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オーバードーズ

初めて薬を飲んだのは月が綺麗な日だった。真っ暗な部屋で薬を口いっぱいに含み、泣きながら飲んだ。外に出たら寒くてまた涙が出た。涙が止まらなくってふらふらしてこの世界から消えちゃうんじゃないかとふと思い、怖くなった。何度も何度も電話をかけた。幾ら経っても電話に出てくれない。意識が遠くなって、何も考えることができなくなった。

オーバードーズをすると記憶が曖昧になる。そんな時だけ都合よくみんなに愛してるよなんて言ってみる。

オーバードーズをするのはこれで3回目だ。毎回入院しなければならないような量を飲む。今回は救急車まで呼ばれて他人に迷惑をかけてしまった。(やりたいなら一人でやっていればいいのに)

救急車で運ばれた先は全く知らない市立大学病院。全く記憶にないのだが、親がかかりつけのいつもの大学病院に電話をして受け入れお願いしたらしく、そこから親の車で大学病院へ。

HCUに通されて一晩泊まることに。
寝てたら機械を持ってバタバタしてる看護師さんが。これは胃洗浄されるのか?違ってくれ。隣の人であってくれと願う。そんな願いも虚しく胃洗浄。鼻に管を通され活性炭を入れられる。記憶が曖昧になってるからもう何とでもやってくれと思う。みんな胃洗浄はすごく辛いと言っていたから身構えてたけど、記憶が曖昧になってたからあまり辛くなかった(げーげー吐いたけど)

オーバードーズが癖になってしまう人の気持ちが分からなくもない。ふわふわして記憶が曖昧になって、その時だけこの大変な現実から逃げることができる。もっと違う現実逃避の方法を考えれるといいねと入院中に他の患者さんから言われた。

またオーバードーズするかもしれないし、これっきりかもしれないけれど、これだけは言っておく。オーバードーズなんてするもんじゃない。

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