【ちょっと胸キュン話】初めての桃の天然水はとてもおいしかったんだよ。(ちょいフィクション)
高校1年生。
ぼくは同じクラスの子に恋をした。学年でも1,2位を争うアイドル級の女の子。
家から学校までの通学30分間は、何度も一緒に帰るシミュレーションをした。
当時、桃の天然水がブームになってた。
ともちゃんが、「ひゅーひゅー」ってCMで言ってた。
アイドルはともちゃんより輝いてた。
日直で、二人で黒板を消してた。
緊張していたんだろう。ぼくは無言だった。
何度もシミュレーションしてたのに。
作業が終わったとき、
「桃天飲んだことある?」
と声がした。
「えっ?!」
ふりかえると、アイドルがぼくに話しかけてくれていた。
ぼくはドギマギしながら、
「の・・のん・・・飲んだことないけど・・・」
声がうわずる。でも夢の中にいるようだった。
「おいしいから、飲んでみたら?」と、
さりげなく彼女の飲みかけの桃天を手渡される。
もうぼくの頭の中で、
ともちゃんが「ひゅーひゅーひゅーひゅー」と言いまくってる。
ぼくは口をつけていいのかどうかも迷いながら(本当はつけたい)、ついたともつけてないともいえない微妙なところで、一口飲んだ。
とってもおいしかった。
「次は買ってね!」と言われ、彼女は去って行った。
それ以降、彼女と話してない。
あの日、ちゃんと喋れていたら、何かかわっていたのだろうか。(何も変わらないと思うよ。)
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