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延命治療は本当に必要?穏やかな最期を迎える選択肢を考える

穏やかな死を迎えるという選択:延命治療よりも大切なこと

現代社会において、高齢者の医療や終末期のケアについて考えることは避けられない重要な課題です。特に高ステージのがん治療を受けるか、それとも痛みを和らげながら穏やかに残りの時間を過ごすかという選択は、多くの家庭で直面する難しい問題です。私は個人的な経験を通じて、延命治療よりも穏やかな死を迎えることが、自分自身にとっても、家族にとっても、より良い選択肢であると感じています。

がんと診断された母方の祖母の選択

私の母方の祖母は、がんと診断されました。当初は治療を続けることで延命を図ろうとしましたが、次第にその過酷さが祖母の体力を奪い、治療自体が新たな苦痛を生む結果となりました。家族で話し合った結果、最終的には痛み止めを中心とした緩和ケアに切り替え、祖母が少しでも穏やかに過ごせるよう努めました。

この選択が本当に祖母のためになっているのか、家族全員が悩みましたが、祖母の表情が和らぎ、穏やかな時間を過ごしている姿を見て、私たちはこれが最善の選択であったと感じています。苦痛を和らげ、残された時間をできるだけ楽しく過ごすことが、治療に多額の費用をかけて命を延ばすことよりも、祖母にとって良い選択だったのです。

父方の祖父母との思い出作り

一方で、父方の祖父母とは別の時間を過ごすことができました。1年ほど前、足腰が弱ってきた祖父母を札幌に連れて行き、一緒に旅行を楽しみました。その時は、「これが最後の旅行になるかもしれないね」と話していましたが、祖父母は帰宅後もその旅行の話を何度もしてくれました。旅行の思い出が、彼らにとってどれほど大切だったかを痛感しました。

この経験を通じて、私は高齢者にとって大切なのは、命の長さではなく、その時間をどう過ごすかだと強く感じました。高額な医療費をかけて延命を図るよりも、家族と一緒に豊かな時間を過ごすことが、最良の選択肢であると確信しています。

社会保障と終末期医療の再考

日本の社会保障費は、現在約150兆円に達しており、今後さらに増加することが予測されています。特に高齢者の延命治療にかかる費用は、国家財政にも大きな負担をかけています。こうした現実を前に、私たちは医療リソースの使い方を再考する必要があります。

延命治療が高齢者にとって最良の選択肢なのか、あるいは痛みを和らげ、穏やかな時間を過ごす方が良いのか。この問いに対しては、家族全員でしっかりと話し合い、最適な選択をすることが求められます。私たちは、延命治療を行うことで命を長らえることよりも、残された時間をどう過ごすかに焦点を当てるべきです。

自分と家族のために穏やかな死を迎えるという選択

未来の自分や家族のために、穏やかな死を迎えることが良い選択であると考える理由は、単に経済的な負担の問題ではありません。それは、家族との時間を大切にし、その時間を豊かに過ごすことが、生きる意味を深めるからです。

母方の祖母のように、治療ではなく穏やかなケアを選び、家族との時間を楽しむことは、祖母自身にとっても、私たち家族にとってもかけがえのないものでした。祖母の穏やかな最期を見届けることで、私たち家族も心の準備を整えることができ、祖母との思い出を大切に胸に刻むことができました。

また、父方の祖父母との旅行の思い出も、私にとって貴重なものです。彼らが元気なうちに一緒に過ごした時間は、私たち家族全員にとって宝物となりました。祖父母が「これが最後の旅行かもしれない」と言いながらも、その時間を心から楽しんでいた姿を見て、命の長さよりも、その質が重要だと改めて感じました。

親孝行の新しい形と未来への提言

私たちが高齢者に対してできる最大の親孝行は、苦痛を和らげるための医療ではなく、心から安心して最期を迎えることができる環境を整えることだと考えています。家族が一緒に過ごす時間こそが、何よりも大切なものです。

高齢者が穏やかな死を迎えるための選択肢を、家族全員で話し合い、理解し合うことが重要です。延命治療を選ぶか、それとも穏やかなケアを選ぶか。この選択は決して簡単ではありませんが、最も重要なのは、その人が自分の人生をどう終えるかを家族全員で尊重し、支えることです。

この記事が、未来の自分や家族のために、穏やかな死を迎えることについて考えるきっかけとなれば幸いです。そして、私たち一人ひとりが、家族との時間を大切にし、最後の瞬間まで充実した時間を過ごすことができるよう、今一度考えてみてください。

少し延命治療とは異なりますが「PLAN 75」という映画は安楽死が認められた日本という設定の映画です。命や社会保障について考えたりするときに一気に想像しやすくなります。お時間があればぜひご覧ください。


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