ストレスの無い人生は幸福ではないのかもしれない
もうかれこれ30代も後半になるというのに、これまでの人生で〝結婚〟というものを考えたことがない。30歳を超えた辺りから、友人の結婚式に呼ばれる機会が増え、ついに若かりし日によく遊んだ仲間たちの中で、自分だけが唯一の独身になった。
だけど、全く焦りや劣等感のようなものは感じていなく、ただ単に家庭を築き上げていく友人たちの社会性の高さに感服するだけだ。
友人たちの結婚ラッシュと未曾有のパンデミックが重なったこともあって、ここ2年ほどはほとんど誰とも遊ぶことが無く、基本的にずっと1人でいる。仕事も宅配便をしているせいか、リアルに誰とも話さない日も少なくない。
そんな生活を送っているので、たまに誰かと話す機会が発生した際に言語能力の衰えをやや感じるものの、孤独感とかは一切無く、割と快適に暮らしている。
そんな〝生粋のぼっち中年〟である自分だが、最近1日に1分ほど、いや数十秒ほど結婚について考えてしまうことがある。ふとした時になんとなく相手の人間像や結婚に至るまで過程などを想像するのだが、それ以上の意欲が湧かず、いつも中途半端な想像で終わってしまう。
これはどういう現象なのか?自分でもよく分からない。ぼんやりとだが自分なりに考察してみると、たぶん良くも悪くもストレスの無い生活を送っていることに物足りなさを感じているのかもしれない。
自分は〝誰かといる〟という状況にストレスを感じやすい。それでも若い頃は半ば強引に誘われたり、少しばかり1人でいることが恥ずかしいことだと思っていたりして、結果的に人並み程度には誰かと一緒にいた。
ただ、歳を取るにつれ、〝自分らしく〟という言葉を悪い方に真に受けてしまったせいか、どんどん誘いを断るようになった。結果的に人と会う機会はめっきり減って、それと引き換えに快適な生活を手に入れたのだが、それも数年が経ち、ストレスの無い生活にストレスを感じるようになってしまったのだろうか。なんとも自分勝手で我儘な話だが、人間なんてそんなものなのだろう。
やはり適度なストレスがある生活の方が、ストレスから解放される喜びを感じられる分、幸福度が高いのかもしれない。