【6】 仲良し姉妹

ダダダダッ!
こつこつが逃げた!
へいたいが逃げた!
さくせんが逃げた!
きまぐれが逃げた!
ぶるじょあが逃げた!
「待ってぇ~!    逃げないで~!」

    ここはミミ星人街。
ミミ星人のたまごが特産品のMUTOYS最北西の街だ。

    畜産家見習いのメルは長時間の演奏会に嫌気がさしたミミ星人達を追いかけていた。

『メルー!    そろそろご飯だよー!』
姉のティアマの声だ。
「今それどころじゃないの!    お姉ちゃんも手伝ってよー!」

    この二人はこの街でも有名な仲良し姉妹だ。
数年前に両親を亡くし二人で暮らしている。

~30分後~
    二人は美味しそうなパンやソーセージ、スープが並べられた食卓を囲んでいた。
「あの子達ったら全然言う事聞かないの!」
言うなりメルはソーセージを頬張った。
『メルがミミ使い荒いんじゃないの?』
優しい声で言った。
「そんなことないもん!」もぐもぐもぐ
「お姉ちゃん、これ美味しい!」もぐもぐ
『ありがと』
言葉と共にティアマは微笑んだ。

『メル、お姉ちゃん昼から買い物行くけど何か必要なものある?』
「うーん、笛がだいぶ壊れちゃったから笛買ってきてー。あとはいつもの」
『楽譜と砂糖水ね』「うんー!」


~3時間後~
『ただいまー』
バタバタバタ!
家に入るなり、メルが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん!    大変なの!    ミミ助がドラゴンに噛まれて……このままじゃ死んじゃうよ!」
『ミミ助は今どこ?お姉ちゃんにみせなさい』
緊張が張りつめた。

奥の部屋にミミ助はいた。
気を失っているようだ。
『ミミ助……まだ脈はある。呼吸も。メル、隣の部屋から清水とありったけのエリ草を持ってきて!』
「うん!」

    ティアマはメルに指示するなり自分の部屋に駆け込んだ。
『これと、これと………これ!    大丈夫。大丈夫』
言い聞かせるように繰り返した。

「お姉ちゃん持ってきたよー!」
『ありがとー!    今行くー!』

    ティアマが戻ってきた。
魔女の指輪を身に付け、手にはいかずちの杖、それと

禁断の書だ。

『メル、離れてて!』
「うん!」
ティアマが目を閉じ何かつぶやいた。
『عياالبدخربيةنك،أنا س 』
    ピシャッ!
    その刹那、ミミ助に小さな雷が落ちた!
ティアマの足元には魔女の指輪が砕け散っている。
    彼女はすぐさまエリ草をミミ助の傷口に当て、清水をかけた。
『メル、スピポとってきて』
「わかった!」


「はい!    お姉ちゃん!」
    ティアマはメルから受け取ったスピポを飲むと、エリ草がみるみる形を変えていく!
『脈はさっきより良い。呼吸もある。これで大丈夫なはず』
額の汗を拭いながら言った。
「お姉ちゃん~」
メルは安堵に包まれ今にも泣きそうだ。
『メル、もう危ないとこ行ったらダメだよ』
「お姉ちゃん~」

    その後ミミ助は無事治りましたとさ。
この一件は街中に広まり、ティアマはミミ星人街で一番の錬金術師の地位を確立するのであった。
    めでたし、めでたし。

店主 ティアマ
創業1035日目
委員長っぽい薬屋でマスター錬金術師

所持レシピ
【ヒーリングライト】
材料
魔女の指輪×1
道具
禁断の書×1
いかずちの杖×1

【ヒーリングシート】
材料
エリ草×10
清水×10

妹 メル
甘え上手な薬屋で見習い畜産家

次回


読んで頂きありがとうございました!
登場した人物、レシピ品全てフィクションです。
気になるレシピがあれば実際に作って頂いても構いません(作ってもらえたら飛んで喜びます)

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