人によって言っている事が180度変わる人~葉山通大くん(仮名)の話
人間ですから……「人によって態度が変わる」というのはあり得る話です。
しかし、目上だからとか年下だからとか強いとか弱いを判断し、言っている事が真逆だったりすると困ってしまいます。
困るというか……「なんだ、こいつ」というようにぼくは感じてしまいます。
このお話はぼくがシステムエンジニアをしていた時のセンパイの話です。
▼20年くらい前
今から20年とちょっと前くらいのお話です。
当時、ぼくは当時、システムエンジニアとして働いていました。
結構大きなプロジェクトに参加していました。
大きいプロジェクトでは1社だけでなく、数社が協力して仕事を進める事が多かったのですが……このプロジェクトも覚えている限りで10社前後関わっていたと思います。
謳い文句上は「各社がパートナー」となっていますが…大体は発注元からすれば、親請け、子請け、孫請けといった様なカタチになります。
当時のぼくは子請けの立場で、親請けの企業のSE、葉山通大くん(仮名)というセンパイの下で仕事をしておりました。
彼の会社はいわゆる一流企業でそのプロジェクトの親請けでした。
当時のぼくはド新人というわけでもなく、かといって中堅ではない。ひとつの大きなプロジェクトを終えたばかり、そんな立場でした。
そのプロジェクトの中にはたくさんのシステムが稼働しており、その中の一つの作業に従事しておりました。
▼風邪をひいた葉山くん
とある時、葉山くんが風邪で高熱を出し、2日くらい休みをとっていました。
彼とぼくがやっていた仕事に関してはほぼ作業が終わっていた為、別に慌てることもありませんでした。
葉山くんが風邪をひいて休んでいたのは、プロジェクト全体のサービス開始が1週間後に迫った時のことでもありました。
テストも稼働準備もほぼ問題なかったと記憶しています。
あとは、問題が起きた時のリカバリーの方法を確認したり、再度気になる箇所をチェックする、といったような作業を続けていました。
葉山くんはぼくらがやっている箇所のリーダーでした。
責任感もあったのでしょうか……2日休んだ後にマスクをして、熱っぽい顔をして出てきました。
ぼくは彼の顔を見て、「大丈夫ですか?」と声をかけました。
すると葉山くんはこう言いました。
「俺さ、『大丈夫ですか?』って聞かれるの、一番嫌いなんだよね。だってさ、お前さ、大丈夫って聞いておいて、他人事だろ、所詮。『大丈夫?』って聞かれて、『大丈夫』以外の言葉が返ってきたらなんて答えるわけ?早く帰れとでも言うわけ?」
まさか・・・そこまで屁理屈というか、わけのわからない事を言うとは思いませんでした。
「何言ってんだ、こいつ」と言う思いを胸に下を向いてしまっていたかもしれません。
それまでの人生で人を心配して、こんなことを言われるのは初めてだったような気もします。
▼センパイの先輩登場
この会話は作業する小部屋でしていました。
葉山くんとぼくだけがその部屋にいたのですが、ぼくが答えに窮していると葉山くんは
「だから「大丈夫?」とか聞くなよ、そういうの偽善って言うんだよ」
と持論を展開しておりました。
その時です。
ドアをノックする音が聞こえました。
ぼくが「はい」と返事をすると、そのプロジェクトを統括している人が入ってきました。
いわば葉山くんの上司であり、先輩です。その方は入ってくるなり、葉山くんに「大丈夫?」と言いました。
葉山くんは
「はい、大丈夫です、ご心配おかけしました」
と言いました。
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( ´Д`)=3
( ´Д`)=3
( ゚Д゚)ハァ?
葉山くんは上司の方に顔を向けていたので、ぼくには彼の後頭部しか目に入りませんでしたが……内心、「どんな顔して言ってんだ、こいつ」と思っていたことを覚えています。
▼180度違うこと・・・しかも1分とたたないうちに
相手によって180度、言っていることと態度が違う人にたまに会います。
それが考えが変わるから、ということではなく、相手によって話している事が真逆、180度違うことになる人もいるようです。
しかも……1分前に喋っていたその口で真逆のことを……
ま、今思えば…葉山くんも30歳前後だったと思いますし、結婚していましたし、出世などなどもあったでしょうから無理もないなぁ~と今は思ったりしますが……
それでも「偽善」って言ったその口で、とは今も思っています。
それにもちろん、人間ですから「相手によって態度が変わる」というは至極当たり前のことです。
しかしながら。
立場の弱い人間にはめっぽう強く出て、立場が強い人間には媚びへつらうっていうのは…
ぼくはあんまり好きじゃありませぬ。
上司や先輩に逆らえとか部下・後輩を叱るな、ということじゃなくて…
態度や言い方はたとえ変わったとしても。自分の信念や考え方は大切にしたいなぁと考えています。
もし、後輩や部下に自分の考えを言ったとしても。
それを曲げることはぼくはかっこ悪いと思いますし、その人の言葉はものすごく軽くなると感じています。
当時、上司の方が帰った後なにやら言い訳めいたことを言っていたように記憶していますが……やっぱり覚えていないくらい軽い言葉になっていたのだなぁ~と思っています。
ぼくも言う事がコロコロよく変わると言われることがあります。
考えや方法は変えても、人によって信念を変えたりすることだけはしないぞと強く心に刻んでいます。