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転換社債(転換社債型新株予約権付社債/CB)とワラント債(新株予約権付社債)を簡単に紹介する

ファイナンスブログ#3です。#1と#2でエクイティファイナンスとデットファイナンスの基礎を紹介したので、今回は転換社債とワラント債について紹介します。

転換社債とは

ググると一番はじめに以下の文章が出てきます。

転換社債は、発行された時に決められた転換価格で、一定期間内において債券保有者が発行会社に対し株式に転換請求をする事が可能で、株が値上がりした際は株式に転換し、値下がりした際には社債のまま保持することで利息を受け取ることができるのです。

簡単に言うと、社債だけど社債そのものをあとから株式に変えられるよというものです。(社債についてはファイナンスブログ#2で言及)

ただ「お金を貸して利息をつけて返してもらう」や「株式をもらう代わりにお金を渡す」というものではないため、よくわからなくなる人が多い印象です。

転換社債のメリット

転換社債のメリットは、発行する側よりも引き受ける側にあるのかなという印象があります。

引き受ける側は、社債発行時に決められた転換価格で株式に転換できるため「この会社伸びそうだな」と思った時には株式に変え、「この会社順調だけど急成長しなさそうだな」と思ったら社債のまま持っていて利息を受け取ることができます。つまり、引き受ける側の選択肢が多いことを示します。

発行する側としては、コールオプション条項があるとしても利率が低く設定できるところくらいしか旨味がないのかなという印象です。(別の解釈があれば教えてください)

転換社債のデメリット

特に起業家側、発行する側だと、転換社債は負債に計上される上に業績がよくなった場合に株式比率も圧迫され、業績が悪ければそのまま負債としてのこるという、あまりメリットがないように思えます(条件が悪いからこそ大きな額の調達が可能という見方もある?)

次に、ワラント債を紹介します

ワラント債(新株予約権付社債)とは

ワラント債とは以下の通りです。

ワラント債とは、一定の値段(行使価格)で発行会社の株式を買える権利(新株引受権=ワラント)の付いた社債。ワラント債は、社債部分とワラント部分を分離して販売できない「非分離型」と社債部分とワラント部分を別々に流通させることのできる「分離型」の二種類がある。現在では「分離型」が一般的である。社債部分は普通社債と同様に、定期的に利息が受け取れ、満期には社債部分が額面全額で償還される

ワラント債は日本語にすると新株予約権付社債と呼び、発行した社債に一定の値段を支払うと株式を得ることができます。

ワラント債と転換社債の違い

転換社債は、社債そのものを株式に転換できるのに対し、ワラント債は社債+株式を買える権利を引き受ける(株式を買える権利を行使する場合は別途支払いが多い)ものです。

転換社債の場合は社債引受時に金額を支払えばよいですが、ワラント債の場合は社債を引き受ける時と株式を引き受ける時の最大2回支払うことが多くあります。(支払いを分ける分離型、支払いを分けない非分離型があるため要注意)


まとめ

転換社債は起業家側のメリットが薄く、スタートアップが発行するにはあまり好ましくないようにも思える。

そういったものを受けてJ-KISS(コンバーティブル・エクイティ)が生まれたと考えると感慨深い。近々J-KISSについて書こうと思いました。

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