髪型、恰好、舞台の舞台
▼舞台デザインの作業で次に行うのは…
こちらの記事で、「舞台デザイン(設計)」について述べました。
まず最初は「最終シーンをどのように見せたいかを考える」ということについて記述いたしました。
今回は、最終シーンの設計の次に、
・衣装、メイクのイメージを考える
・台本に即した舞台空間をイメージする
ということをぼくは考えていきます。こちらについて今回の記事は記述していきます。
▼衣装、メイクのイメージを考える
こちらは、そのものずばり、俳優さんに着てもらう、衣装やメイク(ヘアメイクも含む)について考えるということです。
もちろん、人によっては・・・
台本を読んだ後、最初にこの「メイク」や「衣装」についてイメージができる人もいるかもしれません。
順番は特に決まっているわけではないので、この「設計」の作業でも、イメージしやすいところからしていくのが良いと考えています。
ぼくが「最終シーンのデザイン」の後にこの「メイク」「衣装」を考えるのは、「最終シーンに出演者がどのような顔、恰好をしているか」をイメージしてからの方が考えやすいからです。
メイクや髪型、衣装については、俳優さんの演技プランにもかかわってきますし、衣装担当スタッフに「どのようなものを用意してほしいか」という依頼にもつながってきます。
ここで大事になってくるのが…
・各人物の登場時と最終シーン(人物によって異なる場合でも)の変化
・登場人物すべてにおいて矛盾がでていないか
だと考えています。
一つ目の「変化」については…例えば、「服が変わる」「服が汚れる」「髪の毛が変わる」「メイクがかわる」などなど…変化があるかどうかで、衣装スタッフへのオーダー、俳優さんへのオーダーも変わってきます。
どんな役でもそうだと思いますが…最初から最終シーンに至るまで、時間が経過しているわけです。その中で…「髪の毛がほどける」など…台本にかいてあることはもちろん、演出としてどのように変化させたいか、ということを中心にイメージしていきます。
また、登場人物すべてについての矛盾についてですが…台本に特に指定がなければ…特に気を付けなくてはいけないところです。
物語、演出目標を含め、衣装プランと照らし合わせて矛盾がないか考えていきます。
統一感、バランスはもちろん…一人だけ意味なく毛色の違う衣装だったりメイクだったりするような矛盾は避けなければいけません。
完全に同じのような衣装にすることはありませんが…俳優さんや衣装スタッフに説明ができないプランは…実現しないことが多いです。
ですので、この舞台デザイン(設計)の時には、こうした全体の、登場人物すべての衣装・メイクの「イメージ」を考えていきます。
ここで、俳優さんにも衣装スタッフにも伝えることが必要ですので、成果物(アウトプット)は必要です。
絵が得意であれば、ラフスケッチを書くことも良いと思いますし、
色・形・大きさについて文字として箇条書きもいいかもしれませんし…
インターネットなどで最もイメージに近い画像でやりとりしても良いかもしれません。
こうしたイメージの「元」を考えていきます。
▼台本に即した舞台空間を考える
次にぼくは「舞台空間」を考えます。
一幕もの(幕が下がらず舞台セットが変わらないという意味での一幕もの)なのか、舞台セットを変える必要があるのか…
台本に即した舞台空間を設計するのが次の作業です。
こちらも「最終シーン」を元に…どのような装置が必要で、どのような装置の変化・動きがあり…どのような用具(小道具)が必要で、それは変化するかなど…
台本からその情報を読み取り、配置・移動・格納もこの時におおまかに考えておきます。
同時に、何シーンかの俳優さんの配置・移動もイメージできると良いと感がています。
もちろん稽古中に変わることはあると思いますが…おおまかに演出としてのイメージを持っておかないと、他のスタッフの仕事が進まなくなってしまいます。
ここで大事なのは…
・お客様が見やすいかどうか
・やりたいこと優先になっていないか
ということだと思っています。
もちろん、舞台空間については、台本に記してあることが多いと思いますし、古典であってもその世界観というものがあるので…「イメージがわかない!」ということはないと思っています。
しかし、逆にイメージが出すぎて…「お客様にご覧いただく際に見づらい」だったり「技術や見せたいこと、やりたいこと先行で意味不明になる」という事が出てきてしまっては本末転倒です。
もちろん、イメージは大切ですし、チャレンジも必要です。
ぼくは「芸術に答えはない」と思っていますので…時にはこうした事も必要な場合も出てきます。
出てきますが…そればかりでは…ご覧いただいているお客様の頭の中には「?」だけが残ってしまうのではないか、と考えています。
こちらも俳優さんやスタッフと情報共有する必要がありますので、成果物(アウトプット)は必要です。
特に大きな装置や小道具については言葉ではイメージが伝わりずらいですから…スケッチや、インターネットなどでの画像を元に、
実際の舞台の平面図(必ずしも正確でなくて良いと考えています)や側面図、イメージ図などを用意すると良いと考えています。
▼いずれの時も・・・
この「衣装」「メイク」「舞台空間」につては・・・ぼくの場合、演出として、一人で考える事もあれば、スタッフと共に考える場合もあります。
しかし、ここで、個人的にですが…気を付けなければいけないことは…他のスタッフへの依頼の際に「作り方」や「方法」は任せるようにしています。
例えば学校なので生徒さんにやってもらう場合は、作り方などを示す場合がありますが…そうでない場合は、自分よりその分野に詳しいと思いますし、最終的なイメージをそれぞれオーダー(依頼)するわけですから、様々な制限(納期・値段など)の他に「作り方」まで制限をつけるのは愚の骨頂だと考えいるからです。
また、こうしたイメージは成果物(アウトプット)にすることは非常に有効ですし、肝要です。
自分のイメージを(下手でも)絵にすれば、色々なことに気づきますし、アイデアも生まれてきます。
また、俳優さんやスタッフとやりとりする「元」になると考えています。
▼次回は…
次回は、舞台デザイン(設計)の中の「舞台の色を考える」について記述していきます。