ナイアガラ滝の昔と今(1)
変わりゆくナイアガラ滝
ニューヨークというと、自由の女神で有名なマンハッタンをイメージすることが多いでしょうか。しかし、ニューヨーク州というと実は広く、海辺から500 km以上も内陸にまで広がっています。その西の端、エリー湖に面する地方都市バッファローから流れるナイアガラ川は、北のオンタリオ湖に向かい、アメリカとカナダの国境ともなっています。
バッファローから北に、ナイアガラ川沿いの道を進むと、やがて遠くに白い煙のようなものが立ち上っているのが見えてきます。火事?いえいえ、水煙です。その立ち上る煙の下に、世界的にも有名なナイアガラ滝があります。
アメリカ大陸の「発見」よりはるか前から、滝は人々の意識を惹きつけ、美しい、神聖なものとして崇められてきました。今も多くの観光客が訪れ、滝の周りには賑やかな街がつくられています。国境で分かれてはいますが、アメリカとカナダを結ぶ橋は歩いて渡ることもでき、アメリカ側の滝(American Falls)のすぐそばまで歩いて近づける「風の洞窟(Cave of the Winds)」や、大きな馬蹄形をなすカナダ側の滝(Horseshoe Falls)を裏側から覗けるトンネル「Journey Behind the Falls」、滝に限界まで近づくボートツアー「霧の乙女号(Maid of the Mist)」、140 mの高さから滝を見下ろせるスカイロンタワー(Skylon Tower)など、さまざまなアトラクションが用意されています。
壮大に水飛沫をあげてたたずむナイアガラ滝ですが、100年、200年前の人々が目にしたそれと、私たちが今見ることのできるこの景色は、実は、ちょっと、いえかなり、違います。なぜでしょうか?もちろん、周りの街並みは時代とともに変わりますが、滝そのものも、同じではないのです。これを知るために、まず、滝がどうしてできたのかをみてみましょう。