非美大卒が、IT事業会社のデザイナーになるまで
何かを作る仕事がしたい。と思い立ってから5年が経ちました。当時は、将来デザイナーを名乗ることになるなんて思ってもなかったです。
ただ建物が好きで巨大な構造体に興味惹かれるという理由で、建築学を学ぶ進路を選んだ結果、構造計算と建築法規が無理すぎて人生詰みかけました。まじで。
そこから現実逃避して、興味の赴くままにデジタルのクリエイティブで遊んでいると、楽しくなって、いつの間にかIT事業会社でデザイナーをしています。
何者になりたいのか、いまだに決めきれないまま生きていますが、もはやこれが天職なんじゃないかと思えるほどに楽しく、モチベーションを保ちながら仕事をしています。
そんな、IT事業会社・ベンチャー企業のデザイナー職に辿り着くまでに考えたことを振り返ります。
つまらないことから「楽しみ」を見つけて
自分のものにできるかは自分次第
客観的に好きだと思っていたけど仕事をするには辛かったり、逆に好きだと思っていなかったことが実は仕事に向いていたりするときがあります。
進路に悩んでいた当時、ビルやホテル好きが高じて建築が学べる工学部に進学しました。初めの1年は何の役に立つのかよく分からない(今でも分からない)基礎トレーニング的なことをひたすら行い、日が変わるギリギリまで、日によっては夜通し何かを制作し続けていました。
なんとか生き抜いて訪れた2年目、構造計算が無理すぎて物理系の単位をことごとく落とし、これでは生涯の職にはできないと悟ります。
生きにくい空気から逃れるように、グラフィックやプロダクトの授業に潜り込み、アイデア強制発想法や体系的な思考のフローを踏ませるための話、この世に存在しない奇抜なものを生み出すこと第一主義の授業をひたすらやりました。
潜り込んだまではよかったものの、何かが足りない。つまらない。
スタイロフォームや竹を削って、スタイリングしているだけで本当にプロダクトデザイナーになれるの、、、?
という疑念が湧いてきます。
結論、なれないですよね。
カリキュラムの問題ではなく、取り組む姿勢の問題です。
「先生に言われるから」「単位を取らないといけないから」とりあえず最低ラインを越えるものを用意する。みたいなことやってると、自分も楽しくないし、何も身につかないです。なにより時間がもったいない。
でも、なぜか授業は退屈だし、先輩たちが就職している分野で自分がやっていける気がしない。
それなら自分の好きなことを勝手に混ぜて、つまらないこと から 面白そうなことを実験できる場所にしてしまおうと思いました。
そこからは一人で謎のことをやっているので、いろいろ突っ込まれ続け迷走するときもありましたが、めちゃくちゃ楽しく面白く課題をこなせるようになりました。
カードタイプの完全栄養食を考えてみたり(これはさすがに妄想が過ぎた)
スイッチがテーマの課題で、電気の接触解除を利用して信書に開封通知の仕組みを取り入れたり。
謎の概念を取り入れて楽しくやっていると「お前、なんでもできそうだから、次のテーマはお菓子に入ってる『乾燥材』な」とか意味わからないことを言われ、いじめられます。
でも諦めるのは悔しいので、みんながスタイリングを頑張ってる中、酸化カルシウム(乾燥剤の一種)の水和反応について調べ、医療系の知り合いに「80℃以上に耐えられて、中の固形物はユーザーに触れさせたくないんだけど、水和反応後の水蒸気だけ外に取り出せるものって何かない?」という適当な質問をぶん投げ、「歯科用の器具を消毒する高圧蒸気滅菌パックとかどう?」って、そんなんあるんかいな。みたいなことを黙々と時には嬉々としてやるわけです。
そして、ワンパンチで温かくなるおしぼりを生み出しました。
本当の課題のテーマは「0次の防災、普段使いできて災害時にも役立つもの」を作る課題でした。
めちゃくちゃ楽しくないですか?脳味噌が愉快
わかってくれる人が現れたことがないので、もしかしたら自分だけなのかもしれないですが、自分のモチベーションを維持するために、興味が赴くままにひたすら進撃していました。
新しいことに挑戦しながら
自分の得意なスタイルで勝負をする
学生の時に自己分析した自分の戦い方は以下の通りです。
1. 要素をシンプルにする
2.「好き」を突き詰め、信念を持って押し通る
1. 要素をシンプルにする
今、考えてみるとデザイン自体はそこまで得意ではない気がします。
デッサンもスタイリングも色彩構成もろくにやってこなかったのもあり、いわゆる人が想像する「デザイナー」ができることが苦手です。
そんなへっぽこが勝つためには、構成要素を極限まで削り、自分のコントロール範囲内でバランスを取るのが良いと考えました。雑多で複雑なものを組みあげるのはとても難しいです。いろいろなコストがかかってしまうのです。
得意なことで勝負するためにも、考え切れる要素の数を絞り、他の部分に時間をかけられるようにしました。
2. 「好き」を突き詰め、信念を持って押し通る
我が道を行くにはモチベーションが大事です。
理解者もいない、応援してくれる人もいない、人に気持ちを伝えられるほどの語彙も持ち合わせていない。頼れるのは好きだという事実と自分の心だけ。
いくら周りがやってることが性に合わなくて、自分の道を行くと決めても寂しいものは寂しいのです。そんな時に心を支えてくれるのが、何もかもを忘れて熱中できる好きなことです。
テンションが上がるデザインや知恵・技術を吸収しまくり、気分を高め、手を動かしてみて「俺のデザインは最高だな」と自分に酔いながら好きを突き詰める。
面白くないと続かないし、手を動かさないことには何者にもなれないです。一番の敵は自分のモチベーションでした。モチベーションがすべて。モチベーションドリブンで生きています。やる気がでないときは潔く諦める。思い立ったら即行動する。自分のやる気を待っていては人生10周しても足りないです。
そして、譲れないことは信念を持って押し通りたいと思っています。
動機は何だっていいと思います。「好きな人が言っていた」「流行っている」「何でかわからないけど、心が動いた」
身体が動き始めたら素直にしたがって、押し通したいなりの信念を武装し、熱中するのみです。
モチベーションを外部依存しない
他人に期待して依存するとメンタルを持っていかれます。すごく疲れます。おいしいごはんが好きなのに、ごはんが喉を通らなくなります。すごくつらい。これ以上痩せようがないのに、久しぶりに会った人に「痩せた?」とか言われます。そのうち存在ごと消えそう。
自分以外の何かに意思決定を委ねると思いもしない方向からの貰い事故でメンタルが死んだり、勝手に生きる目的にして頑張っていると横槍が入ってメンタルが死んだり、余計なことをずるずると悩んでメンタルが死んだりします。
自分のモチベーションを他人に委ねるのはコスパが悪いです。
鬼滅○刃でも「生殺与奪の権を他人に握らせるな」と言っています。自分を活かすも殺すも自分次第です。(多分そういう話ではない)
何度でもやり直して
最適なものを届けるために考え抜く
クラシルを運営するdelyのCXOである坪田さんが「何度言われてもやり直して付いてこられる人なら誰でも育てますよ」(自己都合解釈)と言っていたのがきっかけで、delyに応募しました。
僕は、そんなスキルレベルは求めないんですよ。100回壊してというサイクルについてこられる人だったら、別に誰でもいいような感じですね。みんなだいたい100回やり直したら120点のものができるというのはわかっているのに、5回ぐらいでやめちゃうんですよ。
- CXO Night # 6 坪田さんのコメントより
「別に誰でもいい」という言葉に一番救われました。
夢中で続けられるほどに好きなことを見つけたら、あとは熱量で押し切るまで。スキルも知識も大事ですが、みんなスタートラインは一緒です。0地点から這いつくばって、食らいついて、掴み取るのみです。
ゆるく、だるく、気まぐれにいきていますが、何事にも熱量は大事です。
そして、スタートアップし続ける
自分自身をスタートアップさせ続ける。という言葉が最近のマイブームです。圧倒的な速度で自分を成長させ続けることを意味しています。飽き性だし、テンションが上がる何かを見つけるのは難しいし、何よりモチベーションを維持するのが大変。メンタルはすぐに死ぬ。
それならば、新しいことに挑戦し続け、自分を成長させ、モチベーションが尽きる前に、次のモチベーションを見つけないといけないのです。
これが冒頭に述べた、ベンチャーのデザイナー職が自分にとっての天職なんじゃないか。と思えている点です。(ちなみにまだ1社目で社会を甘く見ている新卒)
日々新しい概念が誕生し、社長やステークホルダーたちも組織としても成長して、考えがアップデートされていきます。2度と同じことは訪れないです。毎日が毎日、新しいこと尽くめで飽きがこない生活です。
全く育ち方や考え方が違う人たちとコミュニケーションを取りながら、学び、吸収し、思考をアップデートしながら生きています。知らない世界が真横にあっていつでも飛び込めるのはとても幸せです。
そんな環境にいながら挑戦をやめてしまうのは、何か自分を裏切っている気がしています。ようやく掴み取った今の立場を1年前の自分は何があっても掴み取りたいと思っていたはずです。
挑戦をやめて自分自身に飽きてしまわないように
僕は成長し続けたいと思います。
おわりに
自分を成長させられる最高の場所だからここで働きたい。と思って今の会社を選びました。
これまでの生き方が正解だったかは分からないですが、今一緒に働いている人たちと出会えたことだけでも、良い選択ができたと思っています。何を軸に生きていくかは人それぞれですが、自分のやる気が出せるところで切磋琢磨することもまた一つだと思います。
ということで、delyでは新卒デザイナーを募集しています。このnoteを読んで「一緒に働きたい」「自分に合っているかも」って人がいるかは分からないですが、もし!もし興味がある人がいたら、下記からご応募ください。
お会いできるのを楽しみにしています!