天安門事件から30年
1989年6月4日 北京にある天安門広場一帯で民主化を求めるデモの鎮圧が行なわれました。デモは100万人ほどの民衆が、7週間にわたり行なわれました。正式な死者数は発表されてませんが1万人ほどの死者が出たとの報道があります。
天安門事件についての情報は中国国外であれば容易に取得できますが、中国国内ではなかったことになっているので、検索できません。したがって2019年6月4日は天安門広場の警備が強化されたくらいで追悼式のような儀式はありませんでした。
この「あったことをなかったことにする」という発想は言論の自由が認められている日本にいるとありえない対応と感じますが、経済的側面から考えた場合実は悪くない対応だった気もします。中国が急速に発展するためには必要だったのではないかと。
ここで中国の成長具合を振り返ってみると、BRICsなどと言われこれからの成長国として注目されたのが2003年
GDPで日本を抜いたのが2010年。抜いたといっても人口は日本の10倍以上いるよねーとまだまだ日本が抜かされた感覚はありませんでした。
習近平が最高指導者となったのが2012年でその後権力を強化し独裁体制を築いていきました。
このころまでの中国の印象は他国の商品をパクっているだけで、革新的な商品を作っていないという感じでした。
爆買いが流行語になったのが2015年。やっぱ日本製品のほうが性能いいよねと思うとともに中国人の購買力の向上に驚かされました。
で、それから数年経ち、今の状況はどうでしょうか?当初はよくわからなかった現代版シルクロードである一帯一路構想には賛同する国も増え、一帯一路会議には西側諸国であるイタリアも参加。中国への物流がスムーズになり、ますます中国が発展しそうです。また、支配領域に関しては南シナ海に人工島を作り、実効支配エリアを増やすことで将来南シナ海は中国の湖になる勢いです。
技術面では第5世代携帯の特許の3分の1は中国が取ってます。また今後の覇権争いで焦点になる宇宙開発では中国の月探査機「嫦娥4号」が世界初となる月の裏側への軟着陸を果たしたり、2022年には独自の宇宙ステーションを運用予定。
10年前の感覚だと中国成長してきてるねー程度でしたが、気づいたら日本の追い付かないところまで行ってしまった感があります。
なぜこんなに急激に成長したのかは、14億近くの人口による巨大マーケットもさることながら、共産党一党独裁による国家資本主義のおかげではないでしょうか。民主主義国家では政権が行なおうとすることに野党が反対したり、次の選挙を見据えて有権者の顔色を伺う政策を行なうなど思い通りにいかない反面、中国では決めたことを次から次に邪魔されることなく推進できます。政府の方針が時代に合っていれば民主主義より早く経済成長できます。それを行なうためには自由な言論は不要でしたがって天安門事件を蒸し返されては成長の速度が遅くなってしまう。
もう天安門事件から30年だし、中国では天安門事件を教えていないのだから今40歳以下の人はほとんど知らないからこのままなかったことにできそう。
香港では追悼集会が行われたものの、前回ほどの盛り上がりをみせていない。その一方で中国本土へ容疑者の身柄を引き渡す条例が審議されており、成立すれば香港での中国批判は政治犯となり中国本土に送られかねないので中国批判が封じられ、言論の自由に制約がでるかもしれません。
台湾と国交を持っていた国は次々と中国と国交を結び残り17か国になってしまいました。独立を主張している蔡英文総統ですが来年の選挙で当選するかなんとも言えない状況であり、親中派の人が当選すると中国寄りになり最後は統合の可能性もあるかもしれません。台湾の国民も独立よりも経済的にメリットがある中国の傘下に入りたがっているように見えます。昨年行われた国民投票でオリンピック参加時の名称は「台湾」が選ばれず「チャイニーズタイペイ」で決まりました。
敵の敵は味方理論で、ロシアとは仲良くしており、中国とロシアの国境を流れるアムール川に初めて橋が架けられます。
ヨーロッパではEUが統合すればアメリカ、中国に対抗できる勢力になりますが、現状では各国とも自国第一主義が席巻しており統合は無理。
このような中、日本はどうするのか。経済的なメリットを考えたらアメリカとばかり仲良くやるのではなく、中国側についたほうがよくないか、と一瞬思ったりしますが、日本の安全保障はアメリカに任せているので実際にアメリカと距離をとって中国と近づくのは無理です。現状では総額1.5兆円分の戦闘機F35を買ってアメリカに守ってもらうのがベストですが、この先アメリカ以上の力を中国が付けたら日本はかなりまずい状況になるのではな気がしちゃいます。
アメリカがイランや中東問題に口出している間に中国は着々と自国中心の世界を作っており、仲良くやってくれるのが一番良いのですが、衝突した場合日本もノーダメージとはいかないですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?