旅の醍醐味が「友達に会いにいく(VFR)」に凝縮されている理由
最近の気づきは、「友達に会いに行く」のを旅とは言わないという人たちがいるということです!
「友達に会いにいくって旅なんだね」
「友達に会いにいくって旅なんだね」
最近、経営者の知人とVFRの話をしていたときに言われた一言だ。
正直おどろいた!!
ロコタビのようなサービスを運営し、旅行業界の一端で働いていると、「友人や親戚に会いにいく旅行」を意味するVFR(Visiting Friends and Relatives)が、非常に面白い体験をつくっていることはもはや「当たり前」だ。むしろ、旅行を商品として扱っている事業者にとっては、ただ「友達や親戚に会いに行く」という最強の旅行コンテンツは厄介な存在だろうとすら思っていた。
しかし、一般的には「友達に会いに行くこと」と「旅に行くこと(旅行)」は日本では切り分けて考えられていることが多い。すこし不思議だが、特に否定することでもない。ただ、もし何となく旅行にはいきたいが「旅行にいく理由がない」「目的地が見つからない」といった理由で足踏みをしている人がいるのであれば、強く伝えたい。
「旅行に理由も目的地も必要ない。友達に会いに行けば良い。」
むしろこれが本来の旅のあり方だと思う。
ディープでローカルな文化圏に足を踏み入れることができる
「一般的な旅行」と「友達に会いにいく旅行」は全く異なる流れで成り立っている。
簡略すると下記になる。
前者が最初の段階で ”目的地にいく理由” があるのに対し、
友達に会いにいくVFRは、実際に訪れ、一次情報を自分の目でみて楽しむ。「こんなに面白い場所があるのに、ネットには全然情報がないんだなあ」といった気づきも生まれやすい。もはやバックパッカー的な旅の面白さと近い体験だ。さらに、友達という媒介者がいることで、よりディープでローカルな文化圏に足を踏み入れることができる。
【一般的な旅行】
SNSやガイドブックで気になる場所がみつかる
行き方を調べたり、ツアーがあれば申し込む
実際に訪れる、体験する
SNSに記録したり、友達に共有する
次の目的地を探す
【友達に会いにいく(VFR)】
とあるエリアに友達が住んでいる
会いに行く
友達の案内でガイドブックにはない圏外の面白い情報や人に触れる
こんな場所があったのかと調べる(はじめてそのエリアについて知る)
面白ければまた訪れる(or 他のエリアの友達に会いにいく)
旅行は理由や目的地がないと行きづらい。
目的や理由を作ってからそこに行く行為は、「予定調和な旅」だ。
面白そうな場所があったとしても、そこが本当に面白いかどうかは行ってみないとわからない。しかし、その良し悪しは、時と場合による。「あの地域の唐揚げはすごい美味しいらしい」ときいて訪れても「近所の唐揚げの方がうまい。」なんてことはよくある話だ。
一方、「友達に会いにいく」VFR的な旅行は、とてもシンプルな旅だ。
しかし、友達の後ろに控える、未知の世界との出会いや、偶然であった人との繋がりが生まれやすい、それは「予定不調和な旅」だ。
ダーツの旅が証明する、魅惑の旅の条件
そんな、「予定不調和な旅」を体現している事例の一つが『日本列島ダーツの旅』だと思う。
『日本列島ダーツの旅』は、日本テレビが放送する『一億人の大質問!?笑ってコラえて!』の中で放送開始以降、20年以上続く長寿バラエティーだ。ランダムにダーツが刺さった場所へスタッフが出向き、そこに住む人々の素顔に光を当てながら、人を通してしかみえてこない街の魅力が浮き上がっていく番組。
ダーツの旅では、村人が案内人(VFRにおける「友達」)の役割を果たしていく。本当になにも知らないスタッフに、現地の面白いおじさんやお店を教えてくれたりする。気がつくと、名前も知られていない味気のない街が、色鮮やかで面白みが詰まった場所に変容していく。
これは、「面白い場所」と勝手に名札をつけられたスポットをまとめた冊子には成せない、現地に住む人々がもつ力であり、予測不可能なリアルで面白い。そして、目的地はさほど重要ではないことを暗に証明している。
未知の世界の扉を一人で開けることは難しい。しかし、現地の村人という案内人が現れたとき、一気に魅惑の世界が目の前に広がっていく。ハリーポッターでハグリットが現れなければ、ハリーは魔法界にいくことはできなかったように、現地の案内人がいなければ知ることのできない世界がある。
現地に住む「友達に会いにいく」ことはその条件を存分に満たしている。しかも、旅先で知らない人に話しかける勇気を持つ必要もないのだ。
遠方の友達に連絡してみよう
徐々に移動も自由にできるようになってきた中で、ぜひ友達に会いに移動してみてはいかがでしょうか?
「そういえばあの子沖縄にいるなあ」「移住した友達げんきにしてるかな?」そんなことを頭に浮かべながら、「今度遊びにいく」と伝えると旅が動き出すはずです。
一つ注意点があるとするならば、現地の情報は調べ ”すぎない” 。友達が住む生活圏、文化圏を案内してもらい、未知の世界に足を踏み入れましょう。
皆さんの素敵な旅の実現を願っています。
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