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You can make it!! 時事英語【#037 ay up me duck】

◆この回では "ay up me duck" という表現を紹介しました。これは特に頻度の高い表現というわけではありませんが,面白い表現ですので取り上げてみました。

2014年11月18日付の BBC Newsによると、第18回ハリウッド・フィルム・アワードでプレゼンターを務めた女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、イングランドのダービー出身の俳優・ジャック・オコンネルさんを紹介したとき、いきなり “Ay up me duck” と発言しました。その様子はこの動画の0:19にあります。

"It is my privilege to present the New Hollywood Award to the least Hollywood artist I know. Straight from Derby, "Ay up me duck" Jack O‘Connell."
(僭越ながら,ハリウッド映画賞新人賞を,私の知る中で最もハリウッドらしからぬアーティストに贈らせていただきます。ダービーから駆けつけてくださいました,"Ay up me duck" ジャック・オコンネルさんです。)
□□ privilege 特権,名誉
□□ present O Oを贈る
□□ the New Hollywood Award ハリウッド映画賞新人賞
□□ Derby ダービー(イングランド中部ダービーシャーの行政中心地となっている工業都市で,ジャック・オコンネル氏の出身地)

◆なお,この動画には映っていませんが,これに対してジャック・オコンネルさんは苦笑いしながら会場の聴衆に向かって “Ay up me ducks”と答えています。単数形で "duck" と言ったアンジェリーナ・ジョリーさんに対して、ジャック・オコンネルさんが "ducks" としたのはおそらく,会場に対する呼びかけなので複数形にしたのではないかと思われます。

◆では、“Ay up me duck” とは何だったのでしょうか?この BBC News にはこのような説明がありました。

"Ay up" is a greeting typically used in the North of England and the Midlands instead of hello.
("Ay up"とはhello の代わりにイングランド北部やミッドランドで一般的に使われる挨拶である。)

"Me" means "my", while "duck" is an affectionate term for another person.
("Me" は"my" を意味する一方、"duck" は他の人に対する愛情を込めた単語である。)

It originates from the Saxon word ducas, according to historian Steve Birks, and has nothing to do with the bird of the same name.
(歴史家のスティーブ・バークスによれば、それ[=duck ]はサクソン語のducas という単語から生まれたもので、同じ名前の鳥[アヒル]とは全く関係がない。)

Prince Harry delighted people in Nottingham last year when he said "ay up me duck" on a visit to the Confetti Institute of Creative Technologies.
(昨年、ハリー王子[ヘンリー・オブ・ウェールズ王子]は、コンフェッティ創造技術大学への訪問に際し、“ay up me duck” と言ってノッティンガムの人々を喜ばせた。)
[出典]http://www.bbc.com/news/uk-england-derbyshire-30104871

◆要するに “Ay up me duck” とは "Hello, my dear" を表すイングランドの方言で,アンジェリーナ・ジョリーさんがジャック・オコンネルさんを紹介する際に,ジャックさんの出身地のことばを交えて紹介した,ということだったわけです。上で紹介した動画では,アメリカのトーク番組で司会者のコナン・オブライエンさんがその紹介方法を取り上げてジャックさんに "What does that mean, 'Ay up me duck'?" とたずねています。おそらく,ハリウッドの授賞式でその場にいた人たちはアンジェリーナ・ジョリーさんの発言を聞いて「え?今何て言ったの?」とさぞ困惑したことでしょう(この発言の直後にわずかに笑いが起きますが,それはおそらくこの発言が理解できた数少ない人だったのでしょうね)。

◆ひとくちに「英語」といっても,実に多様な表現がありますね。そして,それを上手に活用したアンジェリーナ・ジョリーさんのウィットに富んだ紹介の仕方も素晴らしいと思います。

▼037の解説は以上です。

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