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舞台の色を考える。

▼舞台の色、灯り

こちらの記事で、「舞台デザイン(設計)」について述べました。
最終シーンをどのように見せたいかを考える
衣装、メイクのイメージ、台本に即した舞台空間をイメージする
をそれぞれ述べてきました。

ぼくはこれらの次に「舞台の色、灯り」についてデザインすることにしております。

今回は「舞台の照明」のイメージについて考えて参ります。

▼最終シーンは既にイメージ済!

前回までの記事で述べました通り、「最終シーン」については既にイメージされています。
つまり、大まかではありますが…最終シーンの色、灯りはイメージがついているわけです。
その他のシーンについて照明をイメージしていくわけですが…
ここで、照明でどんなことができるか考えてみます。

▼照明で表現できること

照明家の方に笑われてしまうかもしれませんが…
私が把握していることで「照明」がどのような事ができるかと申せば、
 ・明るさの調整・・・明るいか暗いか
 ・色の調整・・・様々な発色
 ・灯りの方向・・・どこに灯りが向いているか
 ・灯りの範囲・・・どこが明るくなるか
 ・灯りのタイミング・・・どこで明るくなるか、変化するか
などがあると考えています。
そして、これらを組み合わせることによって様々なシーンが彩られると考えております。

▼演出が考えるべきこと

実際の舞台照明設計と照明設置、オペレーションは照明家の方が行う事が多いです。
ですので、演出家が、いちいち、その表現方法において口出すべきではないと考えています。
前述したように、「依頼」がはっきりしていれば、照明家の方もイメージを膨らませてくれて、素晴らしい照明ができると考えています。

つまり、この舞台デザイン(設計)の段階で考える「舞台の色を考える」では、実際、どのような色を使って、どのような方向で…などと考えるのではなく、シーンごとに「どんな色を見せたいか」ということを大まかにイメージし、それを依頼内容として伝える準備をすることです。

演出目標はもちろん、照明家の方に「依頼」そのものを出すわけですから、
このシーンは「赤っぽい」ですとか「青っぽい」、ここは「スポットライト」で見せたいというような事を考えていき…できれば成果物として、Qシート(また別の機会に記述します)まではいかなくても意思疎通が図れるモノを用意します。

そのベースとなるが…上記の5つの要素です。
各シーンについて、どのように見せたいか、どんな「色」をお客様にご覧いただきたいか…こういうことを考えていきます。

▼鶏が先か、卵が先か

はじめに照明をイメージしていても…稽古が進んでいく中で、俳優さんのお芝居を見ると…「ああ、ここで照明変化がほしいなぁ」と思うことは少なくありません。
その時は、もちろん、照明スタッフと相談し、変更をしていくわけですが…

今回、この舞台デザイン(設計)の中で「完全に決めること」はありません。つまり、上記のように稽古が進むにつれ、演出家はもちろん、俳優さん、スタッフのイメージが更に広がることがあるわけですから、その時に柔軟に変更していく事もまだ大事なことだと考えています。

つまり、照明イメージに合わせて俳優さんに動いてもらうところもあれば、俳優さんの動きに合わせて照明イメージが変わることもある、ということです。

ただ、大事なことは、演出目標から乖離してしまった照明になってしまっては本末転倒ですし、俳優さんの動きだけで照明を決めてしまうと、「舞台」というやり直しのきかないモノですから、もし、不測の事態があった時に、お客様に観ていただく空間がまったく意味のないものになってしまう、というリスクも発生してしまう事があります。

▼舞台の色を考える、とは

ですので、演出家が考える舞台デザイン(設計)としての「照明イメージ」は、どこのシーンでどのような色、明るさ、向きで…お客様に観ていただくかということを(実現できるかどうかはおいておいて・・・)おおまかにイメージし、照明スタッフに依頼することができる資料を用意することだと考えています。

▼次回は・・・

舞台デザインで考える最後の項目「舞台の音を考える」について述べて参ります。

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武藤賀洋
舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!