
還暦記念 北アルプス山旅2024〜DAY5
DAY5(7/31)奥穂高岳山荘(小屋泊まり→テント泊)
暴風雨の中、山小屋で快適に一夜を過ごして朝を迎える。本当にお天気は回復したのだろうか?
5時に朝食をいただいてから恐る恐る外へ出てみる。

昨日は全く見えなかった涸沢がはっきりと見える! 俄然、気持ちが高揚する。

さすがにあの天候だと涸沢のテントの数は少ないな。
今日は最小限の荷物だけ持って奥穂高岳と反対サイドにある涸沢岳の山頂にそれぞれピストンでアタックするだけ。時間的に余裕があるので朝食後ものんびり休憩室で寛ぐ。そこにいた人に「今日はどこへ向かうんですか?」と話しかけたら「ジャンダルムまでピストンして涸沢へ降ります」と言う。
泣く子も黙るジャンダルム。
昔から知ってるが行ったことはない。
ジャンダルム
・一般登山道最難の縦走路『奥穂高岳~西穂高岳』の間にそびえ立つ標高3136mの峻峰
・その意味は『憲兵』
・主峰の前にそびえ立つ前衛峰という意味の登山用語
どちらかと言うと“ジェットコースターには乗らない派”で怖いところは好きではない。避けて通れないなら覚悟して行くだろうけど、今回は想定外だった。しかし、奥穂高岳山荘にテント泊なので重い荷物は担がなくて良い。こんな機会は滅多とないかも。“恐怖”より“機会”が勝る。
というわけで、“奥穂高岳山頂ピストン”→“奥穂高岳山頂経由ジャンダルムピストン”に計画変更することにした。
まずはテント設営。

朝イチなのでサイトは選び放題。風が強くても大丈夫そうなところで、しっかりペグダウンしておく。留守中に飛んで行ったらまずいので。これで槍沢キャンプ場でずぶ濡れのテントもすぐに乾くだろう。
必要最小限の装備だけを持って出発。

山荘からいきなり岩登り。ここは何度も通ったことがあるので見た目ほどの恐怖はない。

眼下に山荘が小さく見える。
この高度感が好き。

○を頼りにガレて不明瞭な山道を奥穂高岳へ向かって登る。

右手にはジャンダルムがその名の通り憲兵の如く聳え立っている。
ワクワクというよりドキドキだ。

奥穂高岳の山頂が見えた。

これが山頂。

これは数年前にまだ高校生だった息子と来た時の写真。子供は成長してどんどん変わるけど、山は人間の短い時間軸だと不変だ。

奥穂高岳山頂からのジャンダルム。

威圧感が半端ない。

ここから先は『一般登山道ではありません。経験者向けの難ルートです。重大な遭難事故が度々発生しています。さらに、地震が頻発しており、不安定な岩場が多くなっています。落石・浮石等の事象が発生し、滑落する危険性が平常時より高まっています。慎重な登山をお願いします。』
一気に緊張感が高まる。


ナイフリッジ!
足を踏み外したら死ぬわ。

どこに道があるのか?

鎖場。手に汗握る。

→○ ほんまにそっちかっ⁉︎

小便ちびりそうやったけど着いた!
残念ながらガスで遠くは見えず。

一応、証拠写真を撮ってもらう。

行きも怖いし帰りも怖い。

落石注意⚠️
あの人が見えなくなってからにしよ。

勘弁して(・_・;

無事生還!
噂通りのヤバいルートだった。

テントの中から前穂高岳が見える。
なんと贅沢な。

珈琲淹れて一休み。
ジャンダルムの後の平和なひと時。
今度は涸沢岳へピストン。

さっきと反対側から山荘を見下ろす。
こっちはガレてるけど怖いところは無くて楽勝。

奥穂高岳とジャンダルムを一望。

よーく見るとジャンダルムに人影がある。
今だったら遠くが見えたのに・・・
もう一度行こうかなんて思わんけど。

涸沢岳山頂到着。
残念ながらガスって北穂高岳も槍ヶ岳も見えず。

5日間頑張ったご褒美!

常念岳方向。傾き始めた太陽光が織りなす印影で立体感が際立つ。

遠くの山、眼前の山、そして影の山が折り重なる。刻一刻と山影が眼前の山を這い上がって覆い被さってゆく。
移りゆく山の姿は見ていて飽きない。
涸沢と反対側は「夕焼け劇場」と呼ばれてる。

移動して目にしたのがこの景色。
生きてて良かったぁ〜!
しかし、これは夕焼け劇場の第一幕に過ぎない。
ここから息をのむようなドラマが始まる。
















言葉は要らない。
光と雲と山の共演。
演ずるのは天空の物語だ。
魅せられて時を忘れる。
こうしてドラマチックなDAY5が終わる。
〈参考〉
距離: 3.9 km
最大標高差: 219 m
最高点: 3189 m
最低点: 2970 m
累積標高+: 461 m
累積標高ー: 459 m
