母親の苗字を旧姓に戻して俺も苗字を変えた話
この度、俺の苗字が変わりまして池田→長通になりました。
母親が復氏して戸籍が変わったのでそこに相乗りしたかたち。相乗りっていいよね。
「まあ人生で苗字が変わることなんて数えるほどもなければ、結婚以外で入籍することもないだろう」という軽いノリだったけど、いざ変わると少し淋しい。
なかなかないことなのと、事情を説明しにくいので、記事に残しておくことにした。
きっかけは、母親のちょっとしたボヤキだった(気がする)。
「池田の苗字を降りたい」って感じのことをポロッと言ったことがあって、俺がそれを大事に拾い上げて今に至るというわけ。
母親は池田家ーつまり父親の家族(特に祖母)ーを毛嫌いしていて関係は良くない。俺たち姉兄妹は平気だしむしろ好きなのだけど。
例えば毎年お正月は家族で祖母の家に挨拶に行くのだけど、挨拶を済ませるまでの母親は非常に不機嫌。挨拶中も母親は喋らない。
俺と妹はというと母親の不機嫌を冷やかしつつ、母親と祖母の間をいい感じに取り持って何とかお正月としての体裁を保つのが仕事。そしてこの一連が我が家の家風となりつつあるというわけ。
何でそんなに毛嫌いしてるのかは知らない。何となくなら、わかるけど。まあ父親がまだ生きていて(父親は俺が10歳の時に死んでます)、俺がまだ子供だった時代に色々とあったのだろう。ということにしている。
ちなみに父親と死別した当時の母親は、そのタイミングで復氏する勇気がなかったとのこと。復氏することはつまりは池田家との縁を切ることを意味していて、図らずしていきなりシングルマザーデビューを果たしてしまった母親(しかも就学中の子供が3人)にとって、経済的にも社会的にも頼る先が減るのを恐れるのは当然だと思う。
で、そういう背景があったから、俺からすると母親の「池田の苗字を降りたい」って発言はなかなか無視できるものではなかったというわけ。
俺はその場返事で「だったらもう、変えたら?」って言った。
もう俺たち姉兄妹は全員成人しているのだし、母親はもう60歳に差し掛かろうとしている。
余生くらい好きな苗字で生きたらいいじゃんって思う。今までよくシングルマザーとして、嫁としてよくやったよ。大人になって段々理解できた。
すると母親は意外と乗り気だったので(よっぽど嫌だったんだろう)、じゃあほんとに変えちゃうことにした。
母親は1つだけ要求があるらしく、それというのは、俺たち兄妹も苗字を長通に変えること(姉は結婚して苗字が変わっているので対象外)。俺たちだけ池田に置いてはいけないとのこと。
俺も妹も特に問題がなかったので快諾した。
そこからは、俺と妹で色々調べて全部やってあげた。特に妹が結構頑張ってくれて助かった。
俺は絶対何としても絶対の絶対に母親の苗字を旧姓に戻してやりたかった。それは、母親に余生を旧姓で生きて欲しいという俺の我儘と、それが親孝行になればっていう俺のお節介と、あと単純に母親が俺の提案に乗ってくるのが珍しくって嬉しかったから。
ただ進めていく中で、俺のしていることはほんとにただの俺の我儘でしかなくて、実は俺しか満足しないんじゃないかとか思った。思ったけど、
いや
俺が
満足するんだ!!!!!
っていう謎の強気が途中から生まれてきて、そんな感じになった。
優しさとか思いやりとか祈りとか、結局は自分のためだったりする。
で、色々してたら2年くらい月日は経ってしまったのだけど、やっと家族揃って長通家となりましたよというわけ。
母親のリアクションが楽しみだったのだけど、意外と事務的に処理されて、むしろ手続きが面倒くさいとぼやいていた。
は。もっと晴れ晴れとしていてくれよ。まあ、良い。
(とか言いつつ俺も面倒くさい)
あと、おまけで母親と祖母の姻族関係終了届も出すことにした。(やりすぎと思う人もいるかもしれないけど、そのくらい母親と池田家の関係は劣悪なのです) (俺たち姉兄妹と祖母の関係は至って良好なままなのでご安心を)
ということで、母親の苗字、延いては俺の苗字が変わったのは、そういうことがあったからでした。
母親が第3の人生を歩きだすきっかけになれば嬉しいです。
ここまで読んでくれて、あざした。
明けまして、おめでとう御座います。