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【短編小説】二人乗り
457文字/目安1分
君と自転車を二人乗り。
わたしを後ろに乗せて、君はぐんぐんと風を切ってゆく。
二人乗りは違法なんだよってわたしが言うと、知ってるよって君は言う。罰金になっちゃうかもしれないよってさらに言うと、俺が払うからいいなんて言う。嘘でしょ。
わたしの行きたいところ、わたしの知らないところ、上り坂も下り坂も、追い風の時も向かい風の日も、君はどこまでも連れていってくれる。
君の体にしがみついて、背中に体重を預けて、君の見る景色を後ろから追いかける。
君の後ろにいれば本当にどこにだって行ける。
でもね。
君とは横に並んでいたいんだ。
今日は自転車に乗りたくないって君に言うと、やっぱり違法を気にしてるのって。実は乗り心地悪かったかなって。そうじゃないよ。
ゆっくりでいい。手をつないで、君が右を見たらわたしも右を見て、左を見るなら左を見たい。
一緒に、同じ景色を見ていたいんだよ。
君といるなら隣がいい。
そう伝えると、君はツイン自転車ならどうかなって。それなら横に並べるよって。
そういうことじゃない。この自転車オタクめ。