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#この手紙は捨ててください

もう一度だけ、もう一度だけ二度と戻ってこない過去の話をしよう。前を向けるように。

先生の匂いがした。反射的に振り返る。けれどそこには先生はいない。それの繰り返し。決まって夢の中に出てくる日は寂しい時。夢の中だけでも会えるのならって。もう一度夢を見たくて二度寝する。そんな毎日です。

あなたの笑顔が
あなたの優しさが
あなたの人柄が
何よりもあなたが

好きでした。何も無かった私にはあなたはきらきらと輝いて見えました。毎日学校に会いに行きたくて土日なんてなければいいと思ったくらいです。あなたに会えなくなって、忘れ去られてしまうのが怖くて、先に自分が忘れようとしたけれどそんな事は出来ませんでした。私にとってあなたは一番大切な存在だから。

たくさん思い出が出てきます。貴方と過ごした3年間はあっという間で、でもすごく濃い3年間でした。

初めて会った数学の授業。週に一回、来てくれるのが楽しみでソワソワしてたこと。担任になってすごく嬉しかったこと。初めて2人だけで話した事。元気いっぱいで毎日楽しかった事。ぎゅーってたくさんたくさんしてくれた事。部活さぼって放課後たくさん話したこと。先生の机の奥が私の定位置だった事。一緒に給食を二人で食べた事。給食の時間二人で教室で話した事。話を聞いてくれた事。でも話せなくてだんまりだった事。それでもずっと待っててくれた事。 星空を見上げながら真っ暗な場所で電話した事。 ODをして泣いて何度も何度も電話をかけたこと。病院に運ばれ、お見舞いに来てくれた事。手を離してもずっと握り返してくれた事。泣いても泣いても大丈夫だよって言ってくれた事。生きてることが怖くて震えてた時、抱きしめてくれた事。一緒にお迎え待っててくれた事。たくさんたくさん心配かけた事。真正面から私に向き合ってくれた事。

時が経つにつれ、段々と忘れてゆく思い出が怖いです。戻れないことが寂しいです。

この手紙に思い出と共にいっぱいのあなたへの気持ちを込めて。もう過去には戻らないと決めます。

安心してください。もう泣いてません。とても優しい友達ができました。私は新しい場所で前を向いて進んでいます。

今まで言えなかった、
私と出会ってくれてありがとう。
私を変えてくれてありがとう。

そして、

幸せになってください。

#短編小説 #日記 #先生 #写真 #エッセイ

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