人福祉現場に獣医師を~取り組むきっかけと想い~
人福祉現場に獣医師をと言ってますが、なにをやろうとしているか、どんな想いでやっているかをあまり具体的に語っていませんでした。
1度しっかり語っていきたいと思います。長くなりそう。
どんな経緯でこれに至ったのか
人福祉現場に獣医師が入ることでどんなメリットがあるのか
そのために私がどんなことを考えているのか
大きく分けてこの3つについて語りますが、特に3点目については細かいこというとキリがありません。
事例ごとに色々な狙いや想いがあるので、何回にもわけて語るネタはあります。
思いつくことはブログにつづっていきますが、これってどうなの?みたいなことがあれば、読者からの質問お待ちしてます。
道半ばの活動ゆえ、勿論私が正解ではないし、よりベターなものはありえます。
だからこそ指摘やディスカッションが盛んになるべく、こうやって発信しているので、是非コメントお願いします。
保健所時代
今回は『人福祉現場に獣医師を』に至った経緯と想いについてです。
私は保健所に勤務する獣医師でした。
保健所には動物に関わる問題の情報が入ってきます。大半は住民からの苦情です。
苦情を受けて保健所職員がやることは、現場での事実確認です。
その事実に基づいて、必要なら適正指導を行います。
苦情が保健所に入るくらいですから、まあひどいケースも多いです。
ひどいケースというのは、簡単に言えば動物の適正な管理ができておらず、近隣住民に迷惑をかけているということです。
保健所に苦情を入れるというのは非常自体です。普段生活していて、近隣住民の迷惑行為を保健所にチクるなんてことは、通常ありませんよね。
出された料理に髪の毛が一本入っていたからといって、保健所に通報しますか?
しませんよね。
でもそれがいく度に毎回入っていたり、出された料理全部に入っていたり、それを指摘したときに店側が逆ギレする等、通常ならあり得ないことが起こった時初めて保健所に通報してやろって選択肢が挙がるくらいです。
稀に通報者が異常の場合もあります。
髪の毛一本で激怒して保健所に通報する人です。店側に非がないとは言いませんが、保健所は事実を確認して動きます。
動物の話に戻します。
要はひどい状況に陥ってから保健所が探知するケースが多く、保健所が入ってももはや手遅れ状態のことが多いのです。
ではもっと早く探知できないのか?
と考えたところ、その方法がありました。
保健所に通報されるようなひどい飼い方をしている方は、意図的にそうしているのではなく、管理ができない理由があるのです。
そしてその理由こそ、その飼い主自身が要支援者であることです。
つまり、飼い主の支援に入っている福祉従事者は動物がいることに気づいています。
保健所で動物の苦情を受けている横の課で、保健師さんや精神福祉相談員さんがすでにその動物問題を把握していたってことです。
いやー滑稽ですよね。
でもこれが縦割りの現実です。
これをぶち壊そうとしたのが公務員2年目の山形でした。
想い
でもやはり縦割りは縦割りで、うまくいかなかったんですよね。保健所内ならまだしも、市町村の福祉課にそういう情報は早く共有してくれとお願いしにいこうとしたのですが、そのときの上司に止められました。
上司が悪いわけではなく、そういうものなんです。それを学ぶいい機会になりました。
実際、万が一市町村が協力的で、早めに把握する体制が整ったとしても解決できたかは自信がありません。
公務員はやはりできることできないことありますし、保健所が来たというとイメージ悪いのは否めないからです。
なに!殺処分しにきたのか!と門前払いされることも多いです。
そんな経緯から人福祉現場に獣医師をという活動を始めました。
『動物病院の先生』が来たらイメージがいいし飼い主も相談できる。
民間なら行政よりできることも多く、協働もしやすい。(民間を門前払いする行政もまだまだ多く、信頼を勝ち取り説得する日々ですが。)
ということで、官民問わず協働できるこの活動が始まったのです。
続く
ということで今回はここまで。
次回からは私がどんなことを考えて、どんなことをやり、どんなことをやらない選択をしているかについてつづります。