Young Fathersの凄いジャケを手掛けるTom Hingstonについて
2023年2月3日にリリースされたYoung Fathersの新作『Heavy Heavy』。昨年秋ごろより、収録曲のシングルやMVが配信され始め、こうして全貌が明らかになると、称賛の声はより大きくなった。
私もまだまだヘビー・ローテーションしているが、実は初めてApple Musicで聴こうとアクセスした時に、驚いたことがある。ジャケが動いていたのだ!
埋め込みだと動かないので、"Apple Musicで表示"をクリックしてみてください。また、SpotifyやAmazon Musicでも動かないが、彼らのオフィシャルサイトでは、やはり動いてる。
"フィジカルはどうなんだろ?"とLPを購入してみたが、TOP画像の通り1枚のアートワークで、レンチキュラー印刷などにはなっていなかった。
顔ジャケ最高峰『COCOA SUGAR』の衝撃
Young Fathersのアートワークといえば、私は前作『COCOA SUGAR』で大きな衝撃を受けたクチだ。5年前だから、まだ野良で編集や音楽事務所の仕事を兼務していた。今以上に、のらりくらりと生きていたころのお話。
深夜に、大好きなお酒を併用しながら、大好きなネットサーフィンをしていた私は、「In My View」MVに初遭遇して即検索。そこで『COCOA SUGAR』のアートワークへ辿り着き、心底ブッ飛んだのだった。
CDもすぐに購入し、手元に届いた時の感動たるや。My顔ジャケ・ランキングのみならず、歴代のアートワーク史でも上位に入る作品だと、今なお思う。
Massive Attackが愛した才能 Tom Hingston
そんな『COCOA SUGAR』と、このたびの新作『Heavy Heavy』を手掛けたのが、Tom Hingstonだ。氏の作品といえば、音楽好きの中年には、1998年発表のMassive Attack『Mezzanine』が有名だろう。
クワガタムシの頭部がドアップで配された、モノトーンの強烈なインパクト。このアートワークは、イギリスの代表的な写真家のひとり Nick Knightと、バンドのフロントマンで"3D"ことRobert Del Najaと共に制作したそうで、Massive Attackがさらにブレイクする代表作となった。
2021年には、このアートワークを使用したアパレル・ラインが、Supremeから発売されたというから、そこで目にした人もいるだろう。
ロックの王者から稀代のミューズまで
その後も、The Rolling Stones、Grace Jones、Nick Cave & The Bad Seeds、Robbie Williams、The Chemical Brothers、Röyksoppと、トップ・アーティストたちとのコラボを実現させていく。
2010年代には、「Sue (Or In A Season Of Crime)」などDavid Bowieのミュージックビデオを3作ほど手掛けており、デザインされた歌詞を駆使した映像が印象的だ。
これらはどれも力強く、美しく、衝撃的だが、個人的にはGnarls Barkley「Crazy」のアートワークも超お気に入りだ。曲が好き、MVが好きすぎっていうのもあるけど、ジャケはかわいくサイケで愛おしい。
終わりに
音楽のみならず、Christian DiorやAlexander McQueen、Orlebar Brownらトップ・ブランドと長年を共にし、近年ではあのRolls-Royceともコラボと、世界で活躍しているTom Hingston。もちろん私は、今回の投稿を書くことで初めて知りましたが、掘れば掘るほど凄い才能だったという。
あと、Wikipediaや紹介記事などに、Lady Gagaとのコラボについて記載されているが、検索しても出てこないのは何故だろう。