「新しい生活様式」旅行篇〜三密旅行を考える
こんにちは、ロコタビの椎谷です。
今年2月頃よりコロナウイルスの感染が拡大し半年が経つ。最も大きな影響が出たのが、必ず「移動」がともなう旅行業界。インバウンド旅行の集大成と言われたオリンピックも延長を余儀なくされ、海外への渡航も特別な理由がない限りは難しくなりました。
これからは、政府が推奨するコロナ対策「新しい生活様式」を意識した、新しい旅の形が模索されています。
その一つが、星野リゾートの星野代表が提唱する、近隣への外出を前提とした「マイクロツーリズム(小さな旅行)」。コロナ感染拡大を防止する手段として、移動範囲を狭め、居住圏内での旅を楽しもうということです。
しかし、従来の旅行形態の一つである団体旅行(修学旅行、社員旅行など)・集団旅行(パッケージ旅行など)などは、マイクロツーリズムでもコロナ感染拡大を予防する手段としては有効ではないように思います。
今回は、「新しい生活様式」旅行編の「三密旅行」について考えてみました。
コロナによって起こった旅行業界の事実
・コロナは人間の行動が感染経路
-未発症でも感染させてしまう
-弱者(外国人労働者、高齢者、障害者など)内で感染拡大のリスク
-回避する唯一の方法は、3密を避ける(ソーシャルディスタンス)
・コロナ収束には最低1年半〜2年 = withコロナが数年続く
-集団免疫は非現実的(NYの集団流行を3回やらないと実現しない)
-ワクチンが出来たとしても2022年以降。世界中の人への摂取にも数年かかる
※年内という話もあるが、史上最速で承認された「おたふくかぜ」のワクチンは認可に4年かかったそうです。
【参考】経済産業省、第3回成長戦略部会での押谷教授の説明
旅行が人の移動による消費が行われているという前提を考えると、経済の活性化を目的とした「GoToキャンペーン」は理に適っています。しかし、コロナは人間の行動が感染経路になってしまう以上、多くの人を移動させることが結果としてコロナ感染拡大に寄与してしまうという点が旅行業界の現実です。
移動だけでなく、多くの人が集まる行為自体がコロナの感染拡大を引き起こすため、旅行者だけでなくサービス提供者の人数も減らし、人の接触頻度を少なくする必要があります。これは、旅行に限らず政府の言う「新しい生活様式」をすべてにおいてイメージし対応していくことになります。
Withコロナ時代に向いた旅行/向かない旅行
では、「新しい生活様式」にあわせた旅行に対応するにはどうすれば良いのか。結論としては「三密を回避した旅行」をどうやって作るのかに行き着きます。
・三密以外の旅行の形式
-ソロキャンプ
-アウトドア・アクティビティ
-個人旅行
-少人数旅行
-車移動(少人数)
etc
「三密を回避した旅行」は以上のようなことがあげられる。これは、星野代表のいう「マイクロツーリズム(小さな旅行)」とほぼ一致しています。
一方、以下の旅行形式は、どんなに気をつけていたとしても「三密の旅行」になってしまいます。
・三密の旅行の形式
-団体旅行(パッケージ旅行など)
-公共交通による旅行(バス旅行)
-集団移動・宿泊をともなう旅行(修学旅行、社員旅行、研修旅行など)
-MICE(展示会、法人旅行など)
最近では個人旅行が増えてきたからと言って、「三密の旅行の形式」は今でも多くの人が利用している旅行形式です。これが無くなることはありませんが、今のコロナ禍では、現実問題として団体旅行などは不可になってしまいます。
「新しい生活様式」にあわせた旅行
「三密の旅行の形式」は今後どうやって「新しい生活様式」にあわせた旅行にしていかなければならないのでしょうか。
その方法論の一つが「オンライン化」です。
すでに、「MICE(展示会、カンファレンスなど)」では、オンライン展示会やオンラインイベントが多く開催されています。
「オンライン化」したことのメリットとして、展示会やリアルイベントを開催する際にかかるコストが大幅に減ること、そして特定の場所に依存していたことにより参加が難しかった人たちも、インターネットに繋がりさえすれば誰でも参加可能になったということです。
さらに、コストの問題で開催期間も限定されていたことが、期間を大幅に増やすことができたり、イベント内容自体をデジタル化することによってオンデマンドでの配信もするなど、今までのリアルイベントではやれてこなかったことが実現され、新たな展示館、カンファレンス、イベントの形式が出始めてきました。
一方、集団での移動や宿泊を伴う「団体旅行」や「パッケージ旅行」などはまだ模索が続いています。
当社では「オンライン海外旅行」と題して、今まで行けなかった海外にオンラインで簡単に行けるというメリットを生かして、様々なオンライン旅行イベントやオンライン旅行サービスを実施してきています。
その中で「団体旅行」への対応の一つとして面白い取り組みがスタートしています。
日本全国の放課後児童クラブ施設を運営するシダックス大新東ヒューマンサービス株式会社と協力して、この夏コロナによって夏休みの期間が減ったり、旅行にも出かけられていない子供たちに向けて「オンライン海外旅行」を届けるというイベントが開催されます。
今回は、8月後半の二週間で、145クラスにオンライン旅行体験を楽しんでもらう事になっています。
今回の放課後児童クラブに限らず、この取り組みは、学校の修学旅行や、企業の研修旅行、老人ホームや介護施設の旅行など、外に出て移動することが難しい状況下でも実現可能な新しい旅行、新しいアクティビティの一つとして、各施設や団体が利用していくことができるのではと思っています。