イラスト

定期ゲーを始めてから本格的にお絵描きを始めたという大体4年の備忘録

これは定期ゲ・鶏Advent Calendar 2019の12/13日公開分の記事です。

※2019/12/13 21時頃 ちょっと後半部に追記しました。

前(12日):ゲーム&ロールを楽しむコツ
今(13日):これ。
次(14日):デイリーRPのすゝめ または森ボーイのご飯のお話

まず初めに、これが定期ゲーム(AP制ゲームも含みますっていうかAP制ゲームから始まります)を始めた時の絵です。

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これが大体4年後に描いた同じキャラの絵です。

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↑が↓になるまでを色々振り返る記事です。

 この4年でコミッションなど、自分で絵を書かなくても良い環境が一般的になってきました。そんな中「自分で用意しねえと何か気が済まねえ……!」というタダの素人がこの位になってお絵描き楽しくなるまでジタバタした記録です。お絵描き楽しい。

 内容的に自分のコツとTwitterで見かけたお絵かき論で自分が取り入れたのがごっちゃになってると思うので「これどっかで見たな……」となると思いますが、それは恐らく正しいので生暖かく見ていって下さい。

 あと画像滅茶苦茶多くなったので、携帯回線で見てる方は通信量に気をつけてください。ギガ危うい。

簡単なお絵かき経歴

 元より身内が絵を描く家でしたが、自分は全く描きませんし描けませんでした。模写も線が歪んで無理。当時はイラストサイト全盛、緩い4コマなど見ていて自分でも書けそうだな……とか思ってたら全く描けなくてあえなく終了。一度ドット絵(もどき)に傾倒した時期はありましたがまあ挫折。
 その後やる夫スレやったり艦これにどハマリし、比叡が劇場版如月的な感じの話を妄想だけしたりしましたが絵はやはり挫折。メイキングの初手にある良い感じに、の良い感じが知りたい。そんな感じでした。
 そして今から4年前に至ります。

 月日は経って大体4年前の4月頃、Twitterの名前欄に天呼○○○(数字)という単語を見かけました。なんぞや、と調べると、どうやら自分でキャラを用意するゲームの、自分の参加番号を表すらしい。
 ……そして気軽な気持ちで"セレッシャルコール"を始め、どハマリし、定期更新ゲームもいろいろ渡り歩き今に至ります。

最初の絵

 で。やってみようと思ったものの、当時キャラクタージェネレータなぞ思いつかず、かと言ってプロフィールも空白でやるのも何か嫌だという、妙なプライドもあり。
 困った末、とある方法により用意したのが一番最初の絵です。確かマウスで描いて一週間かけました。

さて手法ですが。
トレスです。
あっ、石投げないでお願いしますちょっと最後まで話を聞いてください。

 正確には模写しました。
 いくら個人用とはいえ全トレスはマズイ、でも輪郭って結構共通じゃねえ?という考えから、用意した画像を別窓で見ながら同じ様な形になるまで模写を繰り返しました。当時はAzpainter(フリーソフト)を使って、線は曲線ツールで引いてました。どんな線も曲線の集合体なんだよ……!
 影をとりあえず入れてー、髪の毛も直線でそれっぽくなるぱっつんにしてー、長髪好みだけど書ける気しないから後ろで纏めてー、ん、これ髪に白い色入れてるな……こんな感じ?元絵に無いポーズとして両腕を写真自分で撮ってそれっぽい感じにしてー、顔は元絵をよく見てそれっぽくしてー、これも白い所あるなあ、そんで水の描き方を検索してー、それに従ってそれっぽく描いてーetc....

 そんな感じで一枚目の本体ができあがります。既に元絵と重ねてもズレズレで、トレスという以前の話になっていましたが、とりあえずできました。

 今になって思い返すと、ここでよく見て、調べて、実行する。ということが後になっても良かったことなんじゃないかと。この辺あとでコツとしてまとめようと思います。
 

3Dからのトレス

 セレッシャルコール(以降セレコ)を遊ぶうち、「これプロフ絵だけだと目立たないし他の人は開始のときとか描いてて凄いな……」ってなりました。そこで次に描いたのは「戦闘開始時カットイン」でした。

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 どう描いたか。既存絵からのトレs模写です。良いんだよもう!!こっちは初心者も初心者やぞ!!!
 とまあそこまで開き直ってはいませんが、全部パクったらそれはオリジナリティとは言えない、という謎のプライドがありまして、ポーズだけを真似して、背景や服装、髪は自力で、という感覚で頑張りました。背景は、当時読んでた本に出てきた"木がささくれて刀身が現れる剣"が、こういう感じかなーというイメージで。このあたりでグラデーション機能とか加算発光ぼかしとかいろんな機能があるんだなー、とか覚えた、はず。
 ただやはり、既存の絵を模写するのでは自分で描いたとは言いづらいのでは無いか。そう思って手を出したのがMMD(MikuMikuDance)です。

 今日日、easyposerなど、無料3Dモデルソフトなぞいくらでも有ります。今はクリスタの3Dモデルを使っていますが、当時無料の3Dモデルと言えばまだまだMMDが一般的だった気がします。自分の中では。
 そして何より、MMDは2次元的な造形の、しかも自分の好みの顔を持った3Dモデルを動かして好きな角度から見ることができます。
 無償で公開してくれているモデルをチョイスして、色々と動かし、見本にして出来たのがこの2枚です。

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  あれ、今より上手く描けてるな……。
 ある程度上達すると既成概念に囚われがちなので、初期の絵を見返すと表現とか構図とか色々また見えてくるものがあったりするので、時折見返すと吉。閑話休題。
 下の絵のように、体の一部しか見えないならば、3Dモデルによる見本は、なおさら上手いこと行くと思います。
 ただ、こうした絵を描いていると、更に自分の中で思い描いた像を形にしたいという思いがふつふつと湧き上がってきました。うちの子出演RPGのオープニング戦闘シーンとか妄想しません?
 
絵を描くのにも割と慣れてきた。じゃあ次は脳内を出力してみよう。ということで生まれたのが次の絵です。

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 やっべスッゲ上手く行った。当時の感想です。今考えれば、線が太く、一部分しか見せない事によって絵の未熟さが薄れ、なおかつ雨を大量に降らせた事によって情報量が増えて見栄えが良く、彩度を低くした事で色使いも上手く見えたのでしょう。当時非常に気に入ってました。実は今も気に入っています。
 手は自分の手を撮影し、顔も横顔の描き方を色々と調べました(このときに耳と眼の位置の関係性とか覚えたような)。
 で、調子に乗って、「もう3Dモデルとか写真下敷きにしなくてもイケるかな、面倒だし。」と思って描いたのが次です。

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ハロウィン用とかの絵だったと思います。ここで、少しでも広い範囲を描写すると微妙、というところを痛感します。

 更に、マウスだと線の"入"と"抜き"を表現しにくい(手間がかかる)ので、色々と困っておりました。尖った髪の毛が書けない……!先が丸くなる……!更に言えばマウスで線を引くのが時間かかるので、このあたりでペンタブとかが欲しくなってきます。しかし買うお金は当時は無い。ということでスマホの無料アプリibisPaintを試します。試しました。

 慣れねえ。

 そりゃあそうです。アナログでも微妙なのに、スマホでいきなり書ける訳がありません。実はアナログでもチラシとかプリントの裏とかに描いてたんですが、時間をかければ顔は上手く描けました。でもコレは……なんだ?何処が始点なんだ……?どこから線を引いているんだ……?指は太いんだぞ……!?

 という事でマウスに戻るのですが、結果として次が最後のマウス絵になります。

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 一応テーマとか決めて描いた気がします。忘れましたが。
 このあたりから、髪の毛の房を意識して色を塗るようになっています。また絵の解像度が上がって、線が細くなっています。線はカメラに近いほど太くするとか、立体を際立たせるために光源の逆方向の線を太くするとか、勢いを付けるためにぶっとく線を書くとかありますけども、線を細くしたり、線が隣接してる色を少し塗って目立たせなくする(色トレスとか呼ばれているもの)と見栄え良くなると思いました。

そしてスマホへ

 しかし、やはりマウスだと時間がかかって仕方がない。しかし紙に描くと家人に見られたりするかもしれないし加工も取り込みも面倒くさい。ならばやはり、ペンタブを買うか、スマホでやるしか無い。
 そう考えて、もう一度スマホに挑戦します。そして最初に描いたのが次の絵になります。

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 GIFです。なんでこんなの描いたかって言うとやりたかったからです。そしてスマホに悪戦苦闘し、電車で隣に座ったおっちゃんに「何やっとるんだ」とか言われたりする内、得た気づきがあります。

百回のストロークで描けぬ絵だからといって、一発の力に頼ってはならぬ。一千回のストロークを行うのだ!

 ……つまり理想の線が出るまでトライアンドエラーするということです。ビバ根性論。ちょっと違う。
 しかしコレによってスマホでの描画に慣れ、ある程度慣れたら線が引けるようになりました。そして、それはマウスよりも数倍早く、上のようなGIFを作れるほど早く短時間に描けるようになりました。更に、千のストロークで引いた線を消しゴムで削ると、それなりに良い線ができる事も分かりました。

 とにかく気軽に絵が描ける様になったので色々と量産しました。とにかく手が早くなったことによって、情報量を手軽に増やせるようになりました。これ大きい。

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  特に髪の毛に顕著に現れてると思います。とにかく線を大量に引くハイライト付けが楽しくて仕方がない。そして影の入れ方とかを工夫する余裕が生まれてきました。いちあっぷ(https://ichi-up.net/)とかpixivの講座とかの、いろんな技法上達系サイトを覗くようになったり実践する余裕ができました。

 しかし、手軽になった分、手癖でやることが多くなり、バランスが色々と悪くなりました。更にスマホは狭い画面で絵を描くため、全体のバランスが崩れがちです。そこで基本に立ち返り、3Dモデルを下敷きに絵を描いたのが次になります。

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 色々と下書きを描いてる内に構図は変わって来ましたが、脳内に浮かんだ構図を少しずつ出力できるようになっていき、楽しくなってきます。

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 この後、他のプレイヤーキャラ含む絵を描いたりするのですが、そこら辺は勝手に使うのも何だし、省略……すると大体これがセレコで描いた最後の絵になります。セレッシャルコールは2016年9月30日をもってゲームクリア、閉鎖となりました。

 他のゲーム、他のキャラ

 続いて、同じ様な別のゲーム……定期更新ゲームという大本の物に手を出し始めます。Seven Seas(通称:七海)、Last orderなど、色々な定期ゲーが出てきました。自分が次に選んだのは七海でした。次がそのために描いたキャラクターとなります。3Dモデルは使いませんでした。

ラークィ

ラーク変化

……しかしコレが続きませんでした。ゲーム自体が少し合わない、というのもあったのですが、キャラクターが非常に扱いづらかったのです。少しずつ体が変化していくというのをやりたかったのですが、筆が間に合わず、結局どちらのモチベも保たず、途中で離脱してしまいました。

そして次に、フタハナというゲームがありました。

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 フタハナは正確には定期更新ゲームではなく、リアルタイム性のサバイバルゲームだったのですが、とにかくそのゲーム部分が面白く、情緒が死に、殺伐としたキャラクターを使える、という他のゲームではやり辛い、独特の部分に魅力を感じました。以後複数回に渡って参加しています。

 そして次に、ドブネズミたちのハローワールドというゲームがありました。

焼華

 こちらは最初に外見(最初からグラフィックができている!)を決め、ステータスや探索方針などを決めれば後は自動でゲームが進むタイプでしたが、こちらは輪をかけて人が呻くゲームでした。心が死ぬ。
 
死なずにプレイができたフタハナとは異なり、どうあがいても確率で死ぬ。そして敢え無く上記のキャラも死亡。知った時は飲み会中。呻きました。そしてその勢いにまかせて描いたのが次の絵です。

散る

 死に様と、大事にしていたものを勢いで描いた絵です。技法とか丁寧にとかそんなの知るか、整合性とか知ったものか、と、場面を書きたい一心、単なる勢いで描いた絵です。

 感動とは、感情を動かすと書いて感動と書きます。そう聞きました。本当かどうか知りませんが。
 しかし確かに、感動をして、描いた絵は見栄えとかそういう部分を差し引いて、勢いがありました。少なくとも私はそう思いました。

 ここでうっすらと気が付きます。つまり定期ゲームのモチベーションの維持には自分の性癖に素直になって自分を感動させられるキャラ(≒自分の性癖に来るキャラ)を作る必要があると。

そして、ペンタブへ


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キャプチャ

 パーツごとに描くのは慣れて来たものの、全体になると粗くなる。そしてこんな感じに季節の落書きをしつつ訪れた2017年3月、お絵かき3年目突入の際、いろんな暇が出来たので勢いでペンタブを購入しました(ワコムのIntuos Comic  Sサイズ 。Clipstusio Paint(以降クリスタ)PROの2年ライセンスが付いていました)。今も使っています。そしてクリスタと初対面。
 前々からibis paintを使う度に「筆圧……筆圧欲しいなあ……筆圧ねえかな……」などと呻いていました。線の強弱が簡単に表現できると思ったからです。実際はそんな事は無かったのですが。
 もう一つ切実な問題としてはスマホの性能によりレイヤー数が制限されるという物があり、これを打破したいというのも有りました。スマホと同じように描くならばそれこそ液タブを買うべきなんでしょうがそんなお金はない。という事で慣れない板タブに苦労しながら色々と描いていきます。

 板タブに変わったことで、より線が楽に引けるようになりましたが、ここで新たな問題が発生します。線のゴミ問題です。

 ペンを移動させる際、すこしでもペン先が板タブに引っかかる、あるいはペンを離したつもりが離していなかった……などで、予定以上に線が伸びてしまい、また消し忘れによるゴミが発生しました。
 それと、思い出して頂きたいのは、今までの書き方は千のストロークで描くものです。つまり、下書きの上で千のストロークを描くとゴミが物凄く残ります。
 なので、ここでペン入れという物を意識し始めます。まだibispaintの方が使い慣れているので、暫くはibisでラフ書きをして、それを連携機能(クリスタとibisはクラウドで繋がれるのです!)でクリスタへ送り、清書します。この清書という作業ができた事で、バランスを俯瞰して見直し始めたりするようになりました。左右逆転とか

 そして板タブを使い始めて、次の定期ゲーが来たので、参加しました。Mist of War(4期)、通称、霧戦争です。

パアム

 クリスタになった事で、新たにテクスチャやペン先が豊富に使えるようになりました。テクスチャやペン先自体はibispaintにもかなりの量があるのですが、筆圧で太さが変わるランダム性、「それっぽさ」はibis、というよりスマホには無いものです。更に使えるレイヤーの数が増えた事により、表現の幅が広がりました。
 また、PCで描き始めたため、全体が俯瞰できるようになって全体が見える様になったのと、ショートカットキーによる時短ができるようになりました。好きなだけctrl+Zをしました。

 霧戦争をやるにあたって、前述の通りキャラクターに性癖と、これからやりたいことを詰め込みました。これからやりたいこと、にはストーリー性をもたせ、継続して自分一人でも完結できるようにしました。
 更に、なるべく絵日記を描く、という試みをしました。時間出来たしね!

パアム初日

 日記絵はなるべくモノクロで、手間をかけすぎないという目標を立てました。霧戦争は退廃的な、油と金属と硝煙の匂いがする世界でのお話です。白黒は雰囲気も出て正解だったんじゃないでしょうか。中盤あたり手間をかけなさすぎてかなり雑になりましたが。
 そして、キャラクターも自分が動かしやすく、なおかつ好きなタイプのキャラクターにすることで、動かすモチベを最大限に上げました。
 ゲーム部分も、最初は理解が難しかったものの、Twitterやこの頃出回り始めたdiscordなどを見て、加速度的に楽しくなっていったのを覚えています。

最大火力!

 火力を確定で出せるシステムにカットインを突っ込む!!大きな数字が出る!!楽しい!!!

……メカを描くのは難しいなあ!

 並行して、霧戦争4期の後に、セレッシャルコールと同じ運営による「言の葉の樹の下で」(通称コトシタ)が始まります。このあたりから並行して2つのゲームを遊び始めます。

灰花

 これもibisで下書き→クリスタで清書という過程を経ています。手持ちの銃はMMDの物を落として弄って画像にして取り込んで上からなぞって……と、そのまま素材にした方が早かったんじゃないかと思う手法でやってます。でもそのまま画像化して貼り付けたら、それこそ浮いてしまうので一長一短。

ハロウィン絵

 霧戦争でモノクロを多く書く分、手を入れまくったのがこのハロウィン絵です。よくよく見ると粗は沢山あるのですが、全体的に暗いので隠れており、特に太ももと服の光彩が上手くいきました。環境光という物を意識し始めた辺り。

 ちなみにこの辺り、3Dモデルを使っていません。いちいちMMDから取り込むのも面倒になったのと、使わない事にも慣れてきていたためですね。

 あと性癖に素直になった結果こんな感じのシリーズとか

こんな感じのも描いてました。性癖って楽しい

 いやでもこれが実は重要で、自分の好きな絵柄、表現はどうやって構築されているのか、というのを分析して実験していました。頬染めを入れると可愛くなるけどやりすぎ注意、柔らかい立体への影の入れ方、ハイライトの入れ方、真似したはずなのに何か違うなら何が違うのか。そういった事を色々と試していた頃です。今も結構やってます。画像じゃなくてツイート引用なのは、この頃からTwitterにぽんぽん投げ出したのが残ってるのとnoteの画像30枚制限に届きそうだからです。

 筆が早くなり、ある程度のクオリティが出せるようになったので、脳内で妄想するだけだった部分も出力し始めます。色々描くと大変だけど楽しい、と思い始めた頃。

 そして年末。ぽれん5というゲームの参加用に絵を描きました。

 この辺りで瞳の描き方など、一部の描き方をパターン化し始めます。自分で良いと思ったところを固定してそれ以外の部分に労力を割き始めました。
 さて、割と描けるようになってきたなーという幻想を打ち破ったのが次の絵です。

 時間はかけた筈なのに何かが足りない。何故にwhy。言ってしまえばこれも情報量不足。本体のシワは勿論、髪の毛の書き込みも足りないし背景の汚れも画一的で複雑さが無い。
 じゃあ情報量増やすって何よ?という所に悩んでいく事になります。

情報量を増やす

 情報量を増やすために色々と試してみます。

 背景とか色々な所に素材を使ってみたり。

 床面とか背景に素材を使って汚してみたり。

 それとは関係なしに表情とか色々作って遊んでみたり。色々な角度からの顔を描く練習にもなってたり。

 5月頃にクリスタ用の左手ツール、Clipstudio tabmateも使い始めます。これが非常に便利で、今までメニュー操作でやっていたツールの切り替えや線の太さの変更などがストレス無くできるようになり、作業効率がグンと上がりました。

 ということで背景メインの絵も書き始めます。グリザイユ画法を試してみたり、色々と情報量も増やしてみたり。ここで言うグリザイユ画法は陰影を先に描いてその上に色を乗せていく手法で、時間がかからず楽なのですが、レイヤー分けとかがちょっと面倒くさかったりします。

 この辺りで、実は背景はそんなに細かく書かなくても、大まかにどういう物があるかを意識して色をトントンと置いていくだけでそれっぽくなるのでは?などと思い始めます。

 そして、この少し前あたりでコトシタが一段落し、霧戦争も4期が終わり、続いて7月に5期が始まります。ロボットが上手くなった気がする……!

5期プロフ

 ソレナリの冒険録というゲームの試遊版もありました。こっちは逆に、気軽に描いてみる事で割と上手く行った感じ。情報量もバランスが大事という事が分かりました。

回復カットイン

 ゲーム自体はちょっとこの頃色々あり、モチベが続かず。霧5期は意地で完走しました。

 あとこんな漫画描いたら今までにないほどバズりました。性癖バンザイ。

  さて、次の絵を描き始めた辺りで思いました。自分、ぴっちりした布に包まれた腹とか腿とかその辺りのラインにも性癖があるな……?と。

  この絵では、影の境界線を染める、影色を環境光と合わせる、反射光を表現する、グラデーション塗り、肌上の目立つハイライトなどを試しています。この辺りで結構上達を実感できたと思います。

 そして、Last order#Aというゲームが始まります。

 七海で失敗した、話が進むごとに身体が変化するキャラクターに挑戦しました。この絵では髪の毛へのグラデーション色付け、立体を強調するために頭の周辺のみに暗色の乗算をかける、瓦礫の素材ペンで描いた部分をぼかし→シャープフィルターを繰り返しかけて、ゴツゴツした部分を表現するなどの技術を試しました。

 そしてこの絵です。

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 今もアイコンに使ってるこの絵ですが、「塗り」に関しての個人的なブレイクスルーが起こりました。背景はどうでも良いです。
 特に"顔にかかる髪の毛を透過or肌色で少し塗る"、"頬染めに少しのハイライト"、"1影ぼかしと2影のバランス"、"輪郭線まわりのぼかしの感覚"あたりでしょうか。「なんか凄く可愛いのできた……」とか思ったのを覚えています。
 あとこの辺りでパソコンが壊れたので新しいパソコンに買い替え、ついでにクリスタをEXにアップグレードしました。ダウンロード版からアップグレードすれば1万円近く浮いた事を知らずにパッケージで。

3Dモデル併用による短縮化

 クリスタがEXになったことで、3Dモデルをクリスタ内で扱えるようになりました。……指とかまでいちいち動かすのは至極面倒ですが!そこはそれ、ポーズとして指先まで登録されていたり、アセットが合ったりするので工夫する。

 3Dモデルは便利ですが、イラストの嘘を作る事は苦手です。そのままなぞっても何か違和感のある絵になることが多い。
 しかし、ポーズを取らせて、その上からなぞった上で違和感の修正を行えばかなり楽になります。1からポーズを考えて下書きを書かなくても良いんですから。
 と、いう事で3Dモデルを下書きに描いたのが次の絵です。

 "騒乱イバラシティ"試遊版用のプロフ絵です。ラフから同じ様なポーズを3Dモデルにとらせ、その上から身体を描いて、頭を少し大きくする事で違和感を抑えました。とにかく楽です。年末に描いた"ぽれん6"用の絵も同じ手順を踏んでいます。 

 あとコミケに出ました。絵としては締め切りギリギリ過ぎてもう……なんか……その……。コミケの原稿あるのに色々と他の絵描きすぎでは?

 下に光源を置いた表現に挑戦しています。それと、髪の毛の色塗りというか、情報量の増やし方に言い知れないコツを感じ始めていた時期。

 そして4月ごろ。Cryst of Dreamというゲームの試遊のためにキャラの絵を描きました。

 冒頭のですね。ようやくここまで来ました。これもラフ→3Dモデル→清書の順で来ています。身体以外の服などを主線を書かずにベタ塗りで描いた後、後付で輪郭線や形状を表す線を描いて時短を試した絵です。結局やりやすいのが一番という結論になりましたが、今後もちょいちょい練習してきたいと思ってます。ちょっと肌の輪郭間際の赤みを強くしすぎた感があります。
 
 この少し後に、非常に気に入った表現を確立できたので、今はそれをずっと使っています。

 先程のLast order#Aに出した子ですが、髪の毛の情報量を増やす表現を試しました。今まで下書きをしてきた部分以上に髪の毛を描くことは無かったのですが、上から細く明るい線を引くだけで、格段に髪の毛がそれっぽくなりました。

(12/13追記→)糸の様にバラけた細ーい線の部分です。太さは個人の好みで良いし、実は暗い線でもいいです。要は目立つ線を引いて、髪の毛の本数が増えるような表現です。
 髪の束一本につき2~3本、わざと少しバラけるような線を引くと、髪の毛の散らばり具合が表現できるので気に入ってます。

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 また、二番目の絵に関しては、髪の毛の本数をひたすら増やすと同時に、立体的に巻く事で見栄えが一気に良くなりました。大変ですが。また、薄い影色でつむじから線を引くことで、髪の毛に簡単に情報量を与えられるようになりました。

産まれ直し3

 あと自慢じゃないですが、この子は想定通りの変化をさせて、最後まで完結させてあげられました。やっほぅ。

  Story of Lost Artifactというゲーム用に描いた絵では、服のシワ及び光の表現を試しました。あと先程の髪の毛の手法も使っています。非常に便利。

 と、いうところで大体現在にたどり着きました。以降はこの記事を書いている中でコツって言えるんじゃないかなーとか思った所を纏めます。

個人的コツ1:よく見て、調べて、実践する

 自分は完璧主義、とまではいきませんが、それなりの形になっていないと嫌、という人種です。故に初心者であっても、なんとしてでも(自分の中では)落書きではない物を作り出したいという気持ちがありました。
 そこで、見ました。他の人の作品を、色々な講座を、トレス元の絵を。どういう意図でこの色が使われているのか、見栄えが良い絵とは。自分なりに咀嚼して考えます。
 そうすると、小手先のテクニックですが「見栄えが良い」絵にはなります。なりました。かといって全て取り込むと手間がかかりすぎるので、こだわり過ぎず、取り入れすぎず。楽にいきましょう。

個人的コツ2:構造の理由を考える

 他人の絵を見た時に、ここはどうしてこうなっているのか、こう表現しているのか、という事を考えます。
 例えば眼の横にできる窪み。ただ単になぞっていた時は気にもとめませんでしたが、いつだったか、人の顔を斜めから見ると、眼孔が凹んでこの輪郭ができる事に気が付きました。
 他にも、人の頬を赤く染めるのは血色の表現だし、太陽光の影が青色なのも環境光からくるものだったりするし、斜めから顔を見たとき、奥側の目は少し幅が狭く書かれているし……などなど。なぜその表現にしているか、というのにはデフォルメされていても何らかの理由があります。大体は。勿論あえて無視するのも有りなんでしょう。
 最近は筋肉の動きを考えています。

個人的コツ3:とにかく楽をする――慣れて来た部分のパターン化

 絵に慣れるまではひたすら描いた方が良いと思いますが、一枚の絵に時間をかけると量産は出来ません。なので、なるべく楽になる事を考えました。自分は背景を描きたいと思っているので背景を描いてますが、別に写真や背景素材を取り込んだって良いし、何ならそっちの方が見栄えはウンと良くなると思います。写真の情報量は暴力。
 また、慣れた部分はパターン化することで、新しく挑戦する部分に労力を割くことが出来ます。

 今パターン化しているのは主に時間がかかる髪の毛の塗り、目の塗りです。特に目は大事な部分だと思っているので、納得できるレベルを作り出すのには時間がかかっていました。ここをパターン化する事で、自分の中で納得できるクオリティを安定して出すことができるようになりました。

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 その時々の気分で変わりますが、大体こんな感じ。影とか発光の色は大体面倒くさいのでベース色をそのままにぶちこんだりします。
 影の入れ方とかは眼球の構造を把握しておくと塗りやすいと思います。コツ2とつながる部分ですね。眼球の内部は、輪っかになっている虹彩の下半分に主に光が当たるので、それをイメージして下半分を弓状に光らせていくイメージで。また、最後のハイライトは眼球の外部に当たっている光なので、環境光の色を選択したり、目の線の上から塗ったりすると良い感じになると思います。

個人的コツ4:縮小して自信を付ける――情報量

 そもそも絵の情報量に関しての説明ってやったっけ?
 大雑把に認識すると"どれだけ絵が描き込まれているか"ということだと思います。多ければ多いほど見応えがあり、背景素材とかテクスチャ使うとそれだけで情報量増えたりするのでお得。でもバランス考えないと死。
 逆に注目してほしい所(キャラクターの顔やフェチぃ部分、背景の明るい場所などの目立つ部分)以外は余り描き込まなくても(=情報量が少なくても)気にならないという特性があったりします。ググると講座とか出てくるので見てみると吉。

 で、基本的に絵を書く時は拡大して描くことが多いと思いますが、絵を拡大していると情報量が少なく見え、描いている最中は上手いと思えないことがあります。ついつい手を加えて時間をかけてしまいます。
 そこで一度縮小して全体を俯瞰してみます。すると、意外と描けている?と思うことがあったりします。逆に神絵師と呼ばれている方々の絵も、高解像度の物をアップで見たりすると、意外と描き込まれていなかったりします。
 縮小すると情報量が多く見えて見栄えが良くなるのと、細かい粗が見えづらくなるためだと思います。なので微妙かな、と思ったら縮小してみると自信が湧きます。積極的に全体を見て行きましょう。ただ全体を見るとバランスが崩れてたり左右反転して死んだりするので、バランスを取るのは下書き段階でやっておこう、なっ!!

個人的コツ5:自分の性癖を追求しろ

 何度も言っていますが、性癖は正義です。
 何事もモチベーションを保つ事が大事ですが、性癖に合致したもの、好きな物であれば有るほどモチベーションは保ちやすくなると思います。
 逆にあまり好きでない物はモチベーションが下がると思います。そうしたらそれが性癖になるまで自己暗示するか逃げましょう。好きな部分だけ書いていてもええんじゃ。

終わりに:定期更新型ネットゲームとお絵かき上達の相性の良さ

 “定期更新型ゲーム”による創作活動への強化因子と物語的意味"というタイトルで、既に鶏アドベントカレンダーで記事にされている方がおりますが、定期更新型ネットゲームあるいはAP性ゲームは、長い間継続して行います。そして、絵にはまれなくともゲームにハマれば長期間遊びます。つまり、長い間絵に向き合う事になります。

 今まで絵を書こう、と思っていても続かなかったのは自分の中にしかモチベーションが無かったからだと思います。何かの創作をしても他人の創作で満足してしまいがちでした。

 しかし、定期更新ゲームの、それも自分で作ったキャラクターは自分が作らなければ更新は見込めません。さらに言えば、ゲームや交流という、創作とはまた違った部分にモチベーションを持つことができます。
 性癖の話にも通じますが、上達に最も必要なのは「継続」です。最初の内は、それこそibisやペンタブで描き始めた頃は補正をかけても線が安定せず(今もですが)、それを慣れて上達できるまで、多様なモチベーションで維持することができたのは、長期間に渡ってプレイする定期ゲーという環境あっての物だと思います。

 つまり、定期更新型ゲーム、あるいはそれに類するキャラ登録型ゲームは、絵を描き始め、継続する環境としてはピッタリなのです。

 ……あと、誤解を恐れずに言えば、昨今SNSで発表されるイラストの大部分はプロレベルの物がゴロゴロしており、非常に目が肥えていると思います。自分も、他人も。
 しかし、定期更新ゲームという場では様々な絵柄の人が居ます。そして、楽しんでいます。
 なので、自分の絵が下手だからといって楽しめないという事は決してなく、恐れずに自分の絵で挑戦する事もまた、一興であると思います。

 ということで、絵、書こうぜ!楽しいよ!
 それはそれとして、描いてもらうと嬉しいのでコミッションとかで頼んでも良いと思うよ!


……ところで、絵師のメイキングにある良い感じ、ってなんですか?

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