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AIとCryptoの交差点、そしてPrivacyへ

こんにちは、Yosuiです。ここ2年はSocialでの活動を止め、事業の前進とそれに関係のあることにのみ力を注いでいたため、日本語でのnoteの更新が止まっていました。市場も復活し、ここ1年でやることに関してはあとは実行するだけになったので、日本語での情報の発信を再開します。

この記事の目的

最近はLightGBMを使って暗号資産のトレーディングBotの開発の勉強をしていたこともあり、具体的にAIがオンチェーンの環境にどのような影響を与えていくかもイメージできるようになりました。

開発の過程でも、新しい技術がどのように組み合わさってエンドユーザーの体験を変えていくのか、手触り感のある形で想像ができるようになったため、いかがわしい技術をとりあえず最初に触っておくというのは未来を読むのにあたって有効だなと感じます。

以上のことから、AIとCryptoが交差するポイントが具体的に掴めてきたため、最先端の技術がどのように交わっていくのか、さらにそれが何を引き起こすかについてこの記事では書きます。

AIとCryptoの交差点

AIとCryptoの交差点というタイトルでこの記事を書いていますが、ほとんどのAIとCryptoのプロダクトは断片的に語られ、バズワードに乗っているものも多く、なかなか具体的な革新性をイメージするのが難しくなっています。そのため、それぞれのカテゴリがなにをしているものなのか、ここで定義しておきます。

Crypto

結論からいうと、Cryptoで起きていることは、ブロックスペースの効率的な分配に関する議論に終始していると考えています。

最も認知度のあるBitcoinは、デジタルゴールドかつCryptoの原点として君臨していますが、マイナーとホルダーのインセンティブ設計から引き起こされる議論は、ブロックスペースをどのように効率的に配分するか、になります。

Bitcoin以外で、大きい規模を持っているのはSmart contractを導入したブロックチェーン(Ethereum, Solanaなど)です。特にMEVの議論は、Publicな(ものとされている)ブロックスペースをいかに効率的に分配するかということを延々とやっているものだと考えています。そこに市場の歪みとしてMEVが存在し、巨大な市場ができています。(MEVについて詳しく知りたい方はTitania Researchのこの記事がおすすめです)

このPublicなブロックスペースというのは、Nodeを立てれば誰でもリアルタイムで一時情報にアクセスできるパーミッションレスなデータベースということであり、従来のパーミッションドなデータベースとは根本的に異なるということを意味します。

AI

そして、公共性の高いブロックスペースのデータは、AIが学習する上で非常に都合が良いです。

持たざるものと持つものが公平にアクセスできるという部分に惹かれてブロックチェーンに興味を持ったのですが、この公共性の高いデータというのは、AIを最適化するために非常に有効であり、放っておくとAIのモデルを動かすマシンパワーを持つ個人や組織をさらに強化するだけという結末になると考えています。

資金があれば誰でも、オンチェーンの一時情報を取得し、それに沿ったモデルを開発し、オンチェーンの市場は賢い人間によって最適化されたAIによって収益機会は刈り取られ続けることになります。(これが既得権益によって参入すらできない既存金融と比べたらまだ良い、ということになるかどうかはその人次第です)

そしてPrivacyへ

現在のブロックチェーン上の市場は、放っておくと、最適化されたAIを開発可能な資金力のある個人や組織に機会を刈り取られ続ける可能性があります。

これらの状況は垂直統合された組織を生み出し、分散性とは名ばかりの、特定の企業による独占市場を生み出す可能性があります。(当然、競争が生まれ続ければ良いレートが提供される可能性もあります)その中で、今のAIとCryptoが混ざり合っていくこれからの局面で不可欠なのが、Privacyだと考えています。

ここのAIとCryptoのコンテキストにおけるPrivacyというのは、自分の情報をオンチェーンにすべて残すのではなく、オンチェーンに乗せる情報を選択し、最小限の情報のみオンチェーンに乗せる技術のことを指しています。

現在、Privacyの重要性は過小評価されています。Privacyと聞くとすぐに犯罪収益の移転などを疑う人がいますが、特定の誰かに、愛するだれかへのメッセージやなんとなく撮った写真や電話の内容が24時間監視されているような状況を想像してみてください。あるいは、借りた不動産や買った不動産に誰かが仕掛けたカメラがついており、あらゆる行動が録画されているような状況をイメージしてもらえば、すぐにそれが自然ではないことがわかるはずです。私の立場としては、誰かを傷つけたりするために周る資金の循環はよくないと考えていますが、基本的には個人のプライバシーは厳格に守られるべきだという立場です。(日本では、先人がそういう社会を願ってくれていたため、厳格な個人情報の管理をすることが法律で定められています)

ディストピア的な世界をできるだけ最小化していくために、私たちは個人の権利を守るための仕組みやインフラを作ったり、それらを拡張する必要があり、すでにその世界に向けてプロダクトを開発したり、動き始めているチームやプロジェクトがあります。

まとめ

ここで記載したものは、今私たちの存在する社会で起きていることであり、未来の社会はどのようになっていたらよりよいかという願いの積み重ねで実現されます。

また、大きな市場は、常に過小評価されているところから出てきます。AIとCryptoの市場の拡大は確定路線に入った中で、Privacyに関する議論や実装は社会に受け入れられているとはまだまだ言えません。

ブロックスペースをどのように効率的に配分するか、という問いについては十分議論されているため、その次に重要である「公共物としてのトランザクションデータとプライバシーの考え方」について、物理・工学・数学・コンピュータサイエンスなどの分野でなにかやっている人で、問題提起や解決策の提供を0から一緒に考えてくれる人がいれば連絡をいただけると嬉しいです。素性は問いません。

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