真空を満たすもの――挨拶に代えて
このたび、noteを開設することにした。
……というよりも、アカウントをずいぶん前に作ったことを忘れていたわけだから、改めて使用することにしたという方が正しいです。
理由はいくつかあるけれど、ひとつは長文というフォーマットを書くための場所が必要だと思ったから。
もうひとつは、自分の中にある空白に向き合っていかなきゃいけないと思ったから。
社会に出てもう一年が経つ。これまでとまったく違う環境に、ずっと押し流されているように感じていた。
だけど、それは言い訳にすぎない。
僕が日々の暮らしに押し流されていたように感じていたのは、ただ僕が、自身の空白からずっと目を逸らし続けていたからだ。
○
二年前、とある同人ノベルゲームを制作する企画を立てた。
企画の進行役としてたくさんの人たちを巻き込み、約一年半という長い時間をかけて制作したその作品は、今までまとまった長篇など書き上げたことがなかった無名の書き手にとって、唯一とも言える代表作になった(もちろん今も無名であることに変わりはない)。いろんな方から好意的な感想をいただけたし、感動してもらえたんだと実感できて嬉しく思っているし、作品に対する素敵な評価もいただくことができたと思う。
そして、自分の実力以上の力と多くの人たちの情熱が込められた、これ以上ないほどに素晴らしい作品と引き換えに、多くのものを失った。
ゲームを公開してからの数ヶ月間については、特に語ることはない。いろいろとだめだったというだけだから。
そこから何ヶ月もかけて、少しずつ、ゆっくり回復してきたけれど、その間もずっと心の中に残るものがあった。
物語への憧憬。物語ることへの渇望。その想いの残滓は、打ちのめされていた間もずっと心のどこかに漂い続けていた。
高校生のときから抱き続けてきた想いは、いつのまにか自分を占める最も大きな構成要素になっていた。
自身の真空を満たすことができる唯一のもの。
どうしようもなく好きなもの。
どれだけ打ちのめされても、作品を作り上げたことに対する後悔なんてない。あのとき追い求めたものは、いまだに遙か遠いところにあって、今でもその光に憧れ続けている。
だから、創作をやめる選択肢なんて自分にはない。
理想と現実との乖離にずっと苦しむことになるかもしれなくても、引き返すことはしない。できない。
一生近づけないとわかっていても、それでもなお、彼方の光に手を伸ばし続けたい。
一文字たりとも新作に取りかかれていない今に至っても、そうありたいと切に願っている。
○
ここには、物語を書く上で日々考えることや、自作品のこと、それからただ単に好きなものについて、つらつらと書き記していきたい。
今のところ、自分が偏愛している「fhána」というバンドの音楽について書きたい気持ちがある。
あとは、近年触れて好きになったコンテンツについての感想などを風化する前にどんどん出力していきたい。直近から遡ると「エヴァ」「鬼滅」「アリスと蔵六」「十三機兵防衛圏」「宇宙よりも遠い場所」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」そして「ef」など……(一部「今さら!?」な作品もあるにはあるが、名作の前では些細なことである)。
また、今の僕を少しずつ形作ってきた数々の作品(すごくたくさんある)の魅力を少しでも伝えたいという思いもある。思い入れだけなら人一倍強いので。マジでたくさんあるよ。「ポケモン」とか「ポケスペ」とか「ネシャン・サーガ」とか「怪盗クイーン」とか「守り人シリーズ」とか「レイトン教授」とか「イナズマイレブン」とか「古典部シリーズ」とか「文学少女シリーズ」とか「サクラダリセット」とか「天体のメソッド」とか「ワールドトリガー」とか「たまゆら」とか(ヲタク早口にて……)。
生来の怠け癖や飽き性で、更新頻度が低くなってしまうかもしれない(たぶん、いや確実に)。それでも、気持ちを絶やさないために。
目標は別のところにあるけれど、この場所から自分の足で立って歩き出し、いろんなところに行けるように。
改めまして、物書きの東雲祐月です。
よろしくお願いします。
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