海外採用をしながら感じていること
こんにちは、BetaMindの吉田です。
今日はタイトルみたいなことについて書いてみます。ノウハウやTipsというよりは、雑感メモです。
弊社の開発チームについて
弊社ではウェビナー・動画マーケティングSaaS「Vidbase」の提供とソフトウェア受託開発の2つの事業を展開しています。
開発チームはアジア圏(主にインドネシア、ベトナム、フィリピン)を中心に採用しており、パートタイムの方も含め2事業で10名以上のチームですが、ほとんどのエンジニアメンバーは海外メンバー(外国籍、海外在住、非日本語話者)です。
こうしたチームを作り上げる中で、多くの海外の候補者の方と面談する機会があったので、その中で沢山の新鮮な気づきがあり、感じたことを残しておきたいと思ったのがこの記事を書き始めたきっかけです。
海外採用をする中で感じていること
世界はフラット化している
2005年に出版された「フラット化する世界」という本があります。300万部以上売れたベストセラーです。IT革命(古い)によって情報が民主化されたことで先進国と途上国の情報アクセスの差が小さくなり、経済格差が相対的に小さくなりつつあることを示した本でした。
大学時代に読んだ時は「まぁそうなんだろうなぁ」くらいにしか思わなかったんですが、海外メンバーの採用をする中ではこれを痛感します。
COVIDの影響もあって、プロダクト開発はリモートでも多くの機会が溢れています。
弊社は現時点では企業規模に鑑み「リアルタイム性」を一定重視しているためアジア圏を中心に採用していますが、非同期コミュニケーションもテクノロジーによって大きく効率化されてきたので、フラット化は地理的制約も超えて今後益々進むだろうなと感じます。
自分の世界の捉え方は放っておくと時代遅れになる
数年前、「ファクトフルネス」という本が流行りました。世界中の様々な事象について数字(ファクト)を示すことで人々の思い込みと事実との乖離を解く本でした。けっこう流行っていた気がする。
採用を進める中で、これに近い経験を良くすることがあります。
例えば、今、ベトナムの人口ってどれくらいかわかりますか?
・・・
私は、小学校中学校くらいの時に社会や地理の授業の感覚だと、7-8,000万人くらい?と思ってました。
答えとしては、2023年にはベトナムの人口は1億人を超えています。この20年で25%以上増えているんです。人口停滞が当たり前となって久しい日本の感覚からは考えられない状態ですが、これが事実でした。
これはあくまで一例ですが、自分の中での世界の捉え方は放っておくとどんどん時代遅れなものになっていくんだな、と感じる瞬間が沢山あります。常に沢山の物事に触れ、アップデートしていきたい。
圧倒的に大きな人材マーケットにリーチできる
日本のITエンジニアの数は一説では約100万人?だそうで、今後デジタル化の需要が高まる中で確実に不足すると言われています。実際に国内でエンジニア採用に苦労されている企業さんも多いのではないでしょうか。
一方で、海外の人材マーケットは広大です。弊社のような全く無名な会社でも、ありがたいことに求人に対して本当に沢山の応募があります。
事業でも「大きな市場で勝負しろ」と言われますが、採用も同じかもしれません。とにかく広大な人材マーケットにリーチできる。
海外企業は採用もレイオフもドラスティック、流動性がとにかく高い
2022年中頃以降、米国・EU圏を中心に多くのテック企業が大規模なレイオフを実施して話題になりました。
アジア圏も当然例外ではなく、米国やEU圏から半年〜1年遅れてレイオフの波がやってきているのを感じます。
実際に弊社で副業をしていたメンバーの一人も、「開発チームの8割が今週いっぱいでレイオフになった」といった話をしていました。
海外企業は拡大に向けて採用するときも爆速、レイオフも一気に開発チームの8割を削減したりととにかくドラスティックな場面が多く、驚くことがよくあります。
ハングリーさ、バイタリティがスゴい
こうした背景もあってか、候補者の方のハングリーさにこちらが刺激をいただく場面も珍しくありません。
弊社の面談は基本的に英語です。アジア圏各国は日本と同様に英語を母国語としない国が多く、必ずしも皆が流暢に英語を話せるわけではありません。
多くの日本の方はそこで、「俺英語できないし、アプライする資格ないな」と思ってしまうかもしれませんが、海外の候補者は必ずしもそうではありません。
「俺は英語はイマイチだけど技術力はマジでスゴいから1回試してくれ」
「無給でも働かせてもらったら間違いなくオファーする気になる」
みたいな内容を本気で伝えてきます。自分の現時点のスキル不足や少しの不安で物おじするのでなく、ハングリーに機会にチャレンジする姿勢は候補者の方からいつも刺激をもらうポイントです。
仕事探しには多様なニーズがある
当たり前といえば当たり前ですが、候補者の方によって仕事へのニーズは様々です。
プロダクトカンパニーで働きたい
事業ドメインに興味がある
グローバルなチームで仕事をしたい
フルリモートの仕事を探している
マネジメントの経験を積みたい/エンジニアとして現場でコードを書きたい
日本が好きで日本の会社で働いてみたい
これらは私が候補者の方と面談をする中でよく耳にする内容です。
海外企業からのアウトソーシング開発企業が多い国では、自社プロダクトがある企業で働きたい人が多かったり。アジアの多くの国々では公共交通の整備が追いつかず交通渋滞が社会問題化しているため、コロナの揺り戻しによる出社義務化は死活問題のようで、「フルリモート」に懸ける思いがめちゃくちゃ強い人もいます。
ニーズも本当に様々です。
海外採用を進めるのは「人件費が安いから」ではない
「オフショア開発」という言葉が流行ったのはもう15年前くらいからでしょうか。
「アジア圏で採用するのは人件費が安いからですか?」
「オフショア開発は品質に懸念があるのですが、、、」
受託開発の営業をしていたり、エンジニア採用の話になった時によくこうしたことを聞かれます。いずれも明確に否定しています。
弊社では、Quipper(リクルートが買収したEdu-tech企業)出身やシリコンバレーのスタートアップ出身だったりと、しっかりキャリアを積んできたメンバーを採用しています。(そうしたスタートアップ企業は、優秀なメンバーを確保するため、競争力のある給与水準を提供しています。
また、弊社で海外採用を始めたのは2022年4月からですが、そこから1年半で30%以上円の価値が下落しました。基本的に海外メンバーの給与はドル建て支払いのため、日本円ベースだと価格が上昇し続けている状態です。
これらも含め、弊社で海外採用を進めているのは決して「相対的に人件費が低いから」といった理由ではありません。
良いメンバーに入社して活躍してもらうためには環境や報酬をしっかりと提供することが必要なのは国が違えど全く同じでした。
一方で、転職エージェント(RPOに近いものも)のフィーが日本より圧倒的に低かったり、転職活動のリードタイムが国内より短かったりと、国内マーケットとは明確に異なる点もあります。
こうした様々な要素を踏まえた上で弊社が海外採用をしている理由としては
「国内のエンジニア採用における自社の採用力や採用リードタイム、海外の人材マーケット、チームづくりのハードル等を総合的に勘案した時に現状ベストな選択肢と考えているから」
です。
ハードルはあるけどチームを作るのが楽しい
海外での採用を始めてからこれまで、採用やチームアップで沢山失敗をしました。これからも沢山失敗すると思います。
言語の壁をはじめ、ハードルを上げればキリがありません。
それでも、アジア各国から集まる素晴らしいメンバーと事業の立ち上げに挑める今の環境が純粋にとても楽しいと日々感じています。
これからもこのチャレンジは継続していきますし、また新たな発見があれば発信していきたいと思います。
以上。