Web3でExist to Earnな世界を創りたい
これから書く話は、Web3について説明をしていません。また、ブロックチェーン関連について理解したい人向けに書いたものでもなく、私自身がやりたいことにWeb3が近い、もしくは参考になるのではと思って、Web3の知識をベースにした仮説を立てたという話です。
※WEB3って何?というかたはこちら(英語)をどうぞ
日本人のゆるいネットワーク
現在、私はロコタビという世界175ヶ国2500都市在住日本人5万人が登録するWEBプラットフォームを運営しています。
ロコタビは私が2013年に創業した事業ですが、世界中の日本人がインターネットを介して繋がって、誰もが参加できる相互扶助のネットワークをつくりたいと考え、出した答えの一つがロコタビです。
とても抽象的な話になりますが、開始当初から思い描いていたロコタビのイメージは、「日本人のゆるいネットワーク」でした。強いつながりが求められる、所謂「コミュニティ」とは違い、もっと広い概念として関わる全ての人がなんらかの繋がりを持った集合体として存在し、必要な時、必要な場所、必要な人とつながることで、助け合える場をつくれないかと考えていました。
現在のロコタビは一定の成果を出したプラットフォームとして成立していますが(CtoCマーケットプレイスとしてトラクションが出ているという意味)、日本人のネットワークを維持するために、「運営者>ホスト≧ユーザー」のツリー型に近い3者構造になっています。一方で、「ゆるいネットワーク」を意識すると、あるべき姿としては「運営者=『ホスト≒ユーザー』」のメッシュ構造のネットワークが良いと考えています。
DAOはWeb3時代のつながりサービス
つながりを作るWEBサービスは、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSだったり、サロンオーナーと参加者が交流するオンラインサロンがある。最近だとWeb3の文脈でDAO(自律分散型組織)が流行り始めています。
「DAOとは何か」という定義は、人によって様々で、プロジェクトを立ち上げる際のコミュニティや組織をDAOと言ったり、単なるサークルをDAOと呼んだりしている人もいます。よく株式会社と比較されたりもします。
現段階でDAOを明確に表している事例として「ビットコイン」がありますが、Web3の本質であるDecentralised system 分散型システム(⇔中央集権システム)に最も近い形で成長をした自律分散型組織だからです。
ビットコインは、2008年サトシナカモトという人が書いた論文を発表したことにより始まります。2010年12月にビットコイン用ソフトウェアの最新版を告知後にサトシナカモトが消息不明になっても、ビットコイン自体は自律的に成長をして、中央管理者がいなくても存在し続けています。
ビットコインの事例の面白い点は、最初にサトシナカモトが提案した妄想が、彼の手を離れ勝手に大きくなっていったという所です。従来のWeb2の世界では必ず中央管理者が存在し、彼らのコントロールの中で関係者が存在し、そのルールも中央管理者の思いのままに運営されるという点が、DAOとの違いです。
DAOはあくまで誰かが提案をし、関わる人がそれを採用するというステップを踏むことで、ステークホルダー全員が管理者であり利用者になりえるという点が秀逸です。
また、Web2の世界で大きなシェアを占める「取引コスト」問題をWeb3では大きく下げることが期待できます。Web2のWEBサービスは中央管理者がサービス上で起こる「取引コスト」を引き受ける(リスクを負う)ことで成り立っています。一方Web3では中央管理者が居らず、Web3上のすべての人が「取引コスト」を引き受け、分散することで、かかるコストを大きく下げる事ができる可能性を秘めています。
DAOはゆるいつながり
このように書くと、Web3やDAOって、多くの人が集まり国や街ができてい行く過程をWEB上で再現しているように思いませんか。そして、その街は特定の中央管理者が独占しているのではなく、その街の人全員が管理している空間ということになります。
国や街は政府や役所などが管理していますが、在住者が一時的に自分の権利を特定の人や組織に移譲することで成り立っています。DAOであれば、ブロックチェーン技術により、従来の自治体型組織がもつルール変更に時間がかるところを高速で処理する(スマートコントラクト)ことで、柔軟性をもって関わる人たちが理想とする街を創り上げることができると考えています。
自然発生的な共同体組織をゲマインシャフトと呼びますが、その構成員のつながりは人と人の関係で、対概念のゲゼルシャフト(機能体組織)と比べて、目的や機能が弱いため、ゆるいつながりだと言えます。そういう意味でDAOはインターネット上のゲマインシャフト的なゆるいネットワークになるのではと思います。
Exist to Earnな世界をつくりたい
Web3の世界では、「Play to Earn」や「Learn to Earn(Learn & Earn)」という考え方があります。
Play to Earnは、遊ぶことで価値を得るという意味ですが、ここではクリプトゲームをする事で仮想通貨を稼ぐ事を言います。
また、最近では学びながら価値を得る「Learn to earn」という概念も出てきています。
どちらも、今までの世界では考えられないような稼ぎ方(価値を得る)ですが、Web3ではそれが実現してしまいます。
冒頭に書いた、「日本人のゆるいネットワーク」は、日本人であれば誰でも参加でき、ネットワークにつながり、そこに居ることがその人に価値になるような場所にしたいと考えていました。インターネットは個人の力を拡張すると言われていますが、Web2の世界では一部の強者に力が集中しがちで、全ての人にとって平等な場にはなりづらい。そこをWeb3で、本来あるべき所属するすべての人が存在するだけで価値を得られる「Exist to Earn」な世界を創れるのではという仮説を持っています。
まだシードの段階ですが、DOA化を目指したインターネットのゆるいネットワーク「LOCOTOWN.org」を進めようと考えています。私一人、何もない状態で、利益の出るプロジェクトでもなく、ビジネスにもならない試みです。実現には何年もかかり、しばらくはただのネット遊びをしている状態だと思いますが、DAOに興味がある、Webサービスを一から作ってみたい、自分のスキルや経験で貢献できそうという方がいたら、連絡ください。