先日の投稿で、大道への追悼投稿しましたが、私の師匠である田内・大道が今から35年以上前にストレングスコーチ(トレーニングコーチ)として活動を始めた当初に比べ、今ではトレーニングを指導する人の数は格段に増え、またそのバックボーンも多岐に渡っています。
その当時は、ボディビルやパワーリフティング、ウェイトリフティング競技出身の方が中心に、自身の経験を基に指導に当たっていたと聞きます。
そんな中で、田内・大道がパイオニア的存在となり、スポーツ選手に特化したようなトレーニングシステムを構築し、指導実績を残しながら、ストレングスコーチ(トレーニングコーチ)としての地位を徐々に確立していきました。
そして、現在ではアメリカ由来のS&C(Strength&Conditioning)Coachと呼ばれる肩書きで各競技におけるパフォーマンス向上を期待されて競技特異的なトレーニングを指導する立場の専門職として活躍する人が増えています。
他方、S&Cのみならず、医療資格(理学療法士,柔道整復師,鍼灸あん摩マッサージ師など)を有する人がトレーニング指導するケースや、専門的な教育機関(大学,専門学校)を経ずに民間の資格や独学による知識をベースにパーソナルトレーナーとして、スポーツ選手にトレーニング指導するケースなども見られるようになってきました。
言ってしまえば、(我々ストレングス工房のスタッフもそこに含まれますが)誰でもトレーニングコーチを名乗って活動・活躍できる時代になっています。
では、そのような時代にあって、どの点で差別化を図っていけば良いのでしょうか?
あるいは、個人として、組織としてのストロングポイントは、何でしょうか?
ストレングス工房スタッフとして、あるいは私個人としてもこだわっている点であり、自身の強みとして意識している点は、タイトルに掲げた「実技力」です。
実技力とは、読んで字のごとく、そのままの意味で、バーベル種目はもちろん、トレーニングに付随する運動,エクササイズ全般の実技をいかに正しく洗練されたフォームでできるかという能力です。
言葉を変えれば、選手に実際に動いて手本を示す際のパフォーマンスです。
ここで、魅せることができれば、百の理屈よりも説得力をもたせることができます。
一方、逆の見方をすると、この実技をまともにできない指導者がいかに多いことか、ということを現場で活動していて感じます。
事細かく選手の動きを分析し評論し、手を加えたりして動きを修正したりすることはできても、実際に自身で手本を見せることはできない、そんな方です。
もし仮に、そのような指導者の理論や分析通りに指導者自身が動くことができるのなら、トレーニングコーチやトレーナーという職種の人が万能に何でもできるはずです。
しかし現実は、そう甘くはなく、圧倒的に選手の方が動くことができ、トレーニングコーチ/トレーナーは口が動くばかりになっていきます。
そのような観点からすると、実技力は田内・大道から始まって今に至る、ストレングス工房に脈々と受け継がれるこだわりであり、ストロングポイントだと自認しています。
これから指導者を志す若い方は、是非、実技力を磨いて欲しいなと思います。
JPFストレングス工房
鬼頭 祐介