がないので、それらを束ねた形で総務やマネージャーの仕事が与えられることとなります。
当然、様々な雑多な業務を行わなければなりませんから、それぞれには担当者はついているものの、それらを取り仕切るリーダーやマネージャーのポジションということになってくると、何かの専門性を持っているということよりも様々な業務をうまく割り振るマネジメントなどが求められやすいということになると考えました。
そこで具体的には中小企業の総務職のリーダーや大企業でも支店の事務管理、あるいは中小企業と似たようなことになると思いますが、病院の事務長などのポジションも選考対象と考えました。
結果として、書類選考全滅だったところからさらに30社ほど応募を続けて、書類選考を通過することができたのは2社に過ぎませんでした。
自分なりに戦略を考えたつもりでしたが、書類選考の通過率は非常に低いと言わざるを得ないと思います。
結果、2社のうち1社が面接試験を通過して内定を頂くことができたのですが、結果的にはラッキーだっただけかもしれないなと思います。
たまたま年を取っていても、ある程度の汎用スキルと潜在的な能力があれば育成しようという年齢が不利になりにくい方針の会社と出会うことができたので内定を頂くことができただけで、そうでなければ、まだ転職活動を続けていた可能性は高いと思います。
40代公務員転職は難しい?
自分の実感としては、事業会社につながるような専門的なスキルをアピールできない以上は非常に難しいと思います。
もちろん、収入などが下がっても良いということであれば、もう少し書類選考等の通過率も良かったかもしれませんが、大幅に下がることがない範囲でと考えていたので、なかなか大変でした。
後は、転職サイトに登録していると不動産営業と保険会社の営業については応募しませんか、というメールが頻繁に来ていましたので、これらの職種で稼げる自身のある人であれば、十分に可能性はあるのだろうと思います。
もちろん、先ほども触れたとおり公務員であっても、民間企業で生かせるスキルを持っている人たちもいるので、一概には言えませんが、公務員から民間企業転職というのは一般的には厳しいということだと思います。
しかしながら、私自身は結果として待遇面では給与はやや下がるものの勤務時間などワークライフバランスが改善する会社へ転職することが出来ましたので、全く無理ということではないと思います。
次は、転職先企業へ内定が決まるまでのことについて、問題がないであろう範囲で触れたいと思います。