おもいで
「すみません。駅はどこですか?」
「この道を左にまっすぐ行ってください。」
昭和の中学生英語の教科書のような会話になってしまいましたが、相手は令和の中学生で、日本語の会話です。駅までの道を教えると、男女混合6~7人の制服グループは全員で
「ありがとうございました!!」
と元気に頭を下げ、楽しそうに『修学旅行のしおり』らしきものを広げながら駅の方へ歩いていきました。
修学旅行のグループ活動か…。
自宅も職場も観光地の近くなので、毎年、春と秋にはよく見かけた光景です。
世の中がこんなになって、ここ2年ほどは静かな日々が続いていましたが、最近、ようやく修学旅行生を頻繁に見かけるようになりました。
やっぱり、観光地が賑わっているのは、純粋にうれしいです。
みんな、修学旅行楽しんでね。
友達と思い出たくさん作ってね。
お母さんのお土産は真っ先に買うのに、お父さんのお土産は買い忘れてたことに気づいて、最終日にへんなハンカチとか慌てて適当に買ってね。
旅行前にお小遣いをくれたおばあちゃんと親戚のおばちゃんには、お母さんに言われた通り、箱に地名が入っただけのクッキーを買ってね。
自分用には、龍が刻まれたキーホルダーとか、雑な仕上がりのご当地キャラのマスコットとか、絶対使いにくい太いボールペンとか、家に帰ってから後悔するものたくさん買ってね。
そして、大人になって久しぶりに実家に帰った時、押し入れの中のお菓子の缶から出てきたそれを見て、楽しかったな…って思い出してね。